第2次規範の重要性、再考

2015-06-03 08:41:06 | 司法試験関連

講義では本当にいつもうるさく言っていることですが、考慮ファクターを第2次規範としてあげないと、結果的に当てはめ段階で自分が行き詰まります。問題文の事実を拾うための「チェックリスト」としては、第1次規範のみでは抽象度が高すぎて機能しないことが多いからです。第1次規範は寧ろ最後の決めゼリフ的に機能するものであって、それ自体は事実を拾い上げていくには漠然としていることが多いのです。

刑事訴訟が一番わかりやすいと思うのですが、必要性・相当性・緊急性という例の「3兄弟」規範だけでは、実際に何をどう当てはめればいいのかの手がかりになりません。なので、結局何となく思いついたままに問題文から事実を拾うことになるので、配点対象になっている重要な事実を落としたりする危険性が高まるのです。またモデルとなる判例の事案との違い、すなわち「本件事案の特殊性」に気がつくこともできません。

特に最高裁が社会通念審査や事例判断審査をしている以上、裁判官として要求される能力は、事案に応じて考慮すべきファクターがなんなのかを「事実関係から汲み上げる能力」だと思います。当局は司法試験で採用したいのは、優秀な裁判官と検察官です。だとすれば司法試験で要求されるスキルも裁判官や検察官の資質として要求されるものと同じになるはずなのです。

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