時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

生活雑貨のロフト、パートの希望者全員を正社員に

2008年03月03日 | 経済問題
生活雑貨専門店を展開するロフト(新宿区)は、パートタイマー、契約社員、正社員の3区分を撤廃し、パートの希望者全員を3月16日から正社員にする。
小売業の人手不足感が強まる中、働き方次第で管理職などへ昇格できる道を開き、優秀な人材を確保するという。
製造業、サービス業を問わず、非正規雇用が広がる中で、全員を対象に正社員化するのは極めて珍しい。
ロフトは現在、正社員約400人、契約社員約280人、半年契約のパート2,650人が働いている。パートは店内レジや商品陳列などが主な仕事で、このうち2,350人が正社員になることを希望しているという。
パートから正社員になれば、60歳定年制が適用される。これまで売り場責任者には契約社員、本部の幹部には正社員しかなれなかったが、能力や実績次第で登用される。勤務時間は現在と同じ週20~40時間の中から選べるが、リーダー以上は週32時間以上働く必要がある。
ロフトによると、職務制度の見直しで総人件費は約1割増えるという。
政府や経団連などは、非正規雇用が広がるのは「働き方が多様化」してきたからだと主張し、あたかも、労働者自身が非正規雇用を希望しているかのように描き出してきたが、この分析が誤りであることが明らかになった。半年契約のパート2,650人のうち、90%近い2,350人が正社員への登録を希望しているということは、「働き方が多様化」しているのではなく、企業による「働かせ方が多様化」しているにすぎない。
今回のロフトの正社員化では、勤務時間は現在と同じ週20~40時間の中から選べるという柔軟性を備えており、労働者の「働き方」にも配慮した内容になっている。
原油や穀物価格に端を発した物価上昇が続いているが、賃金は頭打ちで、いわゆる「悪性インフレ」の様相を呈している。
企業は、人件費を徹底的に押さえ込みながら利益を上げてきたが、この方法は間違っている。
正規雇用を広げ、労働者の働く意欲を引き出し、生産性を向上させることによって、企業が業績を伸ばし、これを賃金の上昇に繋げるというのが、本来の企業活動のあるべき姿であろう。
多くの企業が今回のロフトの試みを見習って、非正規雇用の解消に向けて努力することを期待するものである。