時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

きかんしゃトーマス運転会のお知らせ

2007年08月12日 | ミニSL
今年は年初からずっと慌しかったので、一度も運転していなかったのですが、これから秋に向けて運転会の季節になりました。
今回、足立区新田の住区センターから運転の依頼があり、住区まつりの企画の1つとして、運転会を行うことになりましたのでお知らせします。昨年は、この地域にある私立高校のグラウンドを拝借して行い、地域の人たちとも楽しく交流ができました。今年は、時間と場所が決まっていませんが、とりあえず、読者の皆さんには、日程のみお知らせしておきます。
日時:2007年10月28日(日)、時間は未定
場所:足立区新田地域(詳細未定)

選挙違反で有罪の労組幹部に、組合が1億円の「犠牲者救援金」

2007年08月11日 | 政治問題
2004年の参院選を巡る川崎市交通局の労働組合幹部による選挙違反事件で、有罪が確定した川崎交通労組の元委員長(59)ら幹部8人に、同労組と上部団体の「日本都市交通労組(都市交)」8が「犠牲者救援金」として計1億円を支給していたことが9日、分かった。
懲戒免職や停職処分で支払われなかった退職金や給与、賞与を補てんする目的だという。
元委員長は、横浜市教職員組合出身で民主党比例候補の那谷屋正義氏(当選)の票の取りまとめを依頼され、現金15万円を受けとるなどした公選法違反の罪に問われ、懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定。2004年12月に懲戒免職になった。ほかの7人も罰金50万~30万円の略式命令を受け、6~3か月の停職となった。
労組関係者によると、都市交は昨年8月、元委員長に定年となる2008年3月までの給与と賞与、退職金に相当する4500万円を支出、元委員長の裁判費用などを加え計6000万円を支払った。川崎交通労組は8人に停職などによる給与の減額分など計4000万円を支出したという。
以前にも、労働組合が、組織として特定の政党を支持することは、組合の自殺行為であることを指摘しておいたが、今回の事件を見れば、その弊害は明らかである。
労組幹部が選挙違反で逮捕、有罪判決を受け、組合の費用でその人物の給与や退職金までが支払われたというのだから驚くばかりである。
労働組合の規約には、特定の政党を支持するということは記載されていない。当然、構成員の中には、自民、公明はもとより、様々な政党支持者が存在する。こういう構成員の政党支持の自由を侵害して、組織として特定政党支持を義務付け、挙句の果てに、選挙違反で御用になったら、その生活費を組合費で支給するなどとんでもないことである。
昔、日本社会党が労働組合に社会党一党支持を押し付け、これが結果的に労働組合運動を衰退させ、社会党を衰退させることにもつながった。それと同じ愚を、今度は民主党が犯そうとしている。もっとも、民主党の中の旧社会党関係者がこういう昔のやり方をそのまま民主党内に持ち込み、時代錯誤の「政党支持の押し付け」を労働組合に強要しているだけである。
今回の参議院選挙では、労働組合運動の総本山である連合までが、民主党の一党指示を組織的に決定したことはよく知られている。まさに、労働組合の自殺行為だ。
しかも、犯罪者に対して「犠牲者救援金」という名目で多額のお金が支払われたというから、その愚かさを笑わずにはいられない。
1億円もの組合費を流用されたまじめな組合員こそ最大の「犠牲者」である。民主党一党支持を労働組合に持ち込み、票の取りまとめと称して現金を受け取って私腹を肥やし、法律によって裁かれた人物に「救援金」を支払う必要などまったくない。
この組合も、今回の件を教訓に、今後は特定政党を支持するような方針は放棄すべきであろう。
労働組合、宗教団体などのあらゆる団体は、その設立主旨として「特定の政党を支持する」ことを明記していない限り、その団体が特定政党支持を決定することは、その構成員の思想、信条、政党支持の自由を侵害する違法行為である。
民主党の一党支持を押し付けるような労働組合運動に未来はないことは当然であるが、こういう支持を当たり前のように受けている民主党の未来も暗いことを最後に申し添えておく。

民主、政治資金「1円から領収書」案を提案へ

2007年08月10日 | 政治問題
書きたい記事があったので、ここ2、3日、そのことを書いていたら、この記事の投稿がすっかり遅くなってしまった。
自民党が、全ての政治団体を対象に、1円からの全ての支出に領収書を添付する法案を準備するとの報道があったが、自民党改革実行本部内でも猛反発があり、早くも立ち消えになりそうである。(これが、自民党のいう「改革実行」の正体なのである。)
自民党内からは、「自動販売機でジュースを買ったら、領収書がもらえない」などの意見も出ていたが、なぜ政治資金(国民の税金である政党助成金など)でジュースを買う必要があるのだろうか。そのくらい自腹を切るのが当たり前だというのが国民の声だ。
さて、腰折れの自民党に対して、参議院で過半数を占めた民主党が攻勢に出た。
政治団体の支出に領収書添付を義務付ける対象を「1円以上」とする政治資金規正法改正案を提出する方向で調整に入ったという。
しかし、ついこの前の通常国会では、「1万円以上」の法案を提出しておきながら、ここに来てなぜ「1円以上」なのだろうか?朝礼暮改も甚だしいではないか。自民党が「1円以上」と言い出したから、今さら「1万円以上」では格好がつかないという、ただそれだけの理由であろう。こういうところが、民主党に胡散臭さを感じる理由なのである。
それはさておき、この法案そのものは大歓迎だ。
企業などでも、社員が経費を使用した時に、たとえ少額でも領収書を添付することは当たり前だ。税務署などでも、1円残らず領収書が求められる。年金問題でも、不明年金を証明するために、国民に対しては「払ったと言うのなら領収書を出せ」と国民に求めてきたではないか。
このように、国民には強要しておきながら、自分たちはできないということはあり得ない。自民党の反対派からは、「秘書の業務が大変になる」などという意見もあったようだが、そういう大変なことをまじめな国民は日々行っているのである。
次の臨時国会で、早期にこの法律が通ることを願っている。

富裕層:15年で1.9倍 消費急増10兆円規模に

2007年08月09日 | 経済問題
さて、昨日、一昨日と、労働経済白書と経済財政白書を巡る記事を紹介したが、今日は、富裕層の実態について書いておこう。
第一生命経済研究所が、年間所得が2000万円を超える富裕層の人口が、日本で1990年から2005年の間に2倍近くに増えたとする調査リポートをまとめた。この層の消費総額が2006年は、2002年と比べ3割増の10兆円規模に急拡大したとも指摘している。景気拡大を背景に、富裕層の増加とその消費意欲が個人消費拡大に貢献している実態が浮き彫りになったという。
同研究所が国税庁、総務省の統計を基に調べたところ、2005年の年間所得2000万円超の納税者は約42万人で、1990年に比べ1.91倍に増加。この層の消費総額は2006年に10兆3900億円と推計され、2002年の7兆8700億円から32%増加していたという。
富裕層とその消費支出が拡大した背景には、好業績の企業が役員報酬を増やす動きがある。同リポートによると、資本金10億円以上の大企業の1人あたり役員報酬は、2006年までの3年間で18%増加。また、株価上昇や株式公開に伴う資産価値の増大、ストックオプション(役員や従業員に自社株を一定価格で購入できる権利を与える報酬制度)を通じ、多額の資産を形成する「ニューリッチ」層が増えたことも、大きな要因として指摘されている。
この記事を見ると、富裕層と呼ばれる人たちが如何に消費に貢献しているかというように読めるが、42万人の消費が約10兆円ということは、1人当りの消費額は、2500万円くらいとなろう。
一般の勤労者、サラリーマン家庭では、確かに給与総額は少ないが、逆に貯蓄をする余裕もないので、収入のほとんどを消費に回すのが普通だろう。
日本の国内総生産(GDP)の約500兆円のうち、個人消費が約半分を占めていると言われるが、この250兆円のうち富裕層がGDPに貢献する割合は10兆円なので約4%である。
この数字は確かに小さくはないが、やはり、一般庶民の消費こそがGDPを押し上げ、景気を左右することに変わりはない。
富裕層というだけあって、一般庶民よりも収入が多い分、消費額は多いであろう。しかし、こういう富裕層は、消費以上に、資産の蓄積や運用に熱心で、収入に占める消費額は思った以上に少ないと思われる。
富裕層をターゲットとしたマーケティング論も盛んだが、庶民のふところを応援し、活発な消費を促すことが、最も適切かつ効果的な景気対策であることは言うまでもないことである。

内閣府の経済財政白書も異例の提言

2007年08月08日 | 政治問題
内閣府が公表した2007年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、格差是正のため低所得者層を支援する新たな制度が必要だと提言した。
日本経済が成長し、所得水準が上がっても、格差は拡大傾向にあると分析し、具体策として、所得税を直接減額する「税額控除」と社会保障給付制度を組み合わせた「負の所得税」と呼ばれる仕組みを挙げた。税と社会保障を合わせ、高所得層から低所得層に所得を移していく必要性も指摘した。
また、戦後成長の景気回復を続ける日本経済の現状については、「06年後半から所得や家計消費の伸びに鈍化がみられる」と懸念を示した。賃金の伸び悩みの原因は、<1>フルタイムの非正規社員の増加<2>高い賃金を得ていた団塊世代退職者の増加<3>地方公務員の高給与構造の見直しによる賃金の引き下げ――などを挙げたが、1つの決定的な原因は見つからなかったという。
昨日取り上げた労働経済白書の分析とともに、日本経済や労働者の実態を比較的正しく捉えているが、残念ながら、原因分析が不十分なため、解決策を提言できていない。
「税と社会保障を合わせ、高所得層から低所得層に所得を移していく必要性」を内閣府として感じているのであれば、話は極めて簡単なはずだ。
空前の儲けを溜め込んでいる大企業に応分の負担を求めるため、法人税の定率減税を直ちに廃止し、税率を上げることだ。また、富裕層、高所得者層に応分の負担を求めればよい。この間、大幅に引き下げられてきた所得税の最高税率を元に戻せば済むことである。
法人税や所得税の最高税率を引き上げると、企業や富裕層が日本から出て行ってしまう、などという議論があるが、どこにそのような根拠があるのだろうか。
かつて、法人税の税率が高く、定率減税もなかった時にも、あるいは、所得税の最高税率が50%の時にも、外国に逃げ出す企業や富裕層はほとんどいなかった。
そもそも、日本には1億2000万人以上の人が住んでいる。世界の中でも一大消費大国なのである。仮に、企業が外国に逃げ出した場合も、結局、日本に製品を輸出しなければならなくなる。その際の輸送費や関税を考えると、法人税率の多少の引き上げなど大したことはない。また、富裕層が年間に国内で消費する金額は、GDPの中で微々たる割合に過ぎない。仮に富裕層の1、2割が日本からいなくなっても、日本経済にはまったく影響はない。
大企業が海外に行けば、人材の確保に困るだろう。富裕層も、言葉や文化、現地の法律などとの関係で、様々な問題に直面するだろう。
税率を引き上げると、あたかも、すべての大企業や富裕層が日本から忽然と消えうせてしまうような「推論」は現実的ではない。
日本の財政を健全化させ、格差を是正するためには、大企業や富裕層に思い切った増税を行うことだ。それができる政権のみが、日本の財政を健全化させ、少なくとも経済的な格差をなくすことができるだろう。

労働経済白書が異例の提言

2007年08月07日 | 政治問題
戦後最長におよぶ景気回復とは裏腹に、実質賃金は減り、労働時間も延びるなど労働環境が改善されていない実態が、厚生労働省が先日発表した2007年版「労働経済の分析」(労働経済白書)でわかった。
白書は非正規雇用や成果主義、裁量労働制などの拡大を原因として指摘。業績回復の果実が労働者にも行き渡るよう、新たな成果配分の仕組みが必要だと訴えている。
今回の白書は、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を主題に分析。賃金面では、1980年代や1990年代の景気回復期と、2002年からの今回の景気回復とで賃金上昇率を比較した。
今回の景気回復では、景気の谷だった2002年第1四半期に比べ、2006年第4四半期の賃金は従業員500人以上の大企業でも0.3%増でほぼ横ばい。100~499人の中堅企業では1.2%減、5~29人の小規模企業は5.3%減と、むしろ悪化した。物価上昇率を反映した2006年平均の実質賃金は、前年に比べ0.1%減った。
これに対し、1980年代の景気回復は小規模企業のデータがないが、大手や中堅でみると、1983年第1四半期からの回復時は賃金が9.1~5.0%上昇。1986年第4四半期からの回復期には、18.7~14.1%増えた。1993年第4四半期からでは8.4~3.9%増だった。
一方、2006年の労働時間は残業が5年連続で増え、総労働時間は前年比0.5%増の年間1811時間だった。若年層を中心に労働時間が短いパートが増えたものの、働き盛りの30代や40代の正社員に仕事が集中。週60時間以上働く人の割合を1996年と比べると、35~39歳が19.6%から21.6%に、40~44歳が16.3%から21.2%に、45~49歳が14.9%から18.3%に上昇した。
こうした現状について白書は、非正社員の増加や労働組合の組織率の低下などで「経済成長と労働生産性の上昇を労働条件の改善につなげる従来のメカニズムが働きにくくなった」と分析している。
また、この白書では、労働生産性が向上しているにもかかわらず、これが賃金の上昇に反映せず、その一方で、経営者への報酬や株主への配当が大幅に増えていることも指摘されている。
つい先日も記事の中で述べておいたが、多くの国民は、景気回復を実感できていない。大企業が儲けを溜め込んでいる一方で、労働者に分配されていないことを指摘しておいたが、今回の白書の内容はそれを裏付けるものである。
厚生労働省さえ、企業に分配の適正化を求めているのが現在の労働環境である。企業の儲けを労働者により多く分配するためには、国民世論の高揚を背景に、労働組合などが具体的な数字も指摘しながら企業と交渉し、成果の適正な分配を要求することである。
また、政府もこのデータに基づき、住民税や消費税などの庶民増税ではなく、法人税への課税強化や所得税の累進課税の強化による資産家への課税を強化し、これを福祉や医療、教育など庶民の暮らしに直接結びつく分野に投じることであろう。
給料が上がらないことをグチったり、泣き寝入りしているだけでは、決して賃金は上がらず、景気回復の恩恵を受けることはできないのである。

フルキャストの事業停止

2007年08月06日 | 政治問題
日雇い派遣大手のフルキャストが、労働者派遣法で禁止している港湾運送などへの違法派遣を繰り返しているとして、東京労働局は、同社に対して事業停止命令を出したという記事が報じられていた。
3月に事業改善命令を受けた後も違法な派遣を続けていることがわかり、今回の処分になったという。
このような違法な派遣に対して厳しい処分がなされたことは当然であろう。
しかし、違法派遣が繰り返される背景には、違法と知りながら派遣を受け入れる企業側の姿勢も問題である。こういう点から見れば、今回の処分は片手落ちと言わざるを得ない。
フルキャストのケースは、氷山の一角に過ぎないだろう。
たとえば、違法派遣である「偽装請負」でも、派遣企業には処分を行いながら、受け入れた企業には何の罰則も課していない。たとえば、松下、キヤノンなどの「偽装請負」の受け入れ企業には、何の処分も行われていない。
したがって、今回のケースでの厚生労働省の対応には非常に不満である。
また、派遣元に業務停止命令を出した場合、そこに登録して、毎日派遣されていた労働者は、その日から生活に困窮することになる。
こういう処分を課す場合は、そこから派遣されていた労働者に対する当面の生活保証を派遣会社に義務付けるべきである。
本紙の中でも、何度も述べてきたことだが、このような違法派遣がはびこる理由は、1999年の規制緩和にある。専門業務に限定されていた派遣制度を見直し、原則あらゆる業種に派遣労働が認められるようになったのがこの年である。そして、製造業にまで派遣が認められるようになったのが2003年である。それ以来、派遣労働者数は鰻上りに増え続け、今では全労働者のうち3人に一人が非正規雇用者になっている。
財界の言いなりになって、このような派遣労働を野放しにするような法律の改定が、「規制緩和」、「労働ビッグバン」の名の下に行われてきたのである。
現在、政府、与党は、派遣労働者に対する企業の「直接雇用義務」の撤廃なども企んでいるが、これを許せば、ありとあらゆる業種、業界で派遣労働が蔓延することにつながる。
労働者派遣法を、労働基本法の精神に立って、派遣労働者の保護のための法律に作り変え、正社員化を促し、派遣の際の最低賃金を増額し、休暇や保険制度などの充実こそ図るべきである。

発刊1周年

2007年08月05日 | その他
このブログを開設して、早や1年が過ぎた。
時々、記事を更新する予定だったが、いろいろと書きたい記事があって、ほぼ毎日の更新が続いている。原稿を準備したものの、掲載時期を逸して、ボツにしたものも少なくない。
さて、開設当初は、毎日の訪問者数は20-30人だったが、数ヶ月のうちに徐々に40人、50人と増えてきて、最近では、しばしば100人を越える方々に訪問いただき、記事の閲覧数は毎日200件近くになっているが、1日でも記事の更新を怠ると訪問者数、閲覧数ともに約半分になってしまう。ということは、毎日見てくれている読者がいるということなのだろう。
さて、訪問してくれている読者の皆さんは、いったいどのような記事に関心を持ってくれているのだろうか?
ご丁寧にコメントを残してくださる方もいるが、内容は賛否両論こもごもである。私の意見は記事の中で述べているので、ご返事は出さないことにしている。しかし、機会があれば別の記事の中でも、改めて私の意見を述べるようにしているので、それでご容赦をいただきたいと思っている。
さて、読者の皆さんが、この日本という国で暮らしていくうえで、2、3点申し上げておきたいことがある。
私たちは、先進資本主義国と言われるこの日本で暮らしており、ほとんどの勤労者が、何らかの形で大企業の恩恵を受けている。大企業に勤務して直接給料をもらっている人もいるだろう。大企業との取引によって暮らしが成り立っている人や大企業の開発品によって、暮らしに潤いを感じている人もいるだろう。このように、大企業の果たす社会的な役割は非常に大きなものがあり、誰もその役割を否定する人はいない。それゆえに、私たちの考え方の奥底に、企業活動を評価し、弁護し、擁護する考え方が知らず知らずの間に根を張ることになる。
こうなると、企業による様々な犯罪行為(種々の捏造、事故隠し、情報隠し、脱税、粉飾決算等々)や労働者に対する抑圧(首切り、偽装請負、残業代の不払い等々)なども、ついつい必要悪、やむを得ないといった受け止めになってしまいがちである。
大企業だろうが、巨大企業だろうが、所詮は人間の作ったものである。その企業による不法や不正はやはり許してはならないだろう。特にその社会的な影響は甚大だということを述べておきたい。
もう1点は、巨大で無駄な官僚機構、お役所機構である。政府も行政改革などと言いながらも、ここにはまったく手付かずで、実際にやってきたことは「改革」とは無縁の、国民サービスの切捨てである。
残念なのは、こういう巨大機構の大もとに対してではなく、末端の公務員に対する偏見や批判が多いことだ。
態度の悪い公務員や住民に対するサービス精神に欠けた公務員も多い。しかし、根本は、国や地方自治体が定めた様々な法律、制度や規則などによるものであり、この大もとを変えない限り、けっして末端の状況は変わらないのだ。末端の公務員には、天下り先もなく、一般庶民と同様の老後が待っているのである。
最後になるが、大企業の横暴や官僚機構を優遇してきたのは、政権与党による政策の賜物である。こういう現状を何とかしたいと願う読者諸兄は、とにかく今の社会のあり方、政治のあり方を根本から変えるしか方法はないのである。
このことを発刊1周年の記事として、強調しておきたい。

決めたばかりの政治資金規正法を改正?

2007年08月04日 | 政治問題
政治家の事務所費や水光熱費などの経常経費(人件費除く)について、透明性を高めるため、自民党が検討している政治資金規正法改正案の原案が明らかになった。
1円以上のすべての支出に領収書添付を義務づけることと、適用対象をこれまでの資金管理団体だけでなく、政治家本人、親族や秘書が代表を務める政治団体など「政治家と関係の深い政治団体」に広げることが柱だ。秋の臨時国会に、公明党と共に提出するという。
安倍内閣の発足後、松岡下農相、赤城徳彦前農相ら閣僚の事務所費問題が相次いで発覚したことを受け、政治資金の扱いを厳格化する必要があると判断したという
さて、この決定を読者の皆さんはどう感じられるだろうか?
編集長はこの決定を歓迎する。
しかし、先の通常国会では、民主党からは1万円超、共産党からは1円以上のすべての支出の報告を義務づける案が提出され、対象とする事務所の範囲も広げるべきであると野党側は主張したが、自民、公明の与党はこれを完全に無視して、金額は5万円以上とし、対象を資金管理団体のみに限定し、その他の政治団体を除外した「ザル法」を会期延長までして強行採決したばかりではないか。
今回、参議院選挙での国民の批判を浴びて、自ら襟を正して、より厳しい法案を提案しようという姿勢は評価に値するが、政治とカネの問題について多くの国民が怒りをもっていたことは、選挙前からわかっていたはずである。共産党を除く与野党は、政党助成金という国民の税金を政治資金として使用しているのだから、それをいつどういう目的で使用したかを国民に明らかにするのは当然ではないか。にもかかわらず、野党の反対を無視して「ザル」法を強行採決しておきながら、国民の顔色を見ながら、改革案を小出しにする、その根性がどうも気に入らない。
政治というものに対して、多くの国民は、あきらめにも似た気持ちを抱いているだろう。
これは、明治維新後、更には終戦後も、多くの国会議員の「先生方」が、国民に必要な情報を提供せず、必要な改革を行わずに(余計な「改革」ばかり行い)、不誠実な対応を取り続けてきたことに原因がある。
政治家も国民も、もう少しまじめに政治がいかにあるべきかを考えるべき時に来ているのではなかろうか。
ところで、この記事を投稿しようと思っていたら、新しいニュースが飛び込んできた。与党内で「(1円残らず)すべての領収書を添付することはいかがなものか」との反対論が浮上し、この自民党案は頓挫しそうだということだ。どこまで腐った政党なのか、あきれ果てるばかりである。

勤労者のくらしはいま

2007年08月03日 | 経済問題
6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、すべての給与を合わせた現金給与総額(1人当たり平均)は前年同月比1.1%減の46万5174円で、7カ月連続で減少したという。
ボーナスなど特別に支払われた給与は2.3%減の19万4184円であり、基本給など所定内給与も0.1%減の25万1763円と減少した。残業代など所定外給与は0.3%増の1万9227円だった。
常用労働者数は1.7%増の4444万8000人と、42カ月連続で増加。正社員など一般労働者は1.0%増の3296万1000人、パートタイム労働者は4.0%増の1148万6000人だったと報じられている。
政府は、景気が拡大しているとしきりに宣伝しているが、この調査は、正確に実態を反映しているように思われる。景気回復を実感しているのは、大企業の経営者だけである。
さて、このような経済情勢の中で、労働組合の総本山である連合は、運動の中心に据えていた大企業、公務員の組合員の労働条件向上よりも、パートなど非正規労働者や零細企業労働者への支援を優先する方針を固めたという。
連合幹部らが作成した運動方針の素案によると、これまでの非正規労働者や中小企業労働者への対応について「取り組みが労組全体のものとはなっていない。組織化も一部にとどまり、中央組織としての存在意義が低下している」と総括。今後の運動方針の力点として初めて「非正規労働者や零細企業で働く労働者への支援・連携の強化、組織化に最優先で取り組み、労働条件の底上げを図る」と明記したと報道されている。
しかし、労働運動の総本山としてはちょっとお粗末な決定ではなかろうか。
正規雇用者と非正規雇用者、零細企業労働者の間で格差が広がっているので、より給与水準の低い非正規雇用者などの待遇改善を図り、格差を是正したいという気持ちはけっして間違いではないだろう。その気持ちはわからないではない。
しかし、根本の問題は、大企業や輸出企業などがバブル期にも達成できなかったような史上空前の利潤を上げているにも関わらず、それが、労働者、下請け企業などに分配されず、企業に溜め込まれていることである。
もう少し簡単に言うと、大企業は正規雇用者だけでなく、非正規雇用者に対しても十分な給料を支払う能力を有しており、下請けに対しても代金を大幅に値上げしても支払えるだけの十分な資力を持っているということである。
連合がなぜこれらを一度に要求せずに、とりあえず非正規雇用者の賃上げだけを要求するのかが理解できないのである。
財界や経営者は、この連合の要求を大歓迎するだろう。なにしろ、労働者側から、正規雇用者の賃上げはほどほどで結構です、その代わりにパートや下請け単価を値上げして下さい、ということだから、企業にとってはうれしい限りである。ボーナスや退職金の積み立てもなく、社会保険料の安いパート労働者の賃上げなどたいした金額ではない。
労働者全体に分配される「パイ」の大きさをそのままにして、分配方法のみを争うのではなく、パイそのものを大きくさせるような春闘にしなければ、正規雇用者も、非正規雇用者も救われない社会になるのである。

参議院選挙後のあれこれ

2007年08月02日 | 政治問題
今日も参院選ネタで恐縮である。
赤城農相(衆院茨城1区)が、今頃になって辞任したと報じられた。自らの政治団体の不適切な会計処理により政府や与党に迷惑をかけ、参院選惨敗の原因を作ったというのが、その理由である。報道によれば更迭ということだが、それならサッサと更迭しておくべきであった。お粗末極まりない。
しかし、自らの政治資金の会計処理が適法だったというのなら、辞任を求められても、辞任する必要はまったくない。要するに、その説明に後ろ暗いところがあり、国民がそれを信用していなかったがゆえに、参院選において、自民、公明の与党の歴史的惨敗に至ったわけである。
安倍政権は、昨年9月に発足後、わずか1年足らずの間に、閣僚の交代はこれで4人目となった。いかにこの内閣が異常な内閣であるかを如実に物語っているではないか。
こういう人物を党内に抱えている自民党、さらに、こういう人物を閣僚に抜擢せざるを得ない自民党という政党そのものの存在意義が問われているのではなかろうか。

さて、少し、時間が遡るが、開票速報のテレビを見ていて呆れたことがある。
各党の書記長が登場して、参院選を振り返っての感想を聞かれていたが、冒頭に、各党とも国民、支持者へのお礼を述べた後で、選挙戦を振り返っての論評を行っていたが、その中にあって、公明党の異常さが際立っていた。
「ご支援をいただいた創価学会の皆様に・・・」
公明党と創価学会の関係は、誰しも知るところであり、別段驚くには当らないが、公共の電波を通じて、公然と「創価学会の皆様・・・」には、ほとほとあきれはててしまった。
もっとも、こういうお礼を述べておかないと、翌日の聖教新聞の座談会で「誰のお陰で議員になれたと思っていやがるんだ。」などと宗教人とは思われないような口汚い言葉で罵倒されかねないし、書記長といえども、次回の選挙で候補者リストから直ちに削除されるのだろう。
それにしても、忌まわしい政党というほかはない。
宗教団体、労働組合などの団体が、組織として特定政党の支持を決定することは、以前にも述べたように、それぞれの構成員の思想、信条、政党支持の自由を侵す違法行為である。
他の宗教団体や労働団体も、自民党や民主党の支持を組織的に決定し、この点では、公明党とたいした違いはないが、少なくとも、民主党が「連合の皆様に・・・」などと公然と発言することはない。
こういう点では、自民党や民主党は、まだ崖っぷちで、人間としての最低限の「常識」をわきまえているが、公明党幹部のテレビでの発言は、人間としての最後の一片の「常識」さえ投げ捨てた発言であった。人間としても、政党としても、哀れというほかはない。
「未来に責任」が、公明党のキャッチフレーズだったが、こういう政党には、到底、日本の未来は託せないのである。

選挙が終わって、街から選挙ポスターが撤去され、風景が一変した場所もあるが、自民党、民主党そして国民新党などは未だにポスターが張り出しっ放しである。見苦しいこと甚だしい。民主党に至っては、参院選の直前まで、前回の衆院選のポスターが張り出されていた所もあったが、これから推察すると、現在はがしていない参院選のポスターは、次の衆院選まで張り出しておくつもりなのだろうか?

参院選後の政治のあり方

2007年08月01日 | 政治問題


先の参院選における自民、公明の与党の敗北に関して様々な議論がある。
構造改革路線にブレーキがかかるのではないか、外交路線も修正が必要になるのではないか、という「懸念」が表明されている。
しかし、本当にそうだろうか?
政府が主張し、実行してきた「構造改革」とは、バブル崩壊後の不況を克服すると称して、ゼロ金利政策の継続、法人税率の引き下げ、年金などの公的資金での株価の吊り上げなど、企業を応援する施策を次々と打ち出し、大企業は、あのバブル期の1.8倍という儲けを生み出すに至っている。一方で、国民には年金保険料の値上げ、給付の削減、所得税と住民税の定率減税廃止などを矢継ぎ早に行ってきた。結果として、多くの国民が感じているように、「景気が回復しているというが、実感できない」という状況が生まれている。
大企業を徹底して応援し、庶民にそのツケを背負わせるというのが、政府の行ってきた「構造改革」の実態である。
また、「構造改革」路線の中で、政府が進めてきた「規制緩和」(これには民主党も数値目標を競い合ってきたわけだが、)によって、たとえば、タクシー業界や運輸業界では、確かに利用者からみれば安くなって良かったという状況になっているが、さまざまな矛盾も生まれている。過当競争によって、運輸業界で働く労働者の人件費は極限まで削られている。トラックによる事故も増えているが、その原因として、過労、睡眠不足による居眠り運転などが指摘されている。
さらに、「規制緩和」と称して、派遣労働が可能な職種を製造現場も含めてどんどん広げたために、あらゆる職種に非正規雇用者が増え続け、労働者の3人に1人は派遣労働者となっている。また、日雇い派遣に加えて、違法な偽装請負なども急速に拡大し、ネットカフェ難民、バーガーショップ難民と言われるような新たな貧困層を生み出してきた。
これが、政府、与党が行ってきた「構造改革」の正体である。
したがって、今回の選挙結果を受けて、このような偽装「構造改革」にブレーキがかかり、終止符が打たれることを心から期待するものである。
外交問題についてはどうだろうか?
太平洋戦争に対する反省がまったくない内閣、靖国参拝についても自らの立場を国民に説明できない首相、原爆はしょうがないと発言した元防衛大臣、隣国ばかりでなく同盟国であるアメリカの議会からも厳しい非難を浴びた従軍慰安婦問題など、この内閣がまともな外交能力がないことは明白である。
さらに、北朝鮮問題でも、話し合いのための独自の外交ルートを確立することができず、小泉前首相が自ら北朝鮮に乗り込んだことと比べても、まったく進展がなく、今後の展望さえ見出せない。このような外交路線に修正が必要になるのは当たり前のことある。
以上のように、多くの善良な国民にとって、構造改革路線にブレーキがかかるのではないか、外交路線も修正が必要になるのではないか、などと「懸念」する必要は毛頭ない。このような「懸念」を表明しているのは、労働市場における「規制緩和」や法人税の減税で、恩恵を受けてきた経団連のお偉方、大企業の経営者だけなのである。
これからは、安倍内閣が進めてきた暴走に、少しはブレーキがかかることを期待している。