0.「迷える」中上級者の皆さんへ
・入門講義等は受けたが、迷走気味な方、手応えがない方、何となく合わない方など、学習開始後数年が経った人へ。
→ 原因を解消しないといつまでも打開できない=「修正の必要性」
・メンタル的に気合が抜けつつある人
→ 改めて気合を入れたい=「心機一転の必要性」
1.伸び悩みの原因
①インプット面の不良・不足
大半はこれが原因である可能性。
条文趣旨・論点・判例・学説の不備、網羅性の欠如
②論文を意識したインプットが出来ていない
辞書的に知識がインプットされているだけだと論文突破はキツイ。
③思考力が身についていない
④事実の評価が苦手
判例の学習の仕方に難がある
⑤公法系の仕組み解釈が苦手
判例の学習の仕方に難がある
最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)
→「明確性の判断基準を述べたあの判例でしょ」で終わりになっている人、いませんか?
①本条例三条三号の「交通秩序を維持すること」という規定が犯罪構成要件の内容をなすも のとして明確であるかどうかを検討する。
②右の規定は、その文言だけからすれば、単に抽象的に交通秩序を維持すべきことを命じているだけで、いかなる作為、不作為を命じているのかその義務内容が具体的に明らかにされていない…交通秩序を侵害するおそれのある行為の典型的なものをできるかぎり列挙例示することによつてその義務内容の明確化を図ることが十分可能であるにもかかわ らず、本条例がその点についてなんらの考慮を払つていないことは、立法措置として著しく妥当 を欠くものがあるといわなければならない。
➂しかしながら、およそ、刑罰法規の定める犯罪構成要件があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反し無効であるとされるのは、その規定が通常の判断能力を有する一般人に対して、禁止される行為とそうでない行為とを識別するための基準を示すところがなく、そのため、その適用を受ける国民に対して刑罰の対象となる行為をあらかじめ 告知する機能を果たさず、また、その運用がこれを適用する国又は地方公共団体の機関の主観的判断にゆだねられて恣意に流れる等、重大な弊害を生ずるからであると考えられる(*趣旨)…それゆえ、ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解 において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである。
④そもそも、道路における集団行 進等は、多数人が集団となつて継続的に道路の一部を占拠し歩行その他の形態においてこれを使用するものであるから、このような行動が行われない場合における交通秩序を必然的に何程か侵害する可能性を有することを免れないものである。本条例は、集団行進等が表現の一態様として憲法上保障されるべき要素を有することにかんがみ、届出制を採用し、集団行進等の形態が交通秩序に不可避的にもたらす障害が生じても、なおこれを忍ぶべきものとして許容しているのであるから、本条例三条三号の規定が禁止する交通秩序の侵害は、当該集団行進等に不可避的に随伴するものを指すものでないことは、極めて明らかである。ところが、思想表現行為としての集団行進等は、前述のように、これに参加する多数の者が、行進その他の一体的行動によつてその共通の 主張、要求、観念等を一般公衆等に強く印象づけるために行うものであり、専らこのような一体的 行動によつてこれを示すところにその本質的な意義と価値があるものであるから、これに対して、 それが秩序正しく平穏に行われて不必要に地方公共の安寧と秩序を脅かすような行動にわたらな いことを要求しても、それは、右のような思想表現行為としての集団行進等の本質的な意義と価値を失わしめ憲法上保障されている表現の自由を不当に制限することにはならない…
⑤本条例三条が、集団行進等を行おうとする者が、集団行進等の秩序を保ち、公共の安寧を保持するために守らなければならない事項の一つとして、その三号に「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべ きことを命じているものと解される…
⑥通常の判断能力を有する一般人が、具体的場合において、自己がしようとする行為が右条項による禁止に触れるものであるかどうかを判断するにあたつては、その行為が秩序正しく平穏に行われる集団行進等に伴う交通秩序の阻害を生ずるにとどまるものか、あるいは殊更な交通秩序の阻害をもたらすようなものであるかを考えることにより、通常その判断にさほどの困難を感じることはないはずであり、例えば各地における道路上の集団行進等に際して往々みられるだ行進、うず巻行進、すわり込み、道路一杯を占拠するいわゆるフランスデモ等の行為が、秩序正しく平穏な集団行進等に随伴する交通秩序阻害の程度を超えて、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為にあたるものと容易に想到することができるというべきである。
② マイナス要素の確認
➂ 憲法31条の趣旨からの論証
④ 限定解釈をしている部分
⑤ 結論
⑥ 定義既定の在り方の参考になる
最大判昭和35年7月20日(東京都公安条例事件)
→ 「集団暴徒化論の評判の悪い判例」で終わっている人、いませんか?
通常一般大衆に訴えんとする、政治、経済、労働、世界観等に関する何等かの思想、主張、感情等の表現を内包するものである…集団行動には、表現の自由として憲法によって保障さるべき要素が存在する。
本条例を検討するに、集団行動に関しては、公安委員会の許可が要求されている(一条)。しかし 公安委員会は集団行動の実施が「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」の外はこれを許可しなければならない(三条)。すなわち許可が義務づけられており、 不許可の場合が厳格に制限されている。従つて本条例は規定の文面上では許可制を採用しているが、この許可制はその実質において届出制とことなるところがない。集団行動の条件が許可であれ届出であれ、要はそれによつて表現の自由が不当に制限されることにならなければ差支えないのである。
本条例中には、公安委員会が集団行動開始日時の一定時間前までに不許可の意思表示をしない場合に、許可があつたものとして行動することができる旨の規定が存在しない。
→ 仮に「許可推定条項」がある場合、どう使えるだろうか?
2.総まとめ150の使い方
①受講に向いている人
本試験・予備試験ともに「傾向の変化が激しいと感じる人」
判例学習に不安のある人
条文解釈力に不安のある人
学説に不安のある人
②受講の仕方
・予習は一切不要!いきなり講義を聞く。
・復習重視。自説や判例の規範を正確に「暗唱」
・講義で指摘したポイントはメモにしてまとめると見返しやすくなる
・講義を聞いて、「解釈方法をまねる」
・事実の評価の仕方を学ぶ
・判例をグループ化して覚えると良い(重要判例・類似判例・関連判例)
➂特徴
・「論文解答時を意識した」判例と具体例を使ったインプット学習
→「抽象と具体」のコンボ
・論点の整理と論証集=「網羅性の担保」
・学説の理解を深めることができる(サプライズ問題にも困らない)
・「問題文の読み方」・「事実の評価」を学べる