大阪でははっきり言ったのですが、そもそも論として、現時点でL1レベルに難がある人は来年合格するのは既にかなり厳しい状況にあることを本気で自覚しなければいけない。残り8ヶ月弱という時間と到達すべきレベルを見たときに、おのずと出てくる答えである。本当は他人に言われなくても自分で自覚できなければいけない話であり、自覚できていない段階で、本試験合格に必要なレベルが理解できていない証拠でもある。
短答で8割ラインをクリアーするミッションと、L2レベルを習得するミッションだけでも大変である。例えば、L2論文の問題集を1科目50~60問としても7科目で350問~420問である。答案構成に1問15分としても相当な作業量だ。しかも、一通り解いたあとが本当の勉強であり、内容面の習得はもちろん、答案構成と論証を覚え込む作業が待っている(このあたりは東京編の瀬戸さんの話も参考にして欲しい)。ここは答案の骨組み部分でもあり、このレベルをクリアーできなければL3も何もあっものではない。論文対策としては最優先事項である。
更に、そもそもL2対策も「一定の知識」がなければ全く進まない。すべての出発点は「知識」である。最低限必要な知識を身につけていなければ、全ての演習が意味を成さない。そこにボトルネックがあれば何をしようが1歩も前に進まないのである。いや、「1歩も進んでいないこと」に気がつかなければならないのである。不合格者の中にはどうもこの辺を誤解している人が多いように見受けられる。その人の実力ランクは「勉強期間の長さ」で決まるわけではない。年功序列ではなく、100%成果主義なのである。
現行試験の短答程度で音を上げている暇はない。本来ならば法科大学院3年前期段階で終えていなければいけないミッションであり、平均点以下でもクリアできる試験なのであって、ハードルは相当低い。短答突破ラインは「最低基準点」に過ぎず、「合格点」という積極的な意義付けは全くない。まずは年内に短答対策とL2論文対策を終えること。本気で来年合格に拘るのであれば、これは必須である。
旧司法試験時代、受験生同士の間で「短答合格経験がない者は、司法試験受験生ではない」と普通に言われていた(因みに当時の短答突破率は20%ほどである)。つまり、競争相手と見なされなかったのである。これを現行試験に例えれば、「3500番以内でなければ司法試験受験生ではない」とでもなろうか。
まずは「本物の司法試験受験生」になることである。