練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展

2007-08-02 | アート
これ、絶対観に行くべきです!!!おすすめです!
私が写真好きというのもありますが、写真に興味がない人も行くべき!
写真に興味がある人は絶対行くべき!

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」
2007年6月19日~8月12日
東京国立近代美術館(竹橋)

この写真、観たことある人も多いことでしょう。
アンリ・カルティエ=ブレッソンは「決定的瞬間」をフレームの中に収めることができる数少ない天才です。
学生時代から彼の写真を機会があるごとに観てきましたが、
大規模な写真展に足を運ぶのは今回初めてです。

とにかくすごい!さらっと見過ごしてしまうような写真は1点もない!

今回彼の作品を改めて鑑賞して、カルティエ=ブレッソンの優れた点は数々ありますが、私が特に感動したのは次の3点です。

①トリミングが完璧:写真はフレームの中にどこからどこまでを収めるのかが命。
たとえば、人がざわざわと点在している空間の中の一人佇んでいる人物だけを写真に写せば、実際は猥雑な印象の場所が静謐な空間にもなりえます。カルティエ=ブレッソンはその場面の作り方が天才的。

②画面上によけいなものが何もない:たとえば、片隅に写っている丸められたタオル、後方でわれ関せずという表情で写っている人物、雲、影、彼の作品の中に写っている物はすべてあるべくしてそこに写っているのです。写っているすべての物に深い意味があるかのようにそこに存在しています。

③構図が完璧:人物・建物・陰影など配置のバランスが天才的。そしてしばしばユーモラスな雰囲気が写し出されているのがまた天才。人物に関してはポーズを指定していたこともありえますが、その人物と背景が作る直線や曲線の構図がすごく面白い。

それだけではなくて、もっといろいろすごいところだらけなのですが、とにかく、映画などであれば上記のすべてを「演出」することで表現できますが、
カルティエ=ブレッソンの場合は「決定的瞬間」が訪れるのを根気強く待ち続け、
その時が来たら逃すことなくシャッターを切って写真という形に残した、というところがすごいと思うのです。

フォト・ジャーナリスト的な活動もしていた彼ではありますが、
私は彼の写真は報道写真、歴史的記録写真として素晴らしいだけでなく、
意匠という意味においての素晴らしい写真たちであると思います。

自分が写真を撮るときの参考に・・・なんていうのはとてもとてもおこがましくて口に出来ませんが、
写真というフレームで切り取られた空間を意識して世界を見たら、
今自分が立っているこの場所もまた違って見えるのではないか、なんて思える展覧会でした。