Brilliant Corners/Thelonious Monk
(Riverside 12-226)
昨年まで,約1400枚のジャズ,ボーカルアルバムをアップして来ましたが,やっぱり長くやっていると更新もまばらにならざるを得ませんし,簡単に文章化できるアルバムも減って来たなぁと痛感せざるをえないこの頃です。年頭に当たり、イージーなアルバムでお茶を濁す訳にもいかず,セレクトして来たのがこれです。鬼才セロニアス・モンクの最高傑作に挙げる方もおられるBrilliant Cornersです。
このアルバムはモンクがこれまでリーダーを務めたアルバムがソロだったり,トリオだったりが中心できたところを打ち破り、ホーンを加えてグループコンセプトで綴るモンクスミュージックという大きなターニングポイントとなったアルバムと考えられモンクのバイオグラフィを語る上では避けて通れない一枚とも言えます。メンバー紹介は不要かも知れませんが、フロントにErnie Henry(as), Clark Terry(tp), Sonny Rollins(ts)を配している点が興味深いですよね。特にロリンズは”I Surrender Dear"のモンクのソロ曲以外は全曲参加,そしてB-1”Bemsha Swing"でヘンリーがテリーに変わりフロントラインを形成しています。そしてモンクもB-1"Panonica"でcelesteを引っ張り出している点も注目です。まさにバラエティに富んだ曲構成とロリンズを中心としたフロントラインの動きなど多彩なコンセプトを凝縮した意欲作と言えます。カバーのモンクを五方向から捉えたジャケ写もそのコンセプトを表すようですし,修行僧のように笑う事の無いモンクの笑顔が中心に使われている点も見逃せません。ベースはOsca Pettiford, Paul Chambers(Bemsha Swingのみ)が交代で弾き,ドラムはMax Roachという豪華な顔ぶれです。OJCで購入当時、A-1タイトルチューンの冒頭のホーン群のユニゾンでそのへんてこりんな和製感覚にアレルギーを感じてしまった自分は結構苦手だった一枚でもあります。むしろB面が好きだった訳ですが,今でもそれは同じですね(笑)。
所有盤はリバーサイドのマイク&リールのブルーラベル,Deep Grooveのモノ盤です。音はモノ針で聴くとロリンズの荒削りなサウンドが妙に良くて最近はまっている一枚になっています。やっぱりリバーサイドのモンク,良いです!
このアルバムはジャズの名盤選には必ず入るほどの傑作なんでしょうが、個人的には昔っからイマイチ楽しめません。
しかし緊張感とか、常軌を逸した雰囲気の凄みは、流石に本物のジャズを聴いている! そんな気分にさせられるので、とにかく逃げずに聴いてきたというのが本音です。
そして驚異的なのは、絶対に「聴き飽き」しないだろうなぁ~、という結論(?)です。
やっぱり名盤なんでしょうねぇ~。
ちなみに私有盤は音の悪い、1970年代の日本盤LPなんで、そんなふうにしか思えないのかもしれませんが……。
本年もよろしくお願い致します。
そうですね,聞き流しには全く向かない・・・。まだソロ,トリオの方が楽しめますよね。ホーンが入ると,やはり少しハードに感じるのはじぶんだけでしょうか。恐らく最初のBrilliant Cornersのユニゾンなハードボイルドな印象がリスナーにそう言う気分を抱かせるのだと思います。
ブルーラベルはモノ針で聴くと音,良いですよ!
今年も宜しくお願いいたします。