一時期江國さんの小説はもう読まないかも、とか思った時期があった。
とても甘くて甘くて、ただそれだけのような気がしてしまったのだ。
だけど、久しぶりにこの『思いわずらうことなく愉しく生きよ』という小説を読み始めて、「あぁ、この感じ。甘い中にも毒のある・・・」と思って嬉しくなって一気に読んでしまった。
三人姉妹(兄弟、特に姉妹、という関係は江國さんの作品にははずせない)のそれぞれの暮らし、男性関係、そして生き方。
あまりにもおおらかで、強くて、誰はばかることなく生きている三人。
私が彼女の作品にやや反感を覚えていたのは、その登場人物の生き方に嫉妬を感じていたからかもしれない。
三人三様の姉妹の生き方であるが、とくに長女のDVの問題は軽く読みすごすことができないような緊迫感がある。
表面上はDVを表現しているが、その内側に様々なテーマが内包されているように感じられる。
男に暴力をふるわれても決して別れようとしない麻子。むしろそのことによって男に執着してゆく。しかしもちろん心は平安ではない。
もうひとりのDVの被害者である近所の主婦は麻子とは違う。
被害を受け、苦しんでいるが、しかし実家と疎遠になり、たよるところもなく、日々苦痛の中で耐えているだけである。
しかし麻子の実家や姉妹との絆は非常に強く、助けを求めればいつでも守ってくれる人たちがいるのだ。
それでも夫との関係を解消しようとはしない。
その生き方は理解に苦しむ所もあるが、肉親との絆が希薄であっても逆に濃すぎてもそこから逃れるためにたとえどんな状況でも結婚という制度に執着するということはあるだろうな、とは思った。
とても甘くて甘くて、ただそれだけのような気がしてしまったのだ。
だけど、久しぶりにこの『思いわずらうことなく愉しく生きよ』という小説を読み始めて、「あぁ、この感じ。甘い中にも毒のある・・・」と思って嬉しくなって一気に読んでしまった。
三人姉妹(兄弟、特に姉妹、という関係は江國さんの作品にははずせない)のそれぞれの暮らし、男性関係、そして生き方。
あまりにもおおらかで、強くて、誰はばかることなく生きている三人。
私が彼女の作品にやや反感を覚えていたのは、その登場人物の生き方に嫉妬を感じていたからかもしれない。
三人三様の姉妹の生き方であるが、とくに長女のDVの問題は軽く読みすごすことができないような緊迫感がある。
表面上はDVを表現しているが、その内側に様々なテーマが内包されているように感じられる。
男に暴力をふるわれても決して別れようとしない麻子。むしろそのことによって男に執着してゆく。しかしもちろん心は平安ではない。
もうひとりのDVの被害者である近所の主婦は麻子とは違う。
被害を受け、苦しんでいるが、しかし実家と疎遠になり、たよるところもなく、日々苦痛の中で耐えているだけである。
しかし麻子の実家や姉妹との絆は非常に強く、助けを求めればいつでも守ってくれる人たちがいるのだ。
それでも夫との関係を解消しようとはしない。
その生き方は理解に苦しむ所もあるが、肉親との絆が希薄であっても逆に濃すぎてもそこから逃れるためにたとえどんな状況でも結婚という制度に執着するということはあるだろうな、とは思った。