練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『怖い絵』 中野京子

2008-06-29 | 読書
私が小説、絵画、アート、映画などなどが好きなのは、
まず、感性に訴えかけてくるものだから。
共感したり、感動したり、美しいと思ったり、悲しいと思ったり、
私の心に感じるものだから。
でも、それだけでなく、その後にロジック的なものが分かってくると、
今度は脳みそのほうに訴えかけてくる。
なるほど~~、と思う気づきが生まれる。
だからなおさら好きなのである。

この『怖い絵』はまさにそんな気づきの部分を刺激してくれるいろいろな面白い話が書かれている。
さまざまな絵に隠された恐ろしいバックグラウンド。
見るからに怖い絵から伝わってくる時代背景や怨念、恐怖心。
それから、え?こんなおだやかそうな絵が?と思うような絵画に隠された事実。

細かく細かく見てゆくと、ホントに絵画って面白い。
そして、それらが描かれた歴史を同時に検証しながら改めてそれらを見ると、
また、さらに面白い!

でも、ただのなぞが解けたから面白いというわけではない。
絵画の中に隠されたなぞを知ることによって、描いた人物、その周辺のひとたち、
人間の心が伝わってくるからこそ、なおさらその絵をみたときに心にずん、とくるような感動がうまれてくるのだと思う。

読了

2008-06-23 | 読書
『閉鎖病棟』 帚木蓬生
『裏庭』 梨木香歩
『短歌の友人』 穂村弘
『ぐるりのこと』 梨木香歩
『怖い絵』 中野京子

以上読了していますが、
現在脳みそが飽和状態につき、まともな長文を書く余裕がまったくありません(涙)
そのうち感想アップいたします・・・。

『再婚生活』 山本文緒

2008-06-18 | 読書
『再婚生活』とあるが、その内容は、2度目の幸せな結婚生活・・・ではなく、かぎりなく続くうつ病の記録である。

ご存知の通り山本文緒さんはうつで一時期入退院をくりかえしていた。

うつの最初の症状としては食事のことに気が回らなくなり、ご飯を作るのにとてつもなくパワーが必要になってくるのだそうだ。
そしてたびたび起こるパニック障害。
安定した睡眠が得られなくなり、不眠と過眠を繰り返す。
処方される薬に頼る日々。

うつの人に「がんばって」は禁句だというけれど、
この日記を読んでなるほど、と思った。
やっぱり山本さんもいろいろ抱えすぎて、気を回しすぎて、がんばりすぎちゃっていたようだ。
がんばらなくていい、アバウトでいいし、だめでいい、と言ってあげたい。

そして彼女を支えてきただんな様(=王子)をたたえてあげたい。
やはり周りの人のおかげ、というのは多大なものがある。

そういう意味では山本さんとご主人の愛情の日記でもあるのかもしれない。

「モディリアーニ展」

2008-06-06 | アート
あの瞳のないアーモンド型の目が印象的なモディリアーニの展覧会に行ってまいりました。

「モディリアーニ展」Modigliani at le Primitivisme
2008年3月26日(水)~6月9日(月)
国立新美術館

副題にもあるように、モディリアーニとプリミティブ・アートを関連付けた展覧会です。

いきなり納得でした。
あの能面のようなシンプルな顔の肖像画。
あれはプリミティブ・アートの影響だったのですね。
細長い輪郭、アーモンド型にくりぬいたような目。
それらはいかにもアフリカの仮面を元に描かれたものであることがよく分かりました。

解説にありましたが、さらにモディリアーニは瞳を描くことなく、まるで表情のないような顔の描き方をしていましたが、
何も表情のない、何も映し出していないかのような人物を描くことで心の中にあるさらに深いものを浮き彫りにすべく表現していた、ということです。

ところで、各コーナーに掲示されているこの解説板、よく見るとその形はモディリアーニが描く人物に特徴的な目の形・・・。
そう、そして、会場のディスプレイ(仕切りの壁)にもこのシルエットが!
やはりモディニアーニといえば、この形なのですね。

ところで、数多く展示されていたデッサン画の中にただひとつだけ描かれていた風景。
モディリアーニといえば、人物画、しかし風景も描くようなことがあったのでしょうか?
あのデッサン画はその後どのような作品へと仕上げられたのか、気になります。

会期は来週月曜日6日まで。

『建てて、いい?』 中島たい子

2008-06-04 | 読書
まことちゃんハウス・・・あれはれっきとしたハウスメーカーが設計していてちょっとびっくりした。
おうちを建てるのってきっとなみなみならぬ思い入れがあるのかも・・・。
施主の方も設計する方も・・・。

この小説では、30代シングル女性がひとりで住むために家を建てようと、その形を具体的にするために何度も設計士と話し合ったり、自分のことを考えたり、試行錯誤する話だ。
シングル、女性、というところがミソかもしれない。
話の中で、住宅展示場の家はファミリーオンリーのために建てられている、というようなくだりがあったが、本当にその通りだと思った。
だからありきたりな家ばっかりなのかも・・・。
まぁ、ファミリーなんだからそれが当然といえば当然。
でも、もしも一人で住む、いずれはファミリーになるかもしれないし、ならないかもしれない、そんな状況で家を建てるというのは困難かもしれないけれど、自分の、本当に自分だけのお城を建てることができるのだから、すっごく楽しそう!

なかなか一人で住むために家を建てることができる人はいないと思うけれど、
もしもこれから家を作ろうかな、と思っている人が読んだら、ちょっと面倒なそのプロセスが楽しみになりそうな一冊だった。