週刊ポストの記事は、そうなのか。
都内にビルが、墓場。
納骨堂か。
「実家のお墓が維持できない「無縁墓問題」や、都心で入るお墓が見つからない「お墓不足問題」が顕在化している。そうした中で、いま人気を集めているのが「納骨堂」という選択肢だ。かつては「身寄りのないお骨が辿り着く場所」というネガティブな印象を持たれがちだったが、そのイメージはガラリと変化しているという。『いまどきの納骨堂』(小学館刊)を上梓したノンフィクションライターの井上理津子氏が案内する。
* * *
近頃、新聞をめくっていると「納骨堂」の広告をやたら見かけるようになった。
〈〇〇駅から徒歩〇分〉
〈天候に左右されず、手ぶらでお参りができる〉
などのキャッチコピーが目にとまる。この5~6年の間に、都心に新しいスタイルの納骨堂が急増しているという。どうして納骨堂なのか。私は、いくつかの納骨堂に足を運ぶことにした。
2014年に完成した「新宿瑠璃光院白蓮華堂」は、新宿駅南口から徒歩3分の好立地にある。高層ビルを背景に建つ白亜のビルだ。館内に入り、受付横にあるパネルにICカードをかざすと、8か所ある「参拝ブース」の中から空室が表示される。
参拝ブースを選び移動すると、「厨子」(骨壺を入れた箱)がベルトコンベアで保管庫から運ばれ、自動で参拝ブースの墓石にセットされる。供花や、火のいらない「電子線香」も用意されているので、手ぶらでお墓参りができる。
こうした、機械でお骨を運ぶスタイルの納骨堂は、「自動搬送式」と呼ばれる。東京都内でこの5年間のうちに約5倍、30か所に増えたという。今年1月にも東京・目黒区に、9500基のお墓と38か所の参拝スペースを持つ「目黒御廟」がオープンしたばかりだ。
なぜ「自動搬送式」を選んだのか、新宿瑠璃光院の利用者に尋ねた。
「夫が亡くなった時に娘と相談して、家から電車で一本で通えるここを選びました」(調布市在住・69歳女性)
「最初は『室内のお墓なんて』と思っていました。でも、ここは内装も何もかもハイグレードで、亡くなった夫の美的センスにも合うので、喜んでくれていると思います」(世田谷区在住・85歳女性)
かつては「ベルトコンベアで運ぶなんて故人に申し訳ない」と抵抗感を持つ人が多かったが、利用者の意識は変化しているようだ。
自動搬送式の相場は80万~130万円程度。前述の目黒御廟の場合、販売価格は85万円、108万円、136万円の3タイプだ。
新宿瑠璃光院の場合、一般的なサイズの骨壺が2つ入る家族用で180万円(すでに完売)、もしくは200万円。株式会社鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査」(2017年)によれば、外墓の平均購入価格は174万1000円なので価格はほぼ変わらない。
新宿瑠璃光院には500万円の「特別個室」もある。購入者専用のひときわ豪華な個室が用意された、いわば“スイートルーム”だ。外墓における青山霊園のように、富裕層にとっても「高級納骨堂こそステータス」という時代が来ているのかもしれない。
◆「一代だけのお墓」になる
遺骨を移動させる自動搬送式に対して、「軽々しい」と否定的な人々も確かにいた。そうした中で、“外墓との間を取った形”と人気を集めるのが、「仏壇型」「ロッカー型」の納骨堂だ。
両タイプを有する「立正寺」(渋谷区代々木)を訪ねた。
3階建ての納骨堂に入ると、幅広い通路の両側に仏壇型が60基、ロッカー型が160基並ぶ。どちらも黒の本塗りが施され、同じ高さだが、ロッカー型は天地に5基重なっている。
率直に言うと、私は最初、「仏壇は家に置くものでしょう」という思いがあった。しかし、同行したカメラマンの「何百人もの方がこの中に眠っていると思うと身が引き締まるね」という一言でハッとした。自動搬送式では、目の前にして祈るのは先祖の遺骨のみだが、ここでは室内全域に故人の気配を感じ、凛として張りつめた空気があった。供花や線香も実物で、意外と従来のお墓参りに近い感覚だ。
価格は、仏壇型が使用期間33年で180万円、ロッカー型は13年と33年があり、最も安いものは60万円だ。
使用期間の限定はやや気になったが、更新することも可能で、使用期間が終われば永代供養墓に合祀される。「子供の代までお参りに来てくれればいい」という理由で期間限定の形態を選ぶ利用者もいるという。
なかには驚くべき価格の仏壇型納骨堂もあった。東京・青山にある実相寺「青山霊廟」の「特別壇」は、何と600万円。
幅62センチ、高さ2メートル弱の特別壇は、木製部分に天然漆より高品質のカシュー塗りが施され、手彫りの薬師如来まで安置されている。仏壇のひとつひとつが、小さな寺のようだ。青山霊廟の販売担当者が語る。
「自動搬送式はご先祖がほとんどの時間を暗い保管庫で過ごさなければなりません。ここなら常に明るい場所にいることができます」
一方、新宿区早稲田にある龍善寺の「早稲田墓陵」は、「家族用で48万円」のリーズナブルな価格設定だ。
特徴は、参拝スペースに「お骨がない」こと。地下の参拝室に墓石はなく、台の上に阿弥陀如来があり、その手前に花立と焼香台があるが、お骨は別室の棚に保管されているという。住職の平松浄心さんがいう。
「お墓は亡くなった方のためではなく、お参りに来る方のもの。遺骨に向かって手を合わせても意味がありません。遺骨を持ってきてほしいという方には、納骨室の棚から係の者がお運びしますが、お申し付けになる方は稀です」
壁には大型モニターが設置され、法名や遺影、思い出の写真などが表示される。遺族が仏像の前で拝む行為を重視しているのだ。
「誰のためにお参りするのか」──様々なタイプの納骨堂はそうした問いを投げかける。利用者の答えに合ったものを選ぶ必要があるだろう。」
今に、平成から、新しい年号の終わりに、納骨堂が、存在するのか。
面白い。
地震、災害、津波、で、住む家は、なくても、納骨堂が残るか。
最後は、維持費を出す、一族は、いるのか。
今に、神舎仏閣、庶民の家は、崩壊しても、納骨堂が、残り、維持できないで、
更地になるのかもしれない。
マリリンモンローのような、納骨堂のような、墓はいり、永遠の残るは、
地震、津波のない、ところだろうな。
都内にビルが、墓場。
納骨堂か。
「実家のお墓が維持できない「無縁墓問題」や、都心で入るお墓が見つからない「お墓不足問題」が顕在化している。そうした中で、いま人気を集めているのが「納骨堂」という選択肢だ。かつては「身寄りのないお骨が辿り着く場所」というネガティブな印象を持たれがちだったが、そのイメージはガラリと変化しているという。『いまどきの納骨堂』(小学館刊)を上梓したノンフィクションライターの井上理津子氏が案内する。
* * *
近頃、新聞をめくっていると「納骨堂」の広告をやたら見かけるようになった。
〈〇〇駅から徒歩〇分〉
〈天候に左右されず、手ぶらでお参りができる〉
などのキャッチコピーが目にとまる。この5~6年の間に、都心に新しいスタイルの納骨堂が急増しているという。どうして納骨堂なのか。私は、いくつかの納骨堂に足を運ぶことにした。
2014年に完成した「新宿瑠璃光院白蓮華堂」は、新宿駅南口から徒歩3分の好立地にある。高層ビルを背景に建つ白亜のビルだ。館内に入り、受付横にあるパネルにICカードをかざすと、8か所ある「参拝ブース」の中から空室が表示される。
参拝ブースを選び移動すると、「厨子」(骨壺を入れた箱)がベルトコンベアで保管庫から運ばれ、自動で参拝ブースの墓石にセットされる。供花や、火のいらない「電子線香」も用意されているので、手ぶらでお墓参りができる。
こうした、機械でお骨を運ぶスタイルの納骨堂は、「自動搬送式」と呼ばれる。東京都内でこの5年間のうちに約5倍、30か所に増えたという。今年1月にも東京・目黒区に、9500基のお墓と38か所の参拝スペースを持つ「目黒御廟」がオープンしたばかりだ。
なぜ「自動搬送式」を選んだのか、新宿瑠璃光院の利用者に尋ねた。
「夫が亡くなった時に娘と相談して、家から電車で一本で通えるここを選びました」(調布市在住・69歳女性)
「最初は『室内のお墓なんて』と思っていました。でも、ここは内装も何もかもハイグレードで、亡くなった夫の美的センスにも合うので、喜んでくれていると思います」(世田谷区在住・85歳女性)
かつては「ベルトコンベアで運ぶなんて故人に申し訳ない」と抵抗感を持つ人が多かったが、利用者の意識は変化しているようだ。
自動搬送式の相場は80万~130万円程度。前述の目黒御廟の場合、販売価格は85万円、108万円、136万円の3タイプだ。
新宿瑠璃光院の場合、一般的なサイズの骨壺が2つ入る家族用で180万円(すでに完売)、もしくは200万円。株式会社鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査」(2017年)によれば、外墓の平均購入価格は174万1000円なので価格はほぼ変わらない。
新宿瑠璃光院には500万円の「特別個室」もある。購入者専用のひときわ豪華な個室が用意された、いわば“スイートルーム”だ。外墓における青山霊園のように、富裕層にとっても「高級納骨堂こそステータス」という時代が来ているのかもしれない。
◆「一代だけのお墓」になる
遺骨を移動させる自動搬送式に対して、「軽々しい」と否定的な人々も確かにいた。そうした中で、“外墓との間を取った形”と人気を集めるのが、「仏壇型」「ロッカー型」の納骨堂だ。
両タイプを有する「立正寺」(渋谷区代々木)を訪ねた。
3階建ての納骨堂に入ると、幅広い通路の両側に仏壇型が60基、ロッカー型が160基並ぶ。どちらも黒の本塗りが施され、同じ高さだが、ロッカー型は天地に5基重なっている。
率直に言うと、私は最初、「仏壇は家に置くものでしょう」という思いがあった。しかし、同行したカメラマンの「何百人もの方がこの中に眠っていると思うと身が引き締まるね」という一言でハッとした。自動搬送式では、目の前にして祈るのは先祖の遺骨のみだが、ここでは室内全域に故人の気配を感じ、凛として張りつめた空気があった。供花や線香も実物で、意外と従来のお墓参りに近い感覚だ。
価格は、仏壇型が使用期間33年で180万円、ロッカー型は13年と33年があり、最も安いものは60万円だ。
使用期間の限定はやや気になったが、更新することも可能で、使用期間が終われば永代供養墓に合祀される。「子供の代までお参りに来てくれればいい」という理由で期間限定の形態を選ぶ利用者もいるという。
なかには驚くべき価格の仏壇型納骨堂もあった。東京・青山にある実相寺「青山霊廟」の「特別壇」は、何と600万円。
幅62センチ、高さ2メートル弱の特別壇は、木製部分に天然漆より高品質のカシュー塗りが施され、手彫りの薬師如来まで安置されている。仏壇のひとつひとつが、小さな寺のようだ。青山霊廟の販売担当者が語る。
「自動搬送式はご先祖がほとんどの時間を暗い保管庫で過ごさなければなりません。ここなら常に明るい場所にいることができます」
一方、新宿区早稲田にある龍善寺の「早稲田墓陵」は、「家族用で48万円」のリーズナブルな価格設定だ。
特徴は、参拝スペースに「お骨がない」こと。地下の参拝室に墓石はなく、台の上に阿弥陀如来があり、その手前に花立と焼香台があるが、お骨は別室の棚に保管されているという。住職の平松浄心さんがいう。
「お墓は亡くなった方のためではなく、お参りに来る方のもの。遺骨に向かって手を合わせても意味がありません。遺骨を持ってきてほしいという方には、納骨室の棚から係の者がお運びしますが、お申し付けになる方は稀です」
壁には大型モニターが設置され、法名や遺影、思い出の写真などが表示される。遺族が仏像の前で拝む行為を重視しているのだ。
「誰のためにお参りするのか」──様々なタイプの納骨堂はそうした問いを投げかける。利用者の答えに合ったものを選ぶ必要があるだろう。」
今に、平成から、新しい年号の終わりに、納骨堂が、存在するのか。
面白い。
地震、災害、津波、で、住む家は、なくても、納骨堂が残るか。
最後は、維持費を出す、一族は、いるのか。
今に、神舎仏閣、庶民の家は、崩壊しても、納骨堂が、残り、維持できないで、
更地になるのかもしれない。
マリリンモンローのような、納骨堂のような、墓はいり、永遠の残るは、
地震、津波のない、ところだろうな。