民法の出題傾向

2011-05-19 12:18:06 | 司法試験関連
行政法に続いて民法にも興味深い変更が見られたと思う。一言で言えば,「民法の刑法化」である。

「刑法化」とは,「詳細な生の事実関係から,論点を抽出・選別し,要件を指摘した上で,各要件に該当する事実を適示して評価を加える」,という意味である。そういう意味で,刑事系のような「書き抜き作業」が例年に比べ増えたのは間違いない。時間不足の恐れが高い試験になったと言えます。

債権法の主要論点オンパレードで,債権法改正を控えての出題か,という気もしないでもないです。債権者代位権,債権者取消権,履行不能解除,いわゆる転用物訴権,不法行為(709条,717条,過失相殺)と出しすぎだろう感は行政法同様にあります。

問題文を速読し,的確に論点を抽出・選別する為には,「磐石な基礎力」と「基本問題に関する答案構成パターンのストック」が物を言います。上手い具合に「論文突破基礎力完成講義 民法編」の開講が試験直後になりましたので(今月23日開講),今年の試験傾向に準拠した講義を致します。ご安心下さい。

要件事実的な部分ですが,反論を意識させているので,正直そんなに変更があるとは思っていません。「要件事実」が出ている,と思っていたような人・講師等は「変った!」と思うかもしれませんが,あくまでも従来から問われていたのは要件事実「的」な発想であり,抗弁・再抗弁的な構成・知識を聞くものではなく,「主張・反論程度の整理でよい」,と以前から言って来たとおりです。そういう意味で主張反論型の問題である事に変りはありません。

そう言えば,設問1(1)(2)は内田先生の民法Ⅱの記述の流れまんまですね(苦笑)第3版の589~593ページの流れまんまです。特に592~の「もう一歩前へ」を読んでおくと,債権者取消権からの債権者代位権,に容易に気がつけました。京大派が押し捲っていた新司法試験ですが,久しぶりに東大民法派の面目躍如!?でしょうか。債権法改正の立役者へのリスペクトなんですかね(笑)
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