時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

いま、高齢者が怒る時

2008年03月22日 | 医療・社会保障
4月1日より、後期高齢者医療制度が始まる。
今まで全ての国民が、職場あるいは政府管掌の国民健康保険に加入していたわけだが、この制度の開始により、75歳以上の高齢者は、従来の保険から脱退させられ、全員がまったく新しい「後期高齢者医療保険」に強制的に加入させられることになる。
厚生労働省の「第6回社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会資料」によると、「後期高齢者の心身の特性」として、次の3点が述べられている。
(1)老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患(特に慢性疾患)が見られる。
(2)多くの高齢者に、症状の軽重は別として、認知症が見られる。
(3)いずれ避けることが出来ない死を迎える。
ということだそうだ。
要するに、75歳以上の高齢者は、複数の慢性疾患に罹っており、認知症もある。しかも治療や入院をさせても、なかなか治らずに結局は死んでしまう。だから、他の世代とは異なる保険制度に加入させて、自己負担をしてもらうとともに、治療や入院なども適当な時期に打ち切ってしまうという制度である。人間の尊厳すら否定するような驚くべき発想である。
こういう発想に立つと、高齢者ばかりでなく、障害者などは、徹底的にいじめられることにならないだろうか。
もっとも、この文章の原案を作成したのは、厚生労働省の役人であり、審議会の委員には直接の責任はないのかもしれないが、この審議会の議事録などを見ると、特に議論にはならなかったようなので、審議会委員のお偉方もそう思っているにちがいない。
75歳以上の高齢者全員が、この医療制度に加入させられ、年金から強制的に保険料を徴収される。年金額が15000円未満の高齢者は、別途、納入通知書が送付されてくるので、これに従って保険料を払い込まなければならない。
保険料を滞納すると、保険証を取り上げられ、病院を受診する場合はすべて自己負担となる。現在の保険制度では、保険料を滞納したからといって直ちに保険証を取り上げられることはないが、新しい制度では、ウムを言わせず取り上げられる。
この制度の導入が国会で決定されたのは、2006年6月であり、小泉首相の時代である。後期高齢者を含む多くの国民が小泉「改革」に熱狂していた時である。
今頃になって気付いても遅いのだが、これが小泉が行った医療「改革」の中身である。
後期高齢者の負担が増え、満足な医療も受けられなくなって最も困るのは本人だけでなく、それを介護する子供や家族である。
75歳の高齢者の子供の世代と言えば、ちょうど40代、50代の働き盛りであるため、経済的な負担は何とかなるかもしれないが、寝たきりになっても入院期間に制限があるため、すぐに退院させられ、家庭で治療や介護を続けたり、次の病院を探さなければならず、精神的な負担は大変なものだ。
後期高齢者とその家族は、小泉人気に隠れて、国会でさっさと後期高齢者医療制度を通してしまった自民、公明両党に怒りの矛先を向けることが重要だ。
既に、自治体などから、後期高齢者医療制度に関するお知らせが届いていると思われるが、自治体に文句を言っても仕方がない。腹立ちの際には、自民、公明両党に怒りの電話やFAX、mailを送っていただきたいと思っている。