田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

第一級のエンタメ~宮本輝著「三千枚の金貨(上下)」

2011年02月05日 | 読書三昧

良い本を読んだ後の幸福感はこの上ないものです。
読み始めてしばらくして、上質な小説だけが持つ何かうっとりするような感覚に襲われ、「これいいね」と(先に読み終わっていた)家内に言うと、したり顔で肯いていました。



物語~深夜の病院の談話室で、末期がん患者の男は言った。"桜の木の根元にメープルリーフ金貨三千枚を埋めた。みんな自分の金でこつこつと買い集めたものだ。場所は和歌山県。みつけたら、あんたにあげるよ"

5年もしてこの話を思い出した斉木は、同じ会社の仲間2人、行きつけのバーのマダムとの4人で、宝探しを始めるのだが・・・

物語の筋もさることながら、洗練された文章、場面展開の巧みさ、次々と提示される人生観や世界観、旅の経験やゴルフ、ワイン、そば、おでんなどに関する薀蓄(うんちく)等々、宮本ワールドを構成するひとつひとつに肯きながら、楽しく一気に読みました。ご一読をお勧めします。