練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『暗い旅』  倉橋由美子

2005-10-19 | 読書
倉橋由美子さんの訃報を聞いて(といってもかなり前のことなんだけど)、本当に久しぶりに氏の作品を再読してみた。

学生時代は倉橋作品が大好きで、もちろん文庫なんだけど、全部そろえて一気に読んだものだ。

あのころはいっぱしの文学少女を気取って、こんなインテリっぽくてミステリアスでエロティックでちょっと陰のある作品にはまっていた。

今改めて読んでみると、なんだか若いなぁ、と思う。倉橋氏も若いし、私も若かった。
でも、その綺麗な文章は最近の軽く暇つぶしに読めてしまうような多々ある小説とは全く違う印象で、今読んでも美しいと思う。
その現実感のなさとか、小説はエッセイ、日記とは違うんだ、と改めて感じる。

ところで、訃報を調べていて忘れていたようなことに気がついた。
倉橋さんはある絵本の翻訳をなさっていて、その絵本とはやはり学生時代によく読んでいた『ぼくを探して』というシルヴァスタインという人が書いた絵本だ。
今でも本屋でよく平積みになっているので、多分人気があるのだと思う。
私の家にあるのは原書なので、倉橋さんが翻訳をなさっていたことをすっかり忘れていた。
この絵本もなかなかよくて、シンプルなんだけど、含蓄があって、いろんなことに思いが広がってゆく内容だ。

学生時代に戻った気持ちで他の作品も再読してみたいと思っている。

『チルドレン』 伊坂幸太郎

2005-10-15 | 読書
ひとつひとつのエピソードはミステリーがお得意の作者らしく、最後になぞが明らかになるような推理小説のようでもありそれぞれ面白い。一見場所も時間も全く違うかのように思えるそれぞれの話が微妙にリンクしている。

そのキーワードは「陣内」である。
このキャラ、『空中ブランコ』『イン・ザ・プール』の伊良部医師にも通じるようなところがある。
なんかひとことでいうと、うさんくさくてうっとうしいのだ。
結構俺様的でいつも偉そうなことを言ってて、すぐ「絶対」とか決め付けるし、自分が間違っていたとあとで分かっても決して謝ろうとしないし、なんか強引だし、自分がセンター・オブ・ジ・アース、じゃなかった、ワールド、という感じだし・・・。

でも、いきなり歌いだしたビートルズで、ある極限状態にあったその場の全員がはっとして動きを止めるほどの歌心があったり、彼がテキト~に言ったと思われる発言がなんだか含蓄があるような気がしてきたり、なぜか癒されてしまう時があるのだ。

彼氏には絶対したくないけれど、あんまり近くでないところにこういう人がいてくれると、切羽詰ってキリキリしてきたときに「まぁ、いいや」と思えるような気はする。

ところで、わたしのある見識(まったく個人的な。統計とって分析したりしたわけではないです)から見ると、かれ、陣内君は絶対AB型だと思うんだけどなぁ・・・。

レッスン記録

2005-10-14 | ピアノ・音楽
来年の発表会に「大人のコーナー」を作りましょう、と先生が提案して下さった。
現在大人の生徒さんは私を入れて3名しかいないらしいが、以前先生が「発表会にお母さん方も出たら楽しいですね~」とおっしゃっていたのを私たち大人の生徒がマに受けてマジになってきたのがきっかけらしい(先生は半分冗談だったようだ)。なにしろ生徒数がとても多い個人教室なのでよく考えたら私たちの出番まで作らせるのは申し訳ないくらいなのだが、とにかく大きな目標ができたので、今まで以上に練習に身が入りそうだ。

『テクニック』
スタッカートが安定していなかったようだ。
脱力して指先を鍵盤に落とすだけ、指上げのように指を弾く前に上げない、と何度も言われた。
確かにスタッカートは苦手だ。ミスタッチも多い。
苦手だと思うと力んでくるようで、肩の力を抜くように、とも何度も言われてしまった。

『ツェルニー30番 3番』
焦って弾き始めたら、思いのほか速いテンポで弾いていて、途中でもたなくなり、最初から弾きなおすはめに・・・。どんな曲でも弾く前に呼吸を整えて、テンポだけでなくいろいろイメージしてから弾き始めないといけないことを再認識した。
右手の三連符、1,4,5の指で延々と弾く所は4,5、の指に意識をもって弾くと安定するようだ。
こういう曲は呼吸が止まってしまう。でも、エアロビみたいに激しく動きながら呼吸は安定させて、とかいうのではなく、やっぱりプロの演奏家でも一気に引くところは息が止まっていて、呼吸するポイントでしっかり息を吸い込んでいるらしいので、それでいいみたい。

『プレリュード15番雨だれ  ショパン』
一応卒業ということになった。完璧に仕上がった、というわけではないので、引き続き練習は続けるつもり。
ペダル使い、左手メロディーのときのバランスなど課題はたくさん残っている。
この曲をレッスンしていただいた記念に、とプレリュード全曲集の楽譜を買ったので、次回はその中から4番、6番をレッスンすることになった。
いずれは全曲弾けるようになるのが夢だが、その夢が実現するのはかなり遠い未来かも・・・。

『むかしのはなし』  三浦しをん

2005-10-13 | 読書
なんだかひさしぶりにちょっと変な面白い本を読んでしまった。

三浦しをん・・って確か女の人だったっけ?と読み始めて、あれ?やっぱり男の人だったっけな?との雰囲気も漂ってくる。(女の人です。間違いなく)

「むかしの話~昔話」にインスパイアされたようないろんな話のオムニバス・・・かと思いきや、ある非現実的な事象に向かってバラバラだった全ての話が終結してゆく。

そして、今私が生きているこのときもやがて過去になってむかしのはなしとして語られてゆくに過ぎない、と思えるようなむかしむかしからタラタラと流れる時の流れの雄大さとか、いつのどんな時にも共通するような人間にとって普遍的な大事なこととかが感じられるラストに至って話は終わる。

そして、そういえばあそこにはあんなこと書いてあった、とか、たしかこの話さっきもでてきたような・・・デジャヴ??・・・といった伏線が作者の巧妙なテクニックによってたくさん散りばめられている。

こういう、いろんなもののコラージュみたいで、淡々としていて、ファンタジックなんだけど、過度におとぎ話おとぎ話していなくて、どこか全く違う惑星にある地球上のそれとよく似た社会が描かれている雰囲気で、なんかちょっと知恵の輪みたいな話、好きなんだなぁ・・・。

最後の話、内容もかっこいいんだけど、タイトルの「懐かしき川べりの町の物語せよ」っていうのが妙にかっこいいな、と思ったら、菊池照雄という人の『山深き遠野の里の物語せよ』という文献を参考にしているらしい。調べてみたらこれは東北地方のまさに語り継がれている昔話であるらしい。いろんなところに話題が広がってゆく作品でもあった。

『サヨナライツカ』 辻仁成

2005-10-11 | 読書
この前に読んだ山本文緒さんがあんまり見たくない現実を書いているとしたら、この作品はあまりにも綺麗な理想を書いているようです。

でも・・・・
私がひねくれているのか、もう汚れきった人間なのか、あまりにも美しすぎるこのストーリーと随所に散りばめられているエピソード、言葉、その他もろもろに辟易してしまいました。
きっと心の素直な他人は素直に感動できるんだろうなぁ・・・。

その中のひとつ、主人公の保護者的存在の、多分人間的にもとても立派な尊敬に値するような初老の女性からの手紙にはこんなようなことが書かれていました。

「人生の途中で悩んでもよいですが、決して迷ってはいけません。後悔するようなことは絶対にあって欲しくないのです。」

それは分かります・・・。
でも、私はいつもいつも迷っています。え~~~、迷っちゃいけないの???そう思ってしまいました。後悔だっていっぱいしています。

なんだか、自分はいけない人間、ダメな人間と言われているような気がしてきちゃいました。でも、そんな人ばっかりだからこそ、文学の世界ではせめて理想的な姿が描かれているのがよいのかもしれないですね。
そう思うことにしようっと。


『紙婚式』 山本文緒

2005-10-05 | 読書
山本文緒さんの小説はいつ読んでもちょっと怖い。
怖いといっても貞子的な絶叫ホラー的な怖さではなくて、
こわごわ・・・といった種類の怖さなのだ。

夫婦とか恋人同士とか、家族とは違って結局は他人同士、何かのきっかけでその関係はガラガラと音をたてて崩れてしまう。
そうなる直前の、確かめたら否が応でも恐ろしい現実を目の当たりにしてしまう、見て見ないふりをしている、でも心の中ではもうすべて気がついている。
そんなものすごくストレスが溜まりきった、血の気が引くような怖さを山本さんの小説は実感できる、と思うのです。

レッスン記録(自主練編)

2005-10-01 | ピアノ・音楽
今週もレッスンを予定していたのに、娘の都合で「私のレッスンのみ」キャンセルになってしまった
ほんとうに親って大変だわ・・・。
と、いうかやる気まんまんだったのでとてもがっくりきてしまった。

そこで、せめてグランドピアノを弾くということだけでも、と思い、某スタジオで自主練をした。

いつも思うのだが、ピアノ弾きの場合自分のいつも使っている楽器を持ち運べないというのはとっても不便だ。
ピアノが変わっただけでとたんに弾きにくくなってしまう。
それは私の腕が未熟なだけであるが、プロのピアニストは本当にすごいなぁ、と改めて感心する。

今回の練習で特に感じたのは、弱い音を出そうとする時特に、しっかりと打鍵していなくて、ちゃんと音が出ないことが多いということだ。
以前先生に、小さな音でもしっかりと鍵盤を叩かないといけない、鍵盤を弱く押すのではなく、音の粒を小さく、それでもしっかり芯のある粒を奏でるようにしないと、と言われたことを思い出した。
弱く弾こうとすると鍵盤にそっと触れるだけ、または電子ピアノやオルガンを弾くように指を鍵盤に押し付けているだけ、という弾き方になりがちなので、よく意識して直したい点である。