練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『時が滲む朝』 楊逸

2009-03-16 | 読書
少し以前であれば興味を持って読むことができなかったかもしれない。

しかし今は日本にいる中国の知人、それだけではない、東アジアの国から日本にやってきている知人たちのことを思い、彼らの国のことを思うと何かしら考えずにはいられなくなる小説だ。

未だ政治的にも安定を得ていない東アジアの国々。
日本だけがこんなに平和ボケのような状態でいいのか。

また、大学教育に関する温度差も感じてしまう。
だれもが大学生になろうと思えばなれてしまうが、しかし学ぶ意欲はまったく感じられない日本。
志を強く持ち、学ぶことができるということに深い感謝を持ち、学生生活を送る中国。

中国、韓国、台湾・・・。
それぞれの国のことについてより深く知ることが必要、とこの小説を読んで痛感した。

『ふらんこ乗り』 いしいしんじ

2009-03-10 | 読書
いしいしんじさんの本は2~3冊読んだが、どれも心あたたまるような大人の童話という印象だった。
しかし、この『ぶらんこ乗り』は少し悲しい物語。
でも、心に訴えかけてくる大事なことがたくさん書かれているというのは同じ。

悲しい、ほんとに悲しいことが次々と起きるこの家族。
感じやすい、感受性が強すぎる子どもって、不幸なものなのだろうか?

このお話でいしいしんじは何を伝えたかったんだろう???

『ピアニストになりたい! 19世紀もうひとつの音楽史』 岡田暁生

2009-03-07 | 読書
ツェルニーって案外好きなのだ。
与えられた課題をコツコツこなして、淡々と弾き、やがて完璧に弾きとおすことができたときの達成感。
ゲーム感覚、クリアできたときの快感に近いかもしれない。

それからハノン。ドレドレミレミレとひたすら指の筋トレ。
普通はとってもわずらわしく、面倒で退屈で、しかも疲れるし、嫌悪されるテキストなのだが、たまにこれを無心に弾いているとはまってしまうときがある。
「たまに」だからかもしれないが。

19世紀にこれらの科学的理論に基づいて開発されたピアノの演奏技能向上のための練習テキスト、それからさまざまな技能アップのための「装置」。などなど。

現代では批判的に分析されるような過去のさまざまな鍛錬・訓練のための仕組みだが、なんとかしてよりよい演奏を可能にしたい、と試行錯誤してきた先人の涙ぐましい努力が伝わってくる。
いまだに上記の2つのテキストがピアノ演奏のレッスンには欠かせないのだから、それをしのぐ、またまったく別の観点からの練習方法が未だに研究されていない、ということなのだろう。

1点、本書をよんで目からうろこが落ちるくらいなるほど~と思ったことがある。
(ピアノ演奏をする方々にとっては常識かもしれないが)
5本の指のうち、4の指、つまり薬指だけは他の4本にくらべてどうしても動きが悪く、力も弱く、先生にも「特に4の指は・・・」とよく言われてしっかり意識して弾かなくてはいけない指だというのはわかっていた。
それはなぜかというと、この4の指だけはからだの構造上つくりが違うというのだ。
つまり、他の4本はそれぞれ独立して動くことができるが、薬指だけは隣り合う2本の指、つまり中指と小指と腱で接続していて、両指とつながるこの腱に引っ張られて動きが悪く、打鍵の際に高く上げることも、すばやく動くこともできないのだそうだ。
なるほど~。やっかいものの薬指のなぞが解けた・・・。