時々新聞社

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選挙違反で有罪の労組幹部に、組合が1億円の「犠牲者救援金」

2007年08月11日 | 政治問題
2004年の参院選を巡る川崎市交通局の労働組合幹部による選挙違反事件で、有罪が確定した川崎交通労組の元委員長(59)ら幹部8人に、同労組と上部団体の「日本都市交通労組(都市交)」8が「犠牲者救援金」として計1億円を支給していたことが9日、分かった。
懲戒免職や停職処分で支払われなかった退職金や給与、賞与を補てんする目的だという。
元委員長は、横浜市教職員組合出身で民主党比例候補の那谷屋正義氏(当選)の票の取りまとめを依頼され、現金15万円を受けとるなどした公選法違反の罪に問われ、懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定。2004年12月に懲戒免職になった。ほかの7人も罰金50万~30万円の略式命令を受け、6~3か月の停職となった。
労組関係者によると、都市交は昨年8月、元委員長に定年となる2008年3月までの給与と賞与、退職金に相当する4500万円を支出、元委員長の裁判費用などを加え計6000万円を支払った。川崎交通労組は8人に停職などによる給与の減額分など計4000万円を支出したという。
以前にも、労働組合が、組織として特定の政党を支持することは、組合の自殺行為であることを指摘しておいたが、今回の事件を見れば、その弊害は明らかである。
労組幹部が選挙違反で逮捕、有罪判決を受け、組合の費用でその人物の給与や退職金までが支払われたというのだから驚くばかりである。
労働組合の規約には、特定の政党を支持するということは記載されていない。当然、構成員の中には、自民、公明はもとより、様々な政党支持者が存在する。こういう構成員の政党支持の自由を侵害して、組織として特定政党支持を義務付け、挙句の果てに、選挙違反で御用になったら、その生活費を組合費で支給するなどとんでもないことである。
昔、日本社会党が労働組合に社会党一党支持を押し付け、これが結果的に労働組合運動を衰退させ、社会党を衰退させることにもつながった。それと同じ愚を、今度は民主党が犯そうとしている。もっとも、民主党の中の旧社会党関係者がこういう昔のやり方をそのまま民主党内に持ち込み、時代錯誤の「政党支持の押し付け」を労働組合に強要しているだけである。
今回の参議院選挙では、労働組合運動の総本山である連合までが、民主党の一党指示を組織的に決定したことはよく知られている。まさに、労働組合の自殺行為だ。
しかも、犯罪者に対して「犠牲者救援金」という名目で多額のお金が支払われたというから、その愚かさを笑わずにはいられない。
1億円もの組合費を流用されたまじめな組合員こそ最大の「犠牲者」である。民主党一党支持を労働組合に持ち込み、票の取りまとめと称して現金を受け取って私腹を肥やし、法律によって裁かれた人物に「救援金」を支払う必要などまったくない。
この組合も、今回の件を教訓に、今後は特定政党を支持するような方針は放棄すべきであろう。
労働組合、宗教団体などのあらゆる団体は、その設立主旨として「特定の政党を支持する」ことを明記していない限り、その団体が特定政党支持を決定することは、その構成員の思想、信条、政党支持の自由を侵害する違法行為である。
民主党の一党支持を押し付けるような労働組合運動に未来はないことは当然であるが、こういう支持を当たり前のように受けている民主党の未来も暗いことを最後に申し添えておく。