時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

春闘の低額回答:連合の存在意義を問う

2008年03月13日 | 経済問題
自動車、電機の主要企業の春闘は、多くの企業が前年並みの月額1000円程度の賃上げを回答した。
1000円と言えば、年間で12000円であり、ボーナスに反映される分を含めても2万円くらいであろう。
上場企業の業績は6期連続で増収増益を更新する見通しの中、この低水準の賃上げには納得できるものではない。
経営側が主張する「国際競争力の低下」に加え、年明けからの原油高や円高、景気の先行きなど不安要因が立ちはだかり、好業績という追い風をかき消したなどと報じられているが、原油高やそれに伴う物価上昇に四苦八苦しているのは、企業ではなくむしろ家計である。企業は、原材料費の値上がり分を最終的には中小企業や消費者に転嫁できるが、消費者である労働者世帯ではそれすらもできない。
政府は、バブル崩壊後の不況の中で、企業が潤えば、それがやがては家計に波及するという「おこぼれ論」を振り回して、企業減税や補助金の垂れ流しなどで、企業の収益増を支えてきた。その結果、トヨタのように、連結ベースで今期に2兆3000億円の営業利益を稼ぐまでに企業業績は回復している。にもかかわらず、この利益が労働者、中小企業に還元されず、これほどまでに経済格差が問題になっているのである。
福田首相が、日本経団連の御手洗冨士夫会長など経営側に直接会い、“異例”の賃上げ要請を行うほどの字体になっているのである。
このような低額回答に終わった最大の原因は、企業によるもうけの抱え込みにあるが、昨年、今年の低額回答を見ると、理由は何も経営者側にだけあるわけではないと思われる。
大企業の労組のほとんどが加盟している連合などは、そもそも御用組合の集まりであり、企業側と対決して大幅な賃上げを勝ち取ろうという危害など持ち合わせてはいない。密室で馴れ合いの協議を行い、低額回答だからといって、ストライキを行うわけでもなく、むしろ、経営側の回答に理解を示し、「企業あっての労働者だ」などと組合員を説得に回るのが関の山であろう。
今年の春闘は、労働組合、特に御用組合の総本山である連合の存在意義がますます薄れた春闘だったことも確かである。