知る喜びと、撮る喜びのつぶやき通信  (読める限り読み文章にする。 歩ける限り撮り続ける『花鳥風月から犬猫太陽』まで)

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『天才絵師・博学者「若冲」 1(天才絵師・博学者・努力家・執念の人)』―若冲の絵は、不思議な絵だったので、明治大正時代には人気がなかった― 

2020-12-10 22:57:29 | 絵画

『天才絵師・博学者「若冲」 1(天才絵師・博学者・努力家・執念の人)

 ―若冲の絵は、不思議な絵だったので、明治大正時代には人気がなかった― 

 

若冲居士像 相国寺蔵 

 ウキペデイアから引用

 

『動植綵絵』の内「群鶏図」

ウキペデイアから引用

 

数年前ですが、江戸中期の京絵師・伊藤若冲(天才絵師・博学者・努力家・執念の人)の作品展がありました。 どちらの作品展も作品の入れ替えがありました。 同い年の絵師で俳人の蕪村(江戸俳諧の巨匠で、日本絵画との二刀流)が見られました。

 

❶『生誕300年 同い年の天才絵師、若冲と蕪村』於サントリ-美術館

2015318日(水)~510日(日)

『生誕300年記念、若冲展』於東京都美術館

2016422日(金)~524日(火)

 

江戸時代、生前の若冲は人気と知名度を持っていたが、明治以降は若冲の絵は、一般に忘れられがちな時期もあった。     

 

若冲は、23歳で青果問屋を継ぎ、営みながら、青年期10代から狩野派浮世絵を大岡春卜に学んだ後、南蘋派の鶴亭に影響を受けながら、宋元画1,000点余の模写に励み、それでも双方で原型を超えることができないと限界を見出し、その判断から、実物写生に進み、『写実描写主義』を完成さてゆくことになる、

この写実描写主義が浮世絵に影響を与え、さらにこの浮世絵が西洋の近代絵画に影響を与えたことは、日本人の、日本文化の凄さに驚きました。

 

『若冲の写実描写主義』は中国の近代の絵師の絵画、山水画・水墨画とも、文人が余技として描いた文人画(山水画・水墨画)とも異なる。 中国の昔の絵は、多くが絹や紙のような脆弱な素材に描かれて残っていないので、比較対象が少ない。

 

若冲は、宋元画を1,000点余模写とありました。 この模写といえば、NYメトロポリタンでの、余りに大勢の方々の模写風景には驚いた記憶があります。

模写が、時間を超えて、東西で大事にされています。

 

西洋の近代絵画の、古典主義・新古典主義・印象派・ポスト印象派・ネオ印象派・写実主義・表現主義・フォービズム・キュビズム等、目まぐるしく、又、大きな変遷とは、当然比較しようがない若冲ですが、 若冲は西洋の写実主義が出現する一世紀も前に『写実描写主義』を完成させていました。

 

若冲の絵は、不思議な絵だったので、明治大正時代には人気がなかった。

絵画の歴史は不思議です。 若冲が活躍した時期から、一世紀後には、ヨーロッパで、印象派モネの『印象・日の出』描かれています。 それからの変遷の激しさは、日本・東洋には、なかったものです。

 

若冲は、昭和45年、辻惟雄の『奇想の系譜』が出版されて以来、注目を浴びるようになった 平成に入って、その超絶した技巧や、奇抜な構図が再評価され、特にアメリカ人収集家ジョー・プライス氏のコレクションにより飛躍的にその知名度と人気を高めている。

 

プライス氏の『炯眼』の逸話、若いころ、『葡萄図』を見た建築家の友人が『草花の構図や機能の形は、いかに無駄なく必要』という言葉に感銘を受け、この作品を衝動買いしたことがコレクションのスタートであった。

 

若冲の絵の数十年の変遷、狩野派→宋元画→写実描写ですが、特に凄いのは、短期間に『写実描写』まで完成させたことではないでしょうか。 

 

日本人は、唐・天竺から伝わった、文化・芸術を、独特に変化・発展させたのは『日本人の周囲の自然環境とDNA』という人もいます。 若冲だけでなく、日本人の文化・芸術の凄さは、いろいろあります。

 

文学では、世界に冠たる、万葉集、源氏物語、方丈記、平家物語、徒然草等あり、また、ヨーロッパの絵画に影響与えた、浮世絵があります。

 

アメリカのルース・ベネティクト氏、文化人類学者が『菊と刀』の中で、日本人文化の特有なところや、日本人特有の精神構造などを指摘しています。

 

三島由紀夫氏の『文化防衛論』では、自壊する文化を守ろうとしたかったのでしょうか。 ごく最近までは、文化が自壊するなどとは想像もしておりませんでした。

 

中国でのプロレタリア文化大革命の名の下で、寺院や遺跡の破壊、日本では廃仏毀釈のもとで石仏像の破壊、イスラム国の遺跡の破壊等、世界中の有形無形両面で進む破壊はなんとしても、人類の英知でくい止めたいと願っています。

                                                                   (20201210纏め #257


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