月曜日の朝、目を覚まして「今日からまた仕事……」と思うと、私はいつもイソップの蟻と蟋蟀(キリギリス)の話を思い出します。
私は六年ぐらい前まで自由気ままに生きておりました。
財産があったわけではありません。フリーの雑誌編集者として生計を立てていて、適宜仕事をすれば適宜収入があって、幸運なことに病気もしなかったので、蟋蟀のように夏を謳歌していたのでありました。
謳歌の象徴は「宵越しの金は持たねェ」ということですから、蟻のように蓄えを持つこともありませんでした。そういう生活がたたって、いまは毎朝きっちりと起き、セカセカ出勤するという、蟻のような生活をしなければなりません。因果応報というやつです。
イソップ寓話の原型は蟻と「蟋蟀」ではなく、蟻と「蝉」だったようです。
ところが、この話が暖かい南のほうから北ヨーロッパへと伝搬されて行く途中、寒い国では蝉は馴染みがないという理由から、蟋蟀に変えられたらしい。
原型が蝉だったとすれば、イソップはなぜ蝉に遊び人というレッテルを貼ったのだろうと思います。私には蝉ほど一所懸命な生き物はないと思えるのですが……。
今年は蝉の季節もようやく終わったようですが、数日前ぐらいだと、一匹か二匹が辛うじて啼いているという状況でした。
このところ、雨が多かったこともあり、晴れても陽射しが乏しかったこともありましたが、雲が跡切れて陽射しが出ると、待っていましたとばかり啼き出します。しかし、聞こえるのはせいぜい一声か、遠くのほうでもう一声だけ……。
せっかく土中から出てきて懸命に啼いているけれど、もう♀はどこにもいないのではないか。私はそう思いながら聴いていました。
ただ、新松戸の一区画ではただ一匹でしかないけれども、日本全国を見渡せば、一万匹は啼いており、中の何匹かは無事子孫を遺せたかもしれない。しかし、その蝉が啼くのは数年後……そのとき、私はその啼き声を聴くことがあるのだろうか。
月曜日の朝にもう一つ思い出すのは、カーペンターズの“Rainy Days and Mondays”という曲です。
死んでしまったカレン・カーペンターが“Rainy Days and Mondays Always Get Me Down”と歌っています。
雨の日と月曜日はいつもアタシを下向きな気持ちにさせちまうのよぉ というのに、月曜日でおまけに雨……と、きた日にはどうしたらいいんだろう。
おっと、そろそろ家を出る時間がきた……と、いつもどおり元気なフリをして出勤しました。駅に着くまでに大量にすれ違う高校生どもに、元気さだけは負けてはならない。
プロ野球ではジャイアンツが驚異的な快進撃を見せました。それに引き替え、情けないのはドラゴンズです。優勝できないのは仕方がないとしても、阪神にあれだけボロ負けに負けるというのは信じられない。
セパ交流戦が終わってすぐ、私のペナントレースは終わっておりました。
http://www.youtube.com/watch?v=dPmbT5XC-q0
お詫び:「変な店」の写真は未撮影です。撮影出来次第記事も書こうと思っています。