ところで、第2次安倍政権は2012年からざっと8年間続いた。2020年に菅義偉内閣が登場するが、
1年で退場、2021年に岸田文雄内閣が誕生した。この内閣は3年間続き、昨年10月に石破内閣がスタートした。
鳴り物入りで実行に移されたアベノミクスだったが、結局どうだったのか。
財務省によれば、2023年度の企業の内部留保(企業の利益から税金や配当を差し引いたもの)は600兆円であった。
2012年は300兆円だったというから、11年間で倍増したことになる。
企業、とくに大企業はアベノミクスで大もうけしたわけてある。
一方、国民の方はどうだったのか。総務省統計局によると、2012年の1人当たりの国民所得は406万円だったが、
2023年のそれは447万円に過ぎなかった。11年間に10%しか増えなかったのである。
富は、富める者から貧者にこぼれ落ちることはなかったのだ。そればかりではない。
むしろ、アベノミクスは国民の間に分断と経済格差を生んだ。富める人と貧しい人の出現である。
こうしたことから、今や、アベノミクスは失敗だったとの見方が一般的である。
菅内閣、岸田内閣とも、あらゆる面で安倍政権を踏襲したから、「アベ政治」は12年続いたことになる。
その上、石破政権になっても、「アベ政治」は完全にはなくならなかった。
「アベ政治」の負の遺産である「裏金問題」や「企業・団体の献金問題」が今なお解決しないからだ。
石破政権が自民党の旧安倍派をおもんばかってこれらの問題の解決に消極的だからである。
要するに、「アベ政治」はまだ生きている、と言っていいのではないか。
加えて、2022年から顕著になった物価の高騰が、市民の生活を苦しめるようになった。
今年になってからは、コメの価格が異様なほど上昇、市民をうろたえさせた。
これに対し、石破政権は今なお有効な経済政策を打ち出してはいない。
要するに、今度の参議院選挙を前にして、自民党に対する国民の憤りと不満は頂点に達していたのではないか。
だから、これまで自民党支持だった有権者のかなりの部分が、国民民主党や参政党に怒濤の如く流れたのだろう。
その人たちは、立憲民主党、共産党などの既成政党でなく、新しい政党なら期待できるのではと思ってそこを選んだのだろう。
公明党が議席を減らしたのは、1つには、「下駄の雪」と揶揄されるほどずっと自民党との連立を
続けているところから嫌われたのだろう。そう思わずにはいられなかった。
投票率は58.51%。2022年の前回選挙より6.46ポイント高かった。
国民の多くは、」自分の意思を早く示そうと、投票所へ行くのを待っていたのではないか。
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