桔梗おぢのブラブラJournal

突然やる気を起こしたり、なくしたり。桔梗の花をこよなく愛する「おぢ」の見たまま、聞いたまま、感じたままの徒然草です。

流山散策

2010年04月12日 16時59分21秒 | のんびり散策

 最高気温が20度、24度と二日つづきの初夏の陽気から一転して、今日の予想最高気温は9度だとか。おまけに雨。そして明日はまた19度だ、と。
 こんなにコロコロと変わる陽気に、私の神経はとてもぢゃないがついて行けず、風邪が治りそうな様子はまったく窺えません。

 昨日曜日の風邪の状態は土曜日よりはちょいとマシかという程度でした。午前中、少し厚着をして買い物に出たら、外はかなり暑いと感じたのに、家に引きこもると両肩のあたりが嘘寒いのです。気分も晴れやかではありません。

 今回の風邪は少し妙です。ボヤーンとした感じは明らかに風邪です。鼻詰まりはあるけれども、洟水やくしゃみはあまり出ず、咳だけ出ます。それも、起きているときはあまり出ないのに、眠ると出る。
 ゴッホッホとやって、そのたびに目覚めるので、熟睡できていません。一日じゅう意識朦朧寸前という状態で過ごしています。
 横にならなければ耐えられないという症状なら、おとなしく寝ていたかもしれません。そうでないところが厄介なのです。かといって、起きてもやることがない。正しくいえば、何かしようという気力が湧かない。

 で、出かけるか、ということになりました。
 どこへ行くと決めた外出ではありません。新松戸の駅に向かって歩いているうちに、流山へ行こうと思いつきました。
 土曜日も流山に行っていますが、そこは歩いて行けたところ。この日は電車を利用しないと行けない、もっとディープな流山です。

 ディープな流山へは新松戸に引っ越してきた直後に行ったことがあります。
 住まいを捜していたとき、流鉄が走っているのに興味を惹かれ、不動産屋さんの女性事務員に、「あの電車の行く先はどんな街か、何があるのか」と訊ねたら、しばらく考えたあと、「イトーヨーカドー……」という答えの返ってきた街です。

 とくに目的もなくブラブラと歩いていたら、「誠」と染め抜かれた新選組の羽織を着た数人の男女がいきなり現われたのでびっくりしたり、腹が減ったので店を捜したが、開いている店がどこにもなくて苛々させられたり……。

 


 幸谷(こうや)駅から流鉄に乗りました。
 四つ目、乗車時間わずか九分にして終点の流山です。「関東の駅100選」に選ばれた駅です。イトーヨーカドーがあるのはここではなく、一つ手前の平和台という駅でした。



 最初に流山市立博物館へ行ってみました。流山駅から六分ほど歩いた丘の上にあります。



 入口には近藤勇と土方歳三のパネル。ここ流山は近藤が最後の陣を敷いた地です。設営準備中のようで、見られたのはこのパネルだけ。



 流山といえば味醂(みりん)も欠かせない。小林一茶の友人でもあり、パトロンでもあった秋元双樹は味醂開発者の一人でもありました。

 出版物はいろいろ出しているようですが、無料でいただけるようなパンフレット類は一つもありませんでした。

 博物館を出たあと、市内を散策。
 広小路と名のついた通りから路地に入りました。近藤勇陣屋跡のある通りでした。陣屋跡周辺には今日も新選組がいるのが見えます。
 手前に閻魔堂があったので、陣屋跡を見に行く前にちょっと寄り道。



 閻魔堂墓所にあった金子市之丞と遊女・三千歳の墓です。
 市之丞は明和六年(1769年)、流山の生まれ。江戸の義賊だったといわれていますが、本当に義賊だったかどうかは不明。本当だったとすれば、鼠小僧より先輩になります。
 江戸吉原の遊女・三千歳とは恋仲で、死後離れたままでは可哀想だと墓を隣に持ってきたそうですが、三千歳は市之丞の妹だったという説もあります。

 当時、巷間の話題をさらっていたのは確かなようで、講談の「天保六花撰」、歌舞伎の「天衣粉上野初花(くもにまごううえのはつはな)」にも登場させられていますが、どちらも主役は河内山宗俊と直侍で、市之丞はどう見ても二人の引き立て役でしかありません。



 閻魔堂とは目と鼻の先に近藤勇の陣屋跡があります。
 当時、長岡屋という酒造家であったこの地に近藤勇は陣営を敷きました。たちまち新政府軍に知れることとなって、包囲されます。すわ激突……と思われましたが、戦争にはなりませんでした。一説では、町が戦火に包まれるのを嫌った近藤がみずから出頭したとも、別の説では奸計に乗せられて、捕縛されたとも。
 その日は慶応四年(1868年)四月三日。近藤と土方歳三、今生の別れの日となりました。
 近藤は板橋の本営まで連行されて斬首。
 ともかく戦争は回避され、町も戦火を逃れることができました。



 陣屋跡で出会った二人。レンタサイクル(¥
300)を借りて観光中でした。

 折から世は歴女ブームです。ところが、私が市内を歩いている間、出会ったのはこのおぢさん二人組と若い夫婦者らしきカップル四組だけ。
 近藤はさておくとしても、土方歳三は歴女の人気ランクでも上位の人です。せっかくの好素材があるのですから、何かPRのやりようがあると思えるのですが、市も博物館も、市内の店々も、付和雷同せず、と決めているのでしょうか。

 新選組の羽織りを着た若い女性が「北総新選組流山案内」というパンフレットをくれました。混ぜっ返すつもりはありませんが、流山に駐屯したのは甲武鎮撫隊という名で、厳密にいえば新選組は自然消滅したあとです。
 裏面が地図になっていたので、見てみると歴史的建築物として呉服屋・新川屋と同・ましやが紹介されています。

 


 新川屋はくるときに見ていた店です。建物は古そうですが、前面が改築されていたので、何やらいわくはありそうな……と思いながら通り過ぎていました。弘化三年(1846年)の創業。建物は明治二十三年の建築。

 ましやは少し新しく安政六年(1859年)の創業。こちらは前面がさらに大幅に改築されています。
 昔からの建物が見えるようにしておけヨ、と赤の他人がいう筋合いではないが、松戸宿でも千住宿でも、そういう形で遺されている建物があるのです。

 このあたりの地名は流山市加(か)。無患子(ムクロジ)の観音寺がある木(き)の前身は未だわかりませんが、こちらは市制が布かれる前は加村といったようです。

 歩いているうちに腹が減ってきました。体調はあまりよくないけれども、空腹を覚えるぐらいだから、それほど悪いとはいえないのでしょう。
 ところが、前に訪ねたときと一緒で、開いている店が一軒もありません。コンビニでもあれば、と注意をしながら歩いても、コンビニすらない。
 ましやの先で右に折れ、流山街道に出たところで、セブンイレブンを見つけたので、サンドイッチとレモンウォーターを買いました。

 レジ袋を提げたまま、本行寺、光照寺と巡りました。腹が減っているので、一刻も早くサンドイッチを頬張りたいところですが、腰を下ろして小休止できそうな場所がありません。



 お寺にしては珍しく「関係者以外立入禁止」と注意書きのあった光照寺。
 そういうことなら入りませんが、敷地外から見るぐらいは自由でしょう、と思って近づいてみると、急に強い風が起きて、本当の花吹雪になりました。
 あまりにも見事だった(花吹雪が)ので、つい二、三歩……いや、十歩ぐらいだったか、無断進入を試みてしまいました。

 このお寺を目指して県道柏流山線を歩いていたとき、谷を隔てた向こうに桜山が見えていました。光照寺をあとにしたところでUターン。
 辿り着いてみると、結構見応えのある桜でした。しかし、公園の名は平和台1号公園とちょっと冴えない。
 ベンチがあったので腰かけ、やっとサンドイッチにありつくことができました。ホッと一息ついたのも束の間、風はますます強くなり、桜吹雪はもはや風流という段階を超越しつつありました。私の身体もいっぺんに冷えてきてしまいました。



 補遺
 北総新選組のキャラクターは「しもうさ」という兎です。もちろん「誠」を染め抜いた羽織を着、鉢巻を締めています。可愛いもの好きの私は気に入って、ここに紹介しておきたいと思ったのですが、もらったパンフレットの印刷がお世辞にも上等とはいえないので、我が庵のスキャナではきれいに取り込むことができませんでした。
 諸君の活動はボランティアなので、致し方ないか、とちょっぴり残念に思っているところです。


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1 コメント

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御来訪誠にありがとうございました (安房守義将)
2010-04-16 13:24:26
 この度は流山本陣御来訪、誠にありがとうございました。
 偶然御見掛け致しましたところ、弊北総新選組に関する記載がございましたので、御礼兼ねて御投稿させて頂きます。
 実は彼等が「長岡屋」に参りました時には「徳川陸軍別隊」等呼称を用いており、御指摘の通り新選組と言う名称は使っておりませんが大河ドラマ放送の年(平成16年)より展開をしております事と、ここに来た段階で近藤は「大久保大和守剛」と改名しているとの事で、「近藤勇陣屋跡」も不適切ではございましたが、広く一般に知られている「新選組」の名称を前面とした方が得策としたものでございます。
 また当該事業は市・県・国含め一切の助成金等公的資金を受けないモデルプランとして展開し、ボランティアも殆ど無会費、収入殆ど無しで実施しているもので、皆様にお配りするものが粗末でございます事は大変心苦しい次第でございますが、事業の主眼は「大都市近隣地域に於ける観光の創造」と「防犯」で、当該地区商店街との密接な連携による防犯を兼ねた観光誘導として実施している次第にございます。
 但し内外からもう少し詳細な或は良質な資料の提供に関する要望も多く、多々工夫して改善して参りたく存知ます。
 尚、御休憩には閻魔堂庭を御提供致しておりますが、当日は外部団体によるイベントがあり御案内が徹底されず、担当者に改善の指示を致しました。
 またの御来訪を心よりお待ち申し上げております。
特定非営利活動法人交通文化連盟鉄道輸送警備隊特命幕僚 安房守義将
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