Ella abraça Jobim/Ella Fitzgerald
(Pablo Today jp.reissue 40MJ3069/70)
(Pablo Today jp.reissue 40MJ3069/70)
ジャズという音楽はスタンダード曲というジャンルとは切っても切れない関係がありますよね。スタンダードをテーマに演奏者が思いのままにアドリブをやっていく訳ですから、リスナーも聞き込んでいくにつれて自然とスタンダード曲にも精通してくる筈です。こうなって来ると、やれポーターだ、バーリンだ、ガーシュウィンだとアメリカの偉大なスタンダードの作曲家の名前も頭に入ってくるものです。一人のアーチストがこういった大作曲家の作品のみを録音するという趣向はノーマン・グランツのお得意の手法で、インストでは何と言ってもオスカー・ピーターソンのものが有名ですよね。一方、ボーカルものではというと、VERVEのエラでしょう。箱もの、2枚組を中心にポーター、ガーシュイン、エリントン、アービン・バーリン、ロジャース&ハート、ハロルド・アーレン、ジェローム・カーン等のソングブックを録音しています。本日は、ボッサ以降有名になった、ブラジル生まれの世界的作曲家、ジョビンの曲ばかりを収録したパブロ録音のソングブックをアップいたします。
ジョビン曲集というのはブラジリアンアーチストがカバーしたものは古くからありますが、アメリカ人がカバーしたモノとなるとシナトラのキャピトル盤ぐらいしか思い浮かばないですよね。エラのこの2枚組は『ジョビンも前述のアメリカの大作曲家と同列に評価されるようになった。』事を改めて知らしめたアルバムだと思います。また、ブラジル人のカバーはすべてボッサアルバムですが、エラのものは題材こそボッサ曲ですが、そのボーカルはあくまでもジャズ・ボーカルでありシャウトあり、スキャットありのエラの魅力満載の出来上がりで素晴らしいと思います。メンバーもリズム隊こそブラジリアンですが、フロントにはClark Terry, Zoot Sims, Joe Pass, Toots Thielmansといった大御所が配されジャズインストファンも納得でしょう。2枚組ということもあり、ジョビンの名曲が19曲セレクトされています。一応、列挙しておきますとFavela、イパネマの娘、ジンジ、デサフィナード、おいしい水(以上A面)、Dreamer、コルコヴァード、ボニータ、ワンノートサンバ、あなたのせいで(以上B面)、トリステ、ハウインセンシティブ、彼(女)はカリオカ、あなたでなければ、フェリシダージ(以上C面)、ウェイブ、ジェット機のサンバ、フォトグラフ、うつろな風景(以上D面)です。皆さんも、聞き覚えのある曲ばかりですし、これだけのジョビンの曲が一同に聴けるアルバムもあまりないと思われ、ジャズファンの方もボッサ曲を知る上では貴重だと思います。
所有盤はパブロ原盤、ポリドールの国内再発盤です。『この曲もジョビンか!』というジャズファンのため息が聞こえて来そうですね。
この頃のPabloレーベルはBrazilに注目していますよね。Sarah Vaughanも77年末や79年に現地に乗り込んで、地元のミュージシャン達と録音しています。当時の優れたコンポーザーらの楽曲を取り上げています、今ではよく知られた曲ばかりですが、当時は?と思える物を取り上げているのが彼女らしいですね。
そうですね、サラにも2枚ありますね。77年の"I Love Brazil"と79年の"Copacabana"ですよね。当然リアルタイムで新譜で入手のチャンスがあったのですが未聴です。
一度聴いてみたいと思っています。
サラの重さとボサの軽さがどうマッチするのか興味がありますね。