斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

気になる言葉

2016年02月09日 01時24分40秒 | 赤十字
さて、昨日は夜少し大学を抜け出して、赤十字安全奉仕団の役員会があったので、顔を出してきました。
いろいろな議題をこなしつつ、先日行われたある研修会に参加した人からの報告があったので、聞いていました。

その方より「研修でHUGについて学びました」
私は、「HUGってたしか避難所なんたらかんたらだよなあ、なんだっけ?なんの略だか思い出せばいいのか?」と言いつつ一生懸命英語でなんていうんだろうと考えつつ、「誰か知っている人?」と聞いたら、「確か避難所運営なんとかじゃなかったっけ?」という人がいて、私が「もしかして避難所運営ゲームの略?」と言ったら大爆笑になりました。「そのものかーーー」と。

まあ、気持ちはわからないでもないけれども、HUGっていうように略する必要あるのか、たいへん疑問に思いました。さらにもう一つ深刻な言葉がありました。有事という言葉です。研修会で、平時訓練、有事訓練という分け方で研修がなされたようです。最近いろいろなところで、災害訓練を有事訓練と称することがあります。本当にこれでいいのでしょうか。確かに広義では大災害も指すようですが、狭義では武力に訴えるような事件・事変を指すわけで、もっと言えば第一義としては「戦争」です。研修会に出ていた方はもと空自のパイロットの方で、その方も「有事と聞けば、自衛隊員は戦争を想起しますね」とおっしゃってました。

赤十字は、もともと戦争に伴って生まれたといってもいいくらい、戦争と切り離せません。戦争があることを前提としてさまざまな活動・計画立案を行います。だから、赤十字と名のつく研修で「有事」という言葉を使うと、自衛隊内で「有事」と使うのと同じくらいのインパクトがあるのではないかと心配します。つまり、戦争に縁のない人が発する「有事」という言葉と、赤十字が口にする「有事」という言葉は重みの質が異なるということ。

因みに参考ですが
1864年に赤十字国際委員会 (ICRC) が「戦争時の捕虜に対する扱いを人道的にする必要がある」として提唱し、スイスのジュネーヴで「傷病者の状態改善に関する第1回赤十字条約」(1864年8月22日のジュネーヴ条約)が締結された。 その後締結された条約も含めたジュネーヴ諸条約は次の通り。

第1条約
戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約(Geneva Convention for the Amelioration of the Condition of the Wounded and Sick in Armed Forces in the Field of August 12, 1949)

第2条約
海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約(Geneva Convention for the Amelioration of the Condition of the Wounded, Sick and Shipwrecked Members of Armed Forces at Sea of August 12, 1949)

第3条約
捕虜の待遇に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約 (Geneva Convention relative to the Treatment of Prisoners of War of August 12, 1949)

第4条約
戦時における文民の保護に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約 (Geneva Convention relative to the Protection of Civilian Persons in Time of War of August 12, 1949)
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