赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

続・中国外相のクビ、王毅との闘争!?

2023-08-05 00:00:00 | 政治見解



続・中国外相のクビ、王毅との闘争!? 
:230805情報


中国の秦剛外相解任劇、8月1日のブログでは『中国外相のクビ、真相は愛人がWスパイだったから!?』ということをお伝えしましたが、台湾独立運動家からは「前外交部長の王毅との確執」という意見が寄せられました。以下にその解説を掲載いたします。
 

◼️世界のトップニュースになった異例の人事

世界中の中国ウォッチャーにとって、今一番の関心事は、恐らく中国の外交部長:秦剛が一体どうなっているのか? どこにいるのか?ということでしょう。

ようやくその答えの一部が7月25日に出ました。この日、中国の全人代の常務委員会が開かれ、6月末から表舞台から姿を消していた秦剛を外交部長から解任したのです。新たに任命されたのは、前外交部長の王毅です。

今回の外交部長の解任と任命は世界のトップニュースになりました。なぜ一国の人事がこれほど大きく取り沙汰されたのか? それは、この人事が尋常ではなかったからです。


◼️不可解な大出世の裏側

そもそも、秦剛の出世自体が異常なことです。彼は外交部長になる前は駐米大使でした。今までの中国の駐米大使は必ずアメリカの中国大使館に駐在した経験のある人物が選ばれていました。しかし、秦剛は駐米経験がありません。ある意味で、秦剛はアメリカの事情を知らないのです。

長期的に滞在したことのない人間がアメリカの事情を知るはずがないですよね。しかし、彼は56歳という異例の若さで、中国で一番の出世コースである駐米大使になったわけです。しかも、秦剛が駐米大使として活動したのは僅か1年数か月です。

本来、駐米経験のない人間であれば、大使になって時間をかけて、徐々に人脈を作るということもあり得るのですが、彼は2022年の12月30日、57歳で駐米大使から外交部長になりました。これも異例なことです。

さらに、外交部長になった秦剛はその僅か3か月後に国の指導者レベルである国務委員になったのです。そして極め付けは、外交部長になって僅か7か月で解任されてしまったということ。中華人民共和国史上最も短命の外交部長でした。

秦剛の代わりに外交部長に任命された王毅は、すでに「中国共産党の外交責任者」のポストについています。その上、外交部長も兼任することになり、さらに権力を強めました。

中国の外交は本来、いろんなルールやしきたりがあります。その前例を全部無視して秦剛を出世させたのは誰か? もちろん、習近平です。習近平は独裁者ですから、前例なんて関係ありません。法律さえも全部無視できるんですから、自分が一番かわいがっていた秦剛を無理やり抜擢したのです。


◼️スパイの愛人じゃない…解任の本当の理由

では秦剛はなぜ解任されたのでしょう?

秦剛の愛人がダブルスパイではないかという疑惑がありました。しかし、それは解任の真因ではないでしょう。中国では愛人や腐敗、汚職というのは問題になりません。では本当の問題は一体どこにあるのでしょう。

私に言わせれば、最大の問題は外交部の内部闘争です。もっと広げて見る場合は、習近平政権の中の内部闘争かもしれません。

習近平は第20回共産党大会以降、自分以外の派閥をほぼ全部排除しました。しかし、そうすることで今後内部の派閥闘争がなくなるのかというと、そうではありません。自分以外の派閥を排除した後はみんな習近平派になります。すると今度は習近平派の中で内部闘争が起きるわけですね。

秦剛はこの内部闘争の標的となった可能性が高いです。理由は2つあります。

1つ目は秦剛が外交部の中で全く人望がないこと。秦剛は上の人間には媚びるのですが、下の人間には威張ります。一番嫌なタイプですね。彼は習近平にずっとおべっかをつかって、だからこそ抜擢されたのですが、下の人間には物凄くきついのです。

2番目は秦剛と王毅の関係です。秦剛の後任で外交部長になった王毅は秦剛と非常に仲が悪いのです。王毅は10年近く外交部の部長としてやってきたわけですから、外交部の中には王毅の派閥があります。しかし、秦剛は部長になった途端に王毅派閥の人事を一掃しようとしたわけですね。

もちろん、王毅からすれば面白くない。秦剛が外交部長に抜擢され、王毅はもう部長ではなくなったとはいえ、
外交の責任者ではありますから、秦剛とはいろいろ一緒に仕事をしなければいけません。しかし秦剛と王毅の暗闘は全然止みませんでした。

そして、派閥があった王毅に対して、秦剛についているのは誰かというと、習近平だけなのです。実は、外交部の中で秦剛になびく人間はほぼいなかったと言っても過言ではありません。

ですから、今回の解任は、秦剛が内部闘争に負け、中国の政治の表舞台から引き摺り下ろされてしまったことを表しているのでしょう。




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