田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

良質の小説世界~葉室麟著「銀漢の賦」

2012年05月31日 | 読書三昧

藤沢周平氏のそれを読んでいるのではと錯覚するような武士の心意気と揺るぎない友情を描いた秀作。第14回松本清張賞受賞作。

物語~月ヶ瀬藩の家老将監(しょうげん)と普請方の源五は、かって同じ剣術道場に通う幼馴染だったが、時の経過とともにその立ち位置が大きく異なってしまった。そしてある日、幕閣入りをもくろむ藩主を諌めた将監を上意討ちにせよとの命令が源五に下るのだが・・・

「蜩の記」、「冬姫」に続いての本書でしたが、葉室氏の世界にどっぷり浸かり、読書の楽しさを満喫させてもらいました。ご一読をお勧めします。


カッコウはまだ鳴かない

2012年05月30日 | 田舎暮らし

さてさて、今年はどうなっているのでしょうか。
カッコウの初鳴きを待って野菜の植え付けをしようと思っていたのですが、もう5月末だというのに一向に鳴く気配がありません。

仕方なく、昨日、主だった野菜の苗を購入してきて植えてしまいましたが、遅霜の心配などないでしょうか。

ただ、週間天気予報を見るかぎり、しばらくは平年なみの気温が続くようですから、まず大丈夫でしょう。(写真ですが、手前がカボチャ、右隣が奥の畑から追い出された中玉トマト1株、その奥がピーマンです。マルチがかかっているのがミニトマトです)

それにしても、突然、クマゲラがやって来たり、例年になくキビタキが多く飛来したりと、この春は、鳥の世界にも何か異変が生じているようです。


戦国女性の闘い~葉室麟著「冬姫」

2012年05月29日 | 読書三昧

期待に違わず読み応えのする一冊でした。
加えて、戦国時代の女性を描いた極め付きの一冊と言えるでしょう。「小説すばる」(10年2月~11年5月)連載、350余頁の大冊です。

物語~信長の次女「冬姫」は、信長の命で近習の蒲生忠三郎に輿入れした。この時、冬姫12歳、忠三郎14歳であった。信長の本能寺での横死の後、天下取りに走る秀吉とこれに従った蒲生の冬姫は、柴田勝家と再婚したお市の方や淀殿と鋭く対立することになる・・・

信長に8人もの姫(娘)がいたことも驚きでしたが、各国の武将へ縁付いた彼女らが、それぞれに女の闘いを繰り広げていたことを知り、時代の過酷さを痛感させられました。

例えば、長女の「五徳」は家康の長男信康と結婚するのですが、後に、夫の信康は武田に内通したとして(信長の命で)自刃させられてしまいます。

信長の台頭と死、秀吉の天下取りという激動の時代に、夫を信じて毅然と生きた冬姫に共感を覚えました。ご一読をお勧めします。


My Favorite Analog!~プロコフィエフ「ピ-ターと狼」

2012年05月28日 | 音楽三昧

これはまた随分と懐かしいLPです。
ブリトゥンの「青少年の管弦楽入門」とのカップリングです。

これらの曲は、単に、管弦楽の紹介にとどまらず、その構成の巧みさと芸術性においてクラシックの名曲とされています。

ジャケットの絵にあるように、「狼」では、それぞれの登場人物を、特長ある楽器とテーマによって表現します。例えば、主人公のピーターは軽快なヴァイオリンで、小鳥はフルートで、また、アヒルを食べてしまう悪い狼は4台のホルンで表わしています。

こうすることによって、それぞれがより立体的に表現され、曲を鑑賞するだけでなく、物語にも強く引き込まれます。

通常、楽曲のナレーションが入りますが、このレコードでは、「狼」を黒柳徹子さん、「入門」は小山田宗徳氏がつとめています。レコードの制作時期(69年頃)からすると黒柳さんは30歳代で、とても若々しい声をしています。

尚、演奏はフランス国立パリ管弦楽団、指揮はロリン・マゼール氏がつとめています。演奏、録音ともにすばらしいです。


毛虫ゾロゾロ

2012年05月27日 | 田舎暮らし

春になって虫たちとの仁義なき闘いがはじまっています。

拙宅では毎年、蟻の屋内への侵入が執拗に繰り返されます。ただ、年によって種類が異なり、昨年は比較的小さな蟻でしたが、今年は黒い大きなのがゾロゾロ這い回っています。

この侵入を阻止するには、結局、駆除剤を家と土台の隙間などに塗布する以外ないのですが、今年は数が少ないので、見つけ次第つまみ出すことで何とかなりそうです。

今、困っているのは、ブランコ毛虫の極く小さいのが、そこここにブランとぶら下がっていることです。発生のメカニズムはよくわかっていないのですが、推察するに、昨年の秋口にマイマイ蛾が家の中に迷い込み、天井のどこかに卵を産みつけ、それが春になって孵化してぶら下がっているようです。

首筋に異常を感じて手をやると、長さ3mmほどの毛虫が糸でぶら下がり肌に触れたりしていてギョッとします。時には、パソコンのキーボードに着地して来たりと困ったものです。

ただ、卵の数にはかぎりがあり、また、毛虫のえさになる木の葉などもないので、いずれ終息するものと思われます。

一方、屋外では、小さいアブが大量発生していて、菜園の作業の邪魔をしています。形は小さい3~4mmほどですが、食いつかれると跡が残り、しかもしつこい痒みが残るので、作業する際はネットをかぶる必要があります。

春は、虫との長い闘いの始まりでもあるのです。


タラノメタベタ

2012年05月26日 | 田舎暮らし

本格的な春を迎え、ニセコはいよいよ山菜の季節です。

一昨日、この春初めて「タラの芽」の天ぷらを食べました。合わせて、ベランダの際に顔を出した「山ウド」の葉も摘んで来て揚げました。

どちらも、いかにも春の幸といった感じで美味しかったです。

勿論、すでに「行者ニンニク」や「フキ」などもいただいていたのですが、やはり「タラの芽」は格別です。

これから「ワラビ」や「タケノコ(笹の子)」など、山菜の王様が登場します。いずれにせよ、北国の今の時期だけの楽しみです。

ワラビの灰汁(アク)抜きには草木灰を使いますが、昨夕、散歩の際、拙宅の薪ストーブでできた灰をご近所さんにお届けして喜ばれました。

蛇足:これは、本日散歩の際の収穫です。


樋口裕一著「音楽で人は輝く」

2012年05月25日 | 読書三昧

後期ロマン派の作曲家は、今日、世界中で広く愛され不朽の輝きを放っています。ブラームス、ドヴォルザーク、ヨハン・シュトラウス、ワーグナー、ブルックナー、マーラー、リヒャルト・シュトラウスなどなど。

それでは、これらの大作曲家が残した名曲をどのように楽しめばよいのか? この疑問に答えるべく試みたのが本書です。

つまり、これら後期ロマン派の作曲家をブラームス派とワーグナー派の対立としてとらえると、それぞれが目指した音楽の違いが見えてくるといいます。それが、本書の副題「愛と対立のクラシック」になっています。

そうしたとらえ方が、後期ロマン派の音楽を深く理解しより楽しむ手がかりとなるようです。巻末に作曲家別名曲案内がありますので、参考になさって下さい。


トルコの民芸品

2012年05月23日 | ギャラリー

過日のトルコ旅行で目にとまった民芸品をご紹介します。

これは、トルコ流のお守り(ナザールボンジュウ)です。
ギリシャ神話の大地母神「メデューサ」にあやかったお守りです。キーホルダーやストラップなど、種々の物に応用されトルコ土産の一押しとなっています。

小生もこんなキーホルダーを購入(350円ほど)しました。小さなものも合わせると、目が7つも付いています。それだけご利益があるということでしょうか。

トルコ人形は、独特の雰囲気があってとても可愛いです。2枚目の写真は、くるくる回りながら祈りを捧げるメブラーナ教の踊りを人形にしたものです。民芸品の手提げカバンも目を引きます。



トルコ石を使った首飾りや腕輪などの宝飾品は、もう数限りなくあります。また、手書き模様の陶器(タイル)は芸術品から安価なコースターまでいろいろです。

これは、カッパドキアで見かけた凝灰岩に彫刻を施したお土産品です。ランプシェードも独特の雰囲気を醸し出しています。

最後にイスタンブールのグランバザールの店頭を見てみましょう。始めは金の宝飾品店です。

彫金プレートとタイル屋さん。もう限りがありません。

番外編:カッパドキアのお土産屋さんの前で、「トルコアイス」を練り上げる店員。トルコのそれは、歯ごたえのある濃厚な味のアイスクリームでとてもおいしいです。


新着ドーナツ~森麻季「4つの最後の歌」

2012年05月22日 | 音楽三昧

日本を代表するソプラノ歌手、森麻季さんがリヒャルト・シュトラウス晩年の名作、「4つの最後の歌」をはじめ、さまざまな「生」と「死」をみつめた歌曲に挑戦しています。

これまでリリースされていたCDは、バロック前後の宗教曲やオペラのアリアなどでしたが、今回は趣向を変え、彼女の傑出した歌唱力や表現力が生きる歌曲集です。(エイペックス AVCL-25750 HYBRID)

リヒャルト・シュトラウス
4つの最後の歌
 ・春 ・9月 ・眠りにつくとき ・夕映えの中で

歌曲
 ・明日には ・夜 ・解き放たれて ・万霊節

リスト
歌曲
 ・愛の夢第3番「おお、愛しなさい、愛しうる限り」
 ・ローレライ

ペトラルカの3つのソネット
 ・第104番「平和な心は得られず」
 ・第047番「祝福あれ、かの日、かの月、かの年に」
 ・第123番「地上での眼にした天使の姿」

「4つの最後の歌」は、大勝秀也指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団との共演。他の歌曲は、山岸茂人氏のピアノ伴奏によります。

テーマがテーマだけに、サクサクのドーナツとはいきませんが、それぞれ曲の意味をかみしめながらじっくり聴きたいと思っています。


ニセコ田舎暮らし日記~5月21日号

2012年05月21日 | 田舎暮らし

「ねぇねぇ見えるわよ」という家内の声で、二階の寝室に上がると、天窓からの日差しを受け、白い布団カバーに「日蝕」が写しだされていた。7時50分頃だが、太陽が半分ほど欠けている。

拙宅は、何につけ引っ込み思案の小生に対し、何につけ興味を示す家内が、小さな厚紙に針で穴を開け、それを日差しにかざしていたのだ。

テレビの画面で見る「金環日蝕」はそれはすばらしいが、どんなに小さくてもやはり「生」はいい。これで拙宅も喧騒の環に入れたことになる。

10時のお茶を済ますと、「ねぇねぇ庭にサンカヨウが出ているよ」という家内の誘いで、敷地の西側に行くと、菜園と敷地の境に確かに「サンカヨウ」の瑞々しい葉が出ている。

まだ、極く小さい葉なので、今年花をつけることはないにしても、いずれ、素敵な白い花を見ることができるだろう。貴重な高山植物なのだが、これが自宅の庭に出現するなど、やはり北国ならではと思う。

ついでに、行者ニンニクの様子を見る。今年も一斉に芽吹いて、今が食べごろだ。

また、隣家との境にあるタラの木では、芽が大分膨らんできた。一週間もすれば天ぷらが楽しめそうだ。

ベランダの際では、今年も「山ウド」が姿を現した。これもその内、葉っぱを摘まれて天ぷらにされてしまうだろう。


道尾秀介著「カササギたちの四季」

2012年05月20日 | 読書三昧

道尾氏は75年生まれの若い作家ですが、11年「月と蟹」で第144回直木賞を受賞しています。

この本は、「小説宝石」などに掲載された連作短編4編を集めたものですが、若いなりに人生の機微に触れた内容もあって好印象でした。

物語~リサイクルショップ「カササギ」は、設立以来赤字経営が続いている。店長の華沙々木は、商売そっちのけで妙な事件に首を突っ込み、副店長の日暮は、どうでもよい品物を高値で買い取ってしまったりと店の経営は軌道にのらない・・・

今回、同氏の作品を初めて読みましたが、受賞者にふさわしい力のある作家だと思いました。

ただ、才能にまかせて書きまくるという感じもあり、今後、種々の人生を積みながら、綿密な取材を元にしたものも書いていって欲しいと思います。


遊歩道の春

2012年05月19日 | 田舎暮らし

小生らが住む別荘地の南の外れに、ちょっとした遊歩道があります。
鬱蒼とした林の中を渓流に沿った曲がりくねったアップダウンが続きます。(遊歩道入り口から見上げるニセコアンヌプリ山)



渓流には、雪解け水がゴウゴウと音をたてて流れています。

ヤナギの芽吹きとヤチブキ(エゾノリュウキンカ)の黄色が、この時期だけの華やかさを演出しています。

遊歩道を出て別荘地に入るとすぐ、カタクリの群生地があります。
小生らが移住して来た頃は、ひとつふたつしか見ることができなかったのですが、その後勢いを増して、今では群落を形成するまでになっています。

キクザキイチゲやエゾエンゴサクなども咲いています。

別荘地の外れですが、個人の宅地内でもありいつまでこの状態を維持できるかわかりませんが、こうしたひっそりとした草花の営みが今後も続いて行って欲しいと願わずにはいられません。


今週の本

2012年05月18日 | 読書三昧

昨日は、木曜日のシニア特売日。
買出しに出かけましたが、散髪を終え11時頃お店に着くと、買い物客でごったがえしていて驚きました。

いつもは、昼食後の空いた時間を狙って行っていたので、昼食前の混み具合がこんなに凄いとは思いもしませんでした。



それでも、鮮魚売り場で岩内港産の「ソイ」中型1尾(390g 263円)といかにもおいしそうな「タラ」の切り身を購入できてご機嫌でした。

帰途、町の図書室に寄り、先に「藤沢周平氏の再来か」と感じた葉室麟氏の「冬姫」を見つけました。また、浅田次郎氏の「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」なども借用できて、これもご機嫌でした。

帰宅すると、先にオークションで入手した葉室氏の「銀漢の賦」の中古本も届いていたので、今週は読書に精を出せそうです。


さくらさくら

2012年05月17日 | 田舎暮らし

近くのスキー場で桜が咲いているというので、散歩がてら、小雨が降る中様子を見に行きました。

スキー場の周辺は、まだ、かなり残雪があり、木々の芽吹きも例年より遅れているようです。

笹薮を掻き分けてゲレンデに出ると、今年もしっかり咲いていました。すぐ隣には、まだ雪が残っています。



この桜は、この辺では唯一真近かで見ることができる山桜です。
桜は、2ヶ所に全部で5本あり、内、1本は、大きな枝が今年の豪雪で折れたのですが、まだ生きていて花をつけていました。

例年、ご近所さんを誘って花見と洒落るのですが、このところ寒い日が続き、花見でもないだろうと行かず仕舞いでした。

散歩から戻ると、自宅の花壇では宿年草が華やかに咲いていました。


何でもランキング~新田次郎の山

2012年05月16日 | ギャラリー

先日、手元に届いた山渓(山と渓谷誌6月号)に、作家新田次郎氏の作品に登場する「山」ランキングが掲載されています。

従来、種々のランキングをご紹介して来ましたが、小説の舞台に登場する「場」をテーマにしたものに出会うのは初めてです。よほど、ランキング好きな編集者なのでしょう

 1位 「富士山」
 2位 「谷川岳」
 3位 「八ヶ岳」
 4位 「穂高岳」
 5位 「槍ヶ岳」
 6位 「大天上岳」
 7位 「北岳」
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ちなみに、「富士山」が登場する作品は、

蒼氷、凍傷、吉田の馬六、殉職、滑落、孤高の人、新雪なだれ、霧迷い、富士山頂、女人禁制、栄光の岸壁、芙蓉の人、春富士遭難、富士に死す、富士、異邦人登頂、など。

小生は同氏の作品が好きでほぼ読破しているつもりでしたが、こうしてリストアップされてみると、中には知らない(読んでいない)作品もあって、自称「新田氏通」も怪しくなります。