時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

参院選後の政治のあり方

2007年08月01日 | 政治問題


先の参院選における自民、公明の与党の敗北に関して様々な議論がある。
構造改革路線にブレーキがかかるのではないか、外交路線も修正が必要になるのではないか、という「懸念」が表明されている。
しかし、本当にそうだろうか?
政府が主張し、実行してきた「構造改革」とは、バブル崩壊後の不況を克服すると称して、ゼロ金利政策の継続、法人税率の引き下げ、年金などの公的資金での株価の吊り上げなど、企業を応援する施策を次々と打ち出し、大企業は、あのバブル期の1.8倍という儲けを生み出すに至っている。一方で、国民には年金保険料の値上げ、給付の削減、所得税と住民税の定率減税廃止などを矢継ぎ早に行ってきた。結果として、多くの国民が感じているように、「景気が回復しているというが、実感できない」という状況が生まれている。
大企業を徹底して応援し、庶民にそのツケを背負わせるというのが、政府の行ってきた「構造改革」の実態である。
また、「構造改革」路線の中で、政府が進めてきた「規制緩和」(これには民主党も数値目標を競い合ってきたわけだが、)によって、たとえば、タクシー業界や運輸業界では、確かに利用者からみれば安くなって良かったという状況になっているが、さまざまな矛盾も生まれている。過当競争によって、運輸業界で働く労働者の人件費は極限まで削られている。トラックによる事故も増えているが、その原因として、過労、睡眠不足による居眠り運転などが指摘されている。
さらに、「規制緩和」と称して、派遣労働が可能な職種を製造現場も含めてどんどん広げたために、あらゆる職種に非正規雇用者が増え続け、労働者の3人に1人は派遣労働者となっている。また、日雇い派遣に加えて、違法な偽装請負なども急速に拡大し、ネットカフェ難民、バーガーショップ難民と言われるような新たな貧困層を生み出してきた。
これが、政府、与党が行ってきた「構造改革」の正体である。
したがって、今回の選挙結果を受けて、このような偽装「構造改革」にブレーキがかかり、終止符が打たれることを心から期待するものである。
外交問題についてはどうだろうか?
太平洋戦争に対する反省がまったくない内閣、靖国参拝についても自らの立場を国民に説明できない首相、原爆はしょうがないと発言した元防衛大臣、隣国ばかりでなく同盟国であるアメリカの議会からも厳しい非難を浴びた従軍慰安婦問題など、この内閣がまともな外交能力がないことは明白である。
さらに、北朝鮮問題でも、話し合いのための独自の外交ルートを確立することができず、小泉前首相が自ら北朝鮮に乗り込んだことと比べても、まったく進展がなく、今後の展望さえ見出せない。このような外交路線に修正が必要になるのは当たり前のことある。
以上のように、多くの善良な国民にとって、構造改革路線にブレーキがかかるのではないか、外交路線も修正が必要になるのではないか、などと「懸念」する必要は毛頭ない。このような「懸念」を表明しているのは、労働市場における「規制緩和」や法人税の減税で、恩恵を受けてきた経団連のお偉方、大企業の経営者だけなのである。
これからは、安倍内閣が進めてきた暴走に、少しはブレーキがかかることを期待している。


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