田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

共感~相場秀雄著「震える牛」

2012年06月29日 | 読書三昧

入院をはさんで読んだ社会派ミステリーは、松本清張の「砂の器」を彷彿とさせる奥深い物語でした。

物語~東北で発生したBSE牛の取り扱いをめぐって、これを公開すべきとする獣医師と、密殺・処理にかかわった産廃業者のユスリに直面した巨大スーパーは、自己防衛のため彼らを強盗殺人に似せ抹殺を図るのだが・・・

クズ肉に添加物や血を混ぜた加工肉で消費者を欺く食肉業者、安全より経済効率を優先する社会や地方都市の衰退等々、現代社会が抱える矛盾や問題点をするどく追求する著者の姿勢に共感を覚えました。ご一読をお勧めします。


森の花

2012年06月28日 | 田舎暮らし

「ねぇ、いろいろ咲いてるのよ。」との家内の誘いに応じて、西側の林床に屈みこむと、たしかに日頃見慣れぬ花が咲いています。

これはベニバナイチヤクソウ。薄いピンクですが、北海道や本州中部以北の高山草地などに生える多年草です。特に、本州などでは、かなりの深山に踏み込まないと会えない貴重な花です。

どこから紛れこんだかわからないのですが、庭の続きのような林床でみることができるなんて、さすが北国と感嘆しきりでした。

ミヤマオダマキ。面白いことに色違いが隣り合わせに咲いています。

ご存知のサクラソウです。拙宅では、敷地のあちこちに群生しています。盛りは過ぎたのですが、これは、日照の少ない林の中なので、今、ちょうど満開のようです。

名称不詳のレンギョウのような花が咲いています。君はどこから来たの?と尋ねるも、無論、答はなくよくわからないまま、かなり派手に咲いています。

これは番外編。、ホウノキの幼木です。幼木とは言え、ちゃんと7枚の葉を広げてけなげに日差しを受けていました。


椎茸

2012年06月27日 | 田舎暮らし

この春も、拙宅の椎茸は4~50本も出て楽しませてくれました。

当初(小生が入院するまでの時期)は、硬いのが2~3本収穫できただけだったので、この春はこれでおしまいかと思っていたのですが、その後雨が来たり気温も上がってゾクゾクとお出ましになったようです。

小生が不在の間は、家内一人ではとても食べきれないので、ご近所の方々にお手伝いいただいたとか。

これは、昨日の収穫。



もうそろそろおしまいのようですが、ほだ木の下の方に隠れていて笠の直径が20cmくらいになった(痛んだ)ものもありました。

自然は至って正直で、人間どもが望む望まないに拘らず、椎茸は、「出たいときに出るのよ」よろしく、この春も結果的に豊作でした。


森の生活

2012年06月26日 | 田舎暮らし

このところ、曇天続きで気分もすぐれなかったのですが、昨日は朝から晴れてこの時期本来の青空が戻って来ました。

入院で遅れていたボランテイア関係の仕事をしたせいか、ちょっと疲れ、昼食後昼寝をしてしまいました。

午後3時近くになって起き出し、居間の窓から外をみると、緑の木立を縫って降り注ぐ木漏れ日の美しさにうっとりしてしまいました。

この写真のように、拙宅の西側は鬱蒼とした木々に覆われています。
これらの木立は、無駄な枝を落としたり、晩秋には落葉を厚く敷き詰めて栄養を十分与えるようにするなど気を配ってきたせいか、木々はどれも健康で、精一杯葉を茂らせています。

その木立からの木漏れ日の美しさは、何物にも替えがたい思いです。
田舎暮らしの幸せをしみじみと感じさせてくれます。


葉室麟著「実朝の首」

2012年06月25日 | 読書三昧

入院生活も案外閑だということがわかった。
勿論、手術を受けた日と翌日くらいは、傷口は痛むし気分もすぐれないから少々、いじけた気分になるが、それ以外の日々は閑をもてあました。

幸い、今回入院した病院の各階のラウンジには、文庫本や文芸春秋やオール読物などの月刊誌の他、各種週刊誌などがストックされていたから、それらを漁っては読み、まるで自宅さながらの生活であった。

この間、長編では葉室麟氏の掲題作の他、湊かなえ氏の「少女」を通読した。どちらも「死」がテーマとなっていて、病気療養中の身に適した書とは言いがたいが、いずれも我慢強く最後まで読んだ。

物語~鎌倉幕府三代将軍「源実朝」は、建保7(1219)年、雪の振る鶴岡八幡宮で暗殺される。下手人は、二代将軍源頼家の子「公暁」だが、問題は、部下に預けた実朝の首が行方不明になるところから始まる・・・

この小説は同氏の初期の作品で、まだ本格的な葉室ワールドを形成するに至っていないから、筋立てにしても記述にしてもあまりスムーズとは言いがたい。

加えて、鎌倉幕府と時の朝廷との複雑な関係が頭に入っていないから、人物を特定するのに頁を前後するなど物語にどっぷり浸かることができなかった。

現在放映中のNHK大河ドラマ「平清盛」が低視聴率に悩むのも、時代背景が視聴者によく理解されていないことも一因ではなかと思われる。


液肥人間

2012年06月24日 | 健康生活

今回の入院期間中、胆管の石を除去するも(引き続き、胆汁の出が悪く)食物を受け付けないので、絶食の上、次の手術(胆嚢摘出術)を待つ1週間ほどを点滴だけで過ごした。

つまり、生命の維持に必要なブドウ糖とか塩水とか各種ミネラルなどがほどよく調合された液体(2リットル900キロカロリー)を毎日機械的に注入され生きていたわけである。

古い話で恐縮だが、筑波万博で「液肥」だけで栽培されるトマトの巨木を見て仰天した記憶がある。イメージとしては液肥で生育される野菜そっくりだ。言わば「液肥人間」である。

こういうことが可能なのだから、例えば、交通事故などで致命傷を負ったケガ人が、生命維持装置と点滴で(植物人間として)生きながらえるというのもうなずける。

それにしても、この「液肥人間」でいる間、「食欲」を感じないのは、何ともわびしかった。生命は維持されても食べる楽しみがない人生など意味がないように思えて仕方なかった。


生還

2012年06月23日 | 健康生活

ご心配をおかけしました。
小生、6日から「胆石症」のため入院加療中でしたが、幸い全快し、昨夕自宅に戻りました。

この間、ブログはお休みをいただきましたが、元気を取り戻しましたので、従来通り、当地の田舎暮らしについてのあれこれをお伝えしてまいります。従前通り、お付き合い下さい。

今朝、ベランダ前の菜園を見ると、入院直前に植えつけたキュウリやトマトの苗が、驚くほど大きくなっていて驚きました。

勿論、定石通りの剪定などもしないといけないので、午後には作業にかかりたいと思っています。

以上、簡単ですが、無事生還のお知らせまで。


反省!

2012年06月05日 | 健康生活

性懲りもなくまたやってしまった。過食で胃痛が出たのだ。

前の日にお客様があって昼食をともにしたのだが、その際、ちょっと食べすぎたと思っていた。

加えて、当日(日曜日)行き着けのレストランで、昼食にジャガイモコロッケ付き牛カレーを食べたのだが、その際、ウドの天ぷらがおまけについて来た。

季節だからそれもありなんと喜んで食べたが、特に異常はなかった。そこで夕食も普通にとったわけだが、午後8時過ぎになって猛烈な胃痛にみまわれた。

ちょうど、サッカー日本代表がオマーン戦の後半、立て続けに2本のゴールを決めた頃だった。

いつもだったら、お湯を大量に飲用すれば収まるのだが、今回はそれもならず、しばらく七転八倒の苦しみを体験した。

性懲りもなく過食した罰だ。反省!


ニセコは今~

2012年06月04日 | 田舎暮らし

ニセコは今、一年で最も輝く時期を迎えています。
濃い緑を纏った木々と可憐に咲く草花、春ゼミの合唱に加え、山ウド、タケノコ、ワラビなどの山菜が彩りを添えます。

山菜と言えば、お浸しに飽きたので、少し濃い目の味付けで何か作ってよと言ったら、ワラビをさつま揚げと煮込んでくれました。これがなかなかの出来で、とても美味しかったです。

また、タケノコとワラビを細かく刻んで油揚げと煮込んだ具を、焚きたてのご飯に混ぜた「山菜混ぜご飯」も美味しかったです。

ところで、この春の椎茸の目覚めはつつましいものでした。対象となるほだ木が30本ほどあるのに、芽を出したのは、5~6ヶにとどまりました。

それでもこの写真のように、直径8cmもある肉厚の椎茸は、やはり自家製でなければお目にかかれません。早速、バター焼きにして食べましたが絶品でした。

これらは、厳しい冬を乗り切ったからこそ味わえるこの時期だけの贅沢です。


再稼働

2012年06月03日 | ドラミング

昨日の新聞(朝日)に強烈な川柳が並んだ。

 ・とりあえず次の事故まで再稼働
 ・節電の出ばなをくじく再稼働
 ・一億の命ドジョウの一匹分
 ・滑らかに動かすボクの転轍機

いずれも、近々、野田首相が大飯原発3・4号機の再稼働を自身の責任で決断すると報じられたのを受けての作だが、傑作ぞろいだ。

4句目にある「ボク」とは、ご存知、橋下大阪市長のこと。再稼働絶対反対と叫んでいたが、いつの間にか方向転換して「容認」に回った身の軽さを揶揄したもの。

同じ紙面で、京大の植田教授が、「失敗から何も学んでいない」と苦言を呈している。同氏は、関電幹部に聞くと「夏場に電気が足りないからでなく、安全だから動かすのだ」と言うそうだ。

つまり、大飯の再稼働は、経営上の理由から「すべての原発を動かすための突破口」にされようとしていると言う。

先日公開された福島第一原発4号機(運転休止中だったにも拘らず、水素爆発で建屋が吹き飛んだ)の残骸を見ただけでも、とても再稼働などと言える状況ではないはず。

加えて、国会事故調の審議も中途、経産省から独立した監視機関の設置も実現しないままの「決断」とはいったいどういうことか。


浅田次郎著「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」

2012年06月02日 | 読書三昧

いつぞや、作家というのは何とも因果な商売だと書いた。
このエッセイ集を拝見して、その感を一層強くした。つまり、作家は、結局のところ自分を赤裸々にさらけ出す以外、飯が食えない職業のようだ。

この本を通して、今では日本ペンクラブ会長という要職にもある同氏の人と為りをつぶさに拝見することができる。その奇想天外な生き様に圧倒される。

例えば、同氏は、小学校低学年の頃は運転手付きの外車で登校していたが、すぐに家業が傾き、母親とも離別して親戚預かりとなる。また、「なぜ本など読んでいるのか!」と叱責されるような家庭環境にありながら、中学以来、図書室の本を総ざらいするほどの読書家だったという。

その後、三島由紀夫の割腹自殺にショックを受け、陸上自衛隊に入隊し2年間の隊員生活を送るが、これが人生最大のエポックになったというから面白い。

一方、日常生活は、早朝起床、午後2時頃まで執筆、午後4時間ほど読書をして午後10時には就寝するという、作家にしてはめずらしい昼型人間である点にも共感する。

いずれにせよ、こうした生き様は彼の作品によく反映されていて、読者の我々に無類の興味と安心感を与えている。


ようやく

2012年06月01日 | 音楽三昧


昨年5月以来作業を続けていた「The Great Pianists of The 20th Century」のNAS(音楽図書館)への取り込みがようやく終わりました。

今回の作業は、CD2枚分の音源を1枚にまとめ、曲名に作曲者を併記するなど、ちょっと手の込んだ操作を行なったため、予想以上に時間がかかってしまいました。

このボックスは、20世紀を代表する74人の偉大なピアニストの演奏をCD200枚に収めた全集ですが、今回、日本人で唯一リストインしている内田光子さんを最後に無事作業完了となりました。

これらのピアニストの半数以上の方々はすでに故人となっており、ここに収められた音源は、ますます貴重なものになるでしょう。

そんな意味もあってか、今ではプレミアムがついて新品なら43万円もするというから驚きです。小生は、当時(1999年発売)たしか7万円ほどで購入した記憶があります。

いずれにせよ、作業終了に伴いこれらの貴重な音源に日常的に、手軽に接することができるようになりました。