田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

壮大なドラマ~小倉寛太郎著「自然に生きて」

2009年12月31日 | 読書三昧

東大法学部を出ながら、(JALの)労組委員長だからという理由で左遷され、カラチ、テヘラン、ナイロビの海外支店をたらい回しにされた後、墜落事故の処理などに当たらされた有能な企業人が書いた壮大なドラマ的自叙伝です。

小倉寛太郎(ひろたろう)氏って何者?
と問われそうですが、山崎豊子著「沈まぬ太陽」に登場する不屈の主人公、恩地元(はじめ)のモデルと言えば、きっとうなずかれる方も多いと思います。また、この小説は、この秋には渡辺謙氏の主演で映画化され好評を博しました。

先にご紹介した井上文夫著「時をつなぐ航跡」でも記しましたが、日本航空という国策会社の歴代の経営者は無能で、労使の力を結集して積極的な事業運営をすることが出来ず、「法的整理」がささやかれる今日の危機的状況をつくり出して来ました。

この一事からも、同社における労使慣行がどのようなものか理解できようというものです。現在は、会社べったりのJAL労組(第二組合 11,000人)、キャビンクルーユニオン(第一組合 2,000人)、機長組合(1,200人)など、職能別に8つの組合があるそうです。

このようなダメ会社の下で、有能な企業人がどのような扱いを受けたか、そして、それをどのように克服し、「余裕とユーモアと、ふてぶてしさ」とで、如何にしぶとく生き抜いて来たかを語っています。
一読をお勧めします。


中国製アンプの実力

2009年12月30日 | 音楽三昧

中国製のアンプが安くて良さそうだったので、中国から直接輸入して聴いてみました。

まだ、エージングが終わっていないので、ちょっと音が硬いのですが、それでも期待以上に良い音がするので驚いています。

定評ある米国製のパワーICを使用していて、出力は68watts x 2(ステレオ)。小型(178×50×291mm)・軽量(4kg)で、音量調節機能もありますから家庭で使うには何かと便利です。内部を覗くと、部品も作りもしっかりしていて、内外の有名メーカーのアンプと比べても、見劣りしません。

値段は何と、輸送費込みで19,600円。つまり、2万円でおつりが来るのですからビックリです。日本製なら、ゆうに10万円を越えるでしょうから、日本メーカーには手ごわい相手です。

勿論、ご覧の通り、何の表示もなく、マニュアルもありません。また、本邦でのサービス体制もありませんから、故障したら捨てる以外方法がありません。そのため、小生は2台購入し、1台は予備にしました。また、2台使ったバイアンプ駆動を試したいと思っています。

とは言えこのアンプ、本邦でも大分販売数を伸ばしているので、これをテコに、もっと魅力ある製品を開発、市場に出して来ると予想されます。


ふくろう

2009年12月29日 | 田舎暮らし

この年末も、横浜から一人でやって来た孫娘。
夏に会った時にくらべ、さらに上背も手足も伸びて、小学5年生なのですが、もう家内といくらも違いがありません。父親が180cmの大男なので、そのDNAを受け継いでいるのでしょう。

出がけに父親が、「父さんも一緒に行こうか?」と言ったら、孫娘は、「お父さんは行かなくていいの!私は一人になりたいんだから」と拒否されたとか。

一人っ子で、いつも両親相手に生活しているので、これは案外本音なのかも知れません。

その孫娘が、先に美人のサンタさんからプレゼントされた折り紙で造った「ふくろう」です。

家内も少し手伝ったようですが、途中であきらめることなく折り続けること4時間。276枚の折り紙で出来ているそうですが、早速、小生のディスプレイの上に飾ってくれました。


命拾い

2009年12月28日 | 田舎暮らし

昨日、屋根に登って雪下ろしをしていた時のこと。
乗っていた2m x 5m(厚さ50cm)くらいの大きな雪の塊(かたまり)と共に押し流され、地上に転落しかかりました。幸い、命綱のお陰で落下せずに済み、命拾いしました。

玄関の小屋根の片側に雪が堆積していて、玄関ドアの建て付けが悪いものですから、気温が上がったのを幸い、屋根の雪下ろしにかかりました。

ヘルメットをかぶり、頑丈なベルトを腰に付け、そこに屋内に固定した命綱を付けて、天窓から屋根に出ました。

そして、下ろしたい雪の塊(かたまり)に見当をつけると、その周囲に溝を切り、自重で滑り落ちるように仕向けます。しばらくすると、メリメリと音がして、塊に亀裂が入って滑り出しますから、その際は、別の塊に避難します。

昨日は、何の前触れもなく、乗っている塊が滑り出したのには驚きました。思わず、命綱にしがみ付き、宙吊りになりましたが、地上に落下することなく済みました。こんな時のための命綱なのですね。


神尾真由子「無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース」

2009年12月27日 | 音楽三昧

今回の新着ドーナツ。神尾真由子さんの真迫の演奏が聴けるパガニーニ「無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース」です。

天才的なヴァイオリン奏者だったパガニーニが、これ以上はないというヴァイオン演奏の極限世界を、楽譜に著わした24曲のカプリーズ(奇想曲)を、チャイコフスキー国際コンクールに優勝した神尾さんが存分に腕をふるっています。

現在、ヴァイオリン演奏で彼女の右に出る者がいない状況下で、この難曲に挑み、弾きこなしているのを聴くにつけ、彼女の持って生まれたヴァイオリン演奏者としての資質の高さに驚かされます。

ともすると、演奏技術のみに注目しがちですが、曲の持つ深い音楽性にも魅せられます。それにしても、聴く側にも、人一倍緊張を強いるドーナツではあります。

演奏風景を収めたDVDも付いてお買い得です。
一聴をお勧めします。


JAL労働者のたたかい~井上文夫著「時をつなぐ航跡」

2009年12月26日 | 読書三昧

こんなひどいことが、日本航空(JAL)のなかで行われているとは、とても信じられない思いです。

定時・安全運行が使命の航空会社、しかも日本航空というフラッグキャリアーで、会社が組合を分裂させて第二組合をつくり、言いなりにならない第一組合の客室乗務員を徹底的に差別する。監視する、いじめる、昇給・昇任させない、脱退工作をする等々、滅茶苦茶をやっています。

この本は、JALの労働者作家が、自らの体験を踏まえた生々しい差別と抑圧の告発とそれに対するたたかいの物語です。

長距離フライトの機内にあって、いつもにこやかな微笑とともに、乗客の安全を守り、種々の機内サービスに駆け回る客室乗務員の勤務が、極めて過酷であることは傍目にもわかります。

機内は、気圧が通常の70%程度しかなく、湿度も極端に低く、不安定な足元と長時間フライトなど、労働環境としては劣悪です。乗客の持込み手荷物の頭上スペースへの格納、飲食サービス時の狭い調理室での主菜の加熱とトレーへの戻し、100kg近くあるカートの移動とサービス等々、乗務員の腰への負担は半端ではないといいます。

この結果、彼女(彼)らの3人に1人は腰痛持ちで、中には、勤務に耐えられず労災認定を申請したり、裁判に持込むケースもあるようですが、経営側は、これを個人の問題に矮小化、抜本的な対応をしていません。

それどころか、最近は、第二組合に対して、第一組合員個々人の監視ファイルを作成させ、これに基づく執拗な脱退工作等、スパイもどきの違法行為をやらせています。

こうした客室乗務員同士が信頼し合えない、チームワークが十分発揮しえない状態で、どうして乗客の安全を守り、快適な旅を実現できるでしょうか。

日本航空が一日も早く正常な労使慣行を取り戻し、経営を立て直して、名実共にフラッグキャリアーとしての信頼を確立して欲しいと思います。一読をお勧めします。


美人のサンタさんがやって来た

2009年12月25日 | インポート

クリスマスイブの昨夕、「ハ~イ!」と言って、美人のサンタさんがやって来ました。

このサンタさん。笑顔のすてきなとても魅力的な女性です。
この春までお勤めに出ていたのですが、ちょっと体調を崩して退職。自宅で静養していましたが、すっかり元気になって訪ねて来てくれました。

ケーキにワイン、大きなりんごと、近く横浜から来る孫娘へのプレゼントなど、お土産もたくさん頂いて、それはうれしい再会でした。

今朝は久しぶりの穏やかな朝でした。少し晴れ間も出たので、気温は、放射冷却も手伝って-17.8℃まで下がりました。散歩から帰った家内が、「今朝はしばれた!」と真っ赤な頬をしていました。バックにお山(羊蹄山1,898m)も見えています。

ベランダの周囲には、野うさぎの散歩の跡もあって、賑やかなクリスマスイブでした。


ルーツの苦悩~太田治子著「明るい方へ」

2009年12月23日 | 読書三昧

何と身勝手な男か!
これが太宰治に対する率直な感想でした。

初めの妻と離婚し、他人の妻と服毒自殺を図って自分だけ生き残り、二番目の妻が3人目の子を身ごもっている時期に他の女性と関係を持つ。それも、その女性の日記を自分の小説の材料として使うために!

こうした経過で結ばれた男女の間に生を得た太田治子氏は、どんな思いで父母の過去を白日の元にさらすこの本を書いたのか。

 

太宰は、同氏が生まれた翌年、その後知り合った美容師の女性と入水自殺しています。

ただ、今朝NHK第一(ラジオ)で放送されたインタビューで、太田氏は、この本を書き始めた当初から、耳鳴りが始まりとても苦しかったが、書き終えた今では、父太宰治と未婚の母、太田静子の間に生まれて来たことに誇りを感じていると述べていたのが救いでした。


お持ち帰りが一番

2009年12月22日 | ドラミング

過日の鳩山政権の閣僚委員会は、沖縄普天間基地の移転問題について、現行の日米合意の見直しを含め、時間をかけてあらゆる選択肢を検討すると決めました。

これに対し、一部には、

 ・これだけの方針出すのに三ヶ月
 ・先送りすることだけを決断し

などと揶揄する人々も居ますが、米国からの圧力が強まり、また、マスコミ報道が過熱する中、この決定は当を得たものと思われます。

現在、この基地では、米軍海兵隊の訓練が行われている訳ですが、国際紛争の解決に一国行動主義をとらないとするオバマ政権のもと、すでに有名無実のものとなっており、これを継続あるいは、(国内に)移転する積極的な意味はありません。

東西冷戦体制が崩壊し、しかも中国が米国債保有の筆頭国となっている昨今、沖縄に海兵隊基地を置く地理的メリットも低下しています。また、北朝鮮対策としても、一方で6ヶ国協議に戻れと言いつつ、他方で海兵隊の基地継続・強化では説得力を欠きます。

また、かってこの基地から、米軍の海兵隊が朝鮮戦争やベトナム戦争に、また、昨今のイラク・アフガニスタン戦争に派遣されましたが、戦後64年間、日本の防衛に具体的に寄与することは一度としてありませんでした。

その意味では、この基地はすでに賞味期限が切れており、本来なら即刻、閉鎖するなり(米国が)必要とするなら、グアムなりハワイなりにお持ち帰りいただくべきです。

それなら何故、米国は、移転を含め基地機能の維持に固執するのか。狙いは簡単で、要は安あがりの(海兵隊の)訓練基地を維持することにあります。

特に、辺野古への移転については、そこに最新鋭の機能をもつ基地を日本の費用で作らせ、海兵隊員の訓練を継続したいからにほかなりません。

基地で働く日本人の給料や光熱費等は、例の「思いやり予算」で日本側の負担ですし、過日、読谷村で発生したひき逃げ事件のように、米兵や基地要員が犯罪を犯しても、身柄の引渡しすらせずに済むという、こんな美味しい話は、基地を米国内に置いて通る話ではありません。

こうして考えると、事の本質は「移転」の問題ではなく、米国の世界戦略の当否及び、日米安保上の必要性等、基本的な問題であると言えます。従って、この際、日米双方でじっくり議論する必要があると思われます。

その意味でも、今回政府が拙速な決定を行わなかったことは評価されて良いと思います。写真は、宜野湾市のHPから転載しました。


笑い話

2009年12月20日 | 田舎暮らし

昨日午後、近所の奥さんが遊びにいらして、家内とおしゃべりをして帰りました。

その際、「これ面白いから聞いてみて」とおっしゃって、「桂文珍」の落語のCDを貸してくださった。

今朝、家内がそのCDケースを開けてみると、中には何も入っていません。つまり、CD(ドーナツ)が収納されていることを確認しないまま(ケースだけ)お持ちになったようです。

そうこうしている内に、その奥さんが訪ねて来て、「ゴメン、ゴメン!CDが家にあったわ」と言って、それを届けて下さった。

家内とは、玄関先で「よくあること!」と、二人で笑い転げていました。

シニア世代の皆様、明日はわが身ですよ。ご注意あれ!


雪かき事始め

2009年12月19日 | 田舎暮らし

いやはやすごい雪ですね~。
今朝目が覚めて、カーテンの隙間から外を見ると、ベランダが大量の雪に埋もれています。積雪50cmの世界です。昨夕、きれいにしたばかりなのに!

早速、防寒衣に着替えてベランダの雪かきをしました。
昨日午前、雪の晴れ間を利用して、ベランダ周辺の雪を公道の方へ押しやっていたのが幸いして、比較的短時間に雪かき(ベランダからの雪おろし)は終わりました。

これで昨日の排雪と合わせ、この冬初めての本格的な雪かきを体験したことになります。今は、無事「雪かき事始め」を終えホッとしています。

自宅はもう雪に埋まっています。

玄関の吹き抜けは、小屋根になっているので、雪がどっさりのっています。

玄関先もご覧の通りです。いずれ、管理事務所のブルが来て、きれいにしてくれるでしょう。

すぐ前のお宅は別荘で不在ですから、ベランダが雪で埋もれています。

この先、何度雪かきをしたら春を迎えることができるでしょうか。


どうして?

2009年12月17日 | 読書三昧

どうしてこうなっているのか?
今週は、町の図書室から借りてきた本を3冊、並行して読んでいます。

その3冊とは?

・大田治子著「明るい方へ」~父・太宰治と母・大田静子
・柳美里著「オンエア(上下)」~キャスターのスキャンダル
・井上文夫著「時をつなぐ航跡」~日航労働者の戦い

つまり、読み始めては没頭するものがなく、次々と手をつけてしまったのがいけなかったようです。

ただ、内容は重なっておらず、筋はきちんと覚えているので、次にどれを手にとってもすぐ話に入り込めるのですが。

何とか早く1冊づつ片付けたいと思っています。


ニセコは今~ホワイトクリスマス

2009年12月16日 | 田舎暮らし

待望の雪が来ました。
ニセコは今、ホワイトクリスマス状態です。

昨夜、ベランダの雪を下におろしたばかりなのに、今朝は、もう30cmくらい積もっていて、朝から雪かきをしました。

これでスキー場関係者もホッとしていることでしょう。
隣接する花園スキー場も、明日(17日)オープンするそうです。

ところで、例の美味しいと評判の新しい道産米「ゆめぴりか」は、市場に出たのが800トンと少なかったため、すぐに売れきれになってしまいました。

そこで、たんぱく質が6.8%より少し多い5千トン余の「準ゆめぴりか」を、これも道産米の「おぼろづき」とブレンドして販売することになった由。この25日くらいから店頭に並ぶようです。

この「おぼろづき」も美味しいお米で、「ゆめぴりか」より粒が細かく、かつ、ふっくら柔らかい炊き上がりとなるので、「ゆめぴりか」のもっちり感とうまくミックスして、さらに美味しいお米になるのではと期待しています。記事は、朝日朝刊をコピーしました。


天上の音楽~フライシャーのモーツアルト

2009年12月15日 | 音楽三昧

新着ドーナツの3枚目は、レオン・フライシャーのモーツアルトです。ピアノ協奏曲集ですが、12番と23番に加え、ちょっとめずらしい、「3台のピアノのための協奏曲」が収録されています。



ピアニストにとって致命的とも言える右手の指の故障から復帰したフライシャーは最近、録音にも積極的なようで、この一枚も、シュトゥットガルト室内管弦楽団を相手に、彼の弾き振りによる珠玉の一枚に仕上がっています。

これこそ「ピアノ演奏だ」と言わんばかりのテクニック重視の演奏が多い中、どこにも角張ったところのない、暖かく慈愛に満ちた音楽を聴くことができます。真に天上の音楽の再現です。

定評あるシュトゥットガルト・コンセルヴァトワールでの録音。「3台のための~」は、キャサリーン夫人とともに弾いています。



一聴をお勧めします。


侘びさびの世界~ポリーニのショパン

2009年12月14日 | 音楽三昧

「歩く演奏マシーン」の異名をとるポリーニですが、今度のショパンアルバムでは、利休の侘びさびに似た深遠な世界を聴かせてくれています。

このドーナツに収められている曲は、下記の作品です。

・バラード第2番 作品38
・四つのマズルカ 作品33
・三つのワルツ 作品34
・即興曲第2番 作品36
・ソナタ第2番 作品35

1960年18歳でショパンコンクールに優勝したイタリアの天才ピアニスト、マウリツィオ・ポリーニも、50年の時を経て、その演奏スタイルは、ますます余分なものを削ぎ落とした枯れたものとなっています。

特に、ピアノソナタ第2番第3楽章の葬送行進曲などを聴くと、もう落涙せずにはいられないような気になる名演です。
一聴をお勧めします。