練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「印象派展」 青山ユニマット美術館

2008-02-28 | アート
ユニマット美術館は2回目の訪問。
案外気に入っている美術館なのだ。
常設展示はシャガールの作品と、ピカソなどエコール・ド・パリの作家の作品群。
小さい美術館ながら、とても充実していると思う。
それに、作品の横の解説プレート、あれがちょうどいい具合に親切、丁寧で、
勉強不足の私にはとてもありがたい。

今回、その常設展ももちろん堪能したが、特別展示の「印象派展」をじっくりと鑑賞してきた。

特別展示「印象派展」
青山ユニマット美術館
2007年10月16日(火)~2008年4月20日(日)

モネなんかは国立新美術館の「モネ大回顧展」を観に行っていたはずなのだが、
ものすごい混雑で、あまりゆっくり鑑賞できなかった。
が、ユニマット美術館の展示室だったら、作品に近づいて、心ゆくまで鑑賞できる。
かといって、がら空きの閑散とした展示会というわけではなく、本当にここの絵が好きで通っている、という風な人たちがひっきりなしに訪れている。

今回、この印象派の展示でも、その解説でずいぶんお勉強させてもらった。
特に目からうろこだったのは、(知らないのは私だけ、だったのかもしれないが)
印象派の特徴と言われる「筆触分割」という技法だ。
これはどういうことかというと、キャンバス上に異なる色を点状に細かく配置して、混色しているように見せる技法、なのだそうだ。
それを知って印象派の絵画を見てみると・・・
なるほど~~!あの、独特のふんわりした色合い、立体的な感じ、それらは全て、いろんな色の集合体だったんだ!
ちょっと離れて観ると、例えば芝生の青々とした色、でも近づいて観ると、そこには緑、青、オレンジのような色、白、などいろいろな色が細かく点状に重ねて描かれている。

で、この微妙な色合いで、印象派の画家たちは何を表現しようとしていたかというと、「移り変わる光の変化」だったのだそうだ。
この解説を読んで、「あれ?どこかで聞いたことがあるような・・・」と思い、よく考えてみると、モネ、ルノワールなどと同じくフランスの、こちらは音楽家であるドビュッシー。彼も、音楽で「光」を表現していた、と聞いたことがある。
ドビュッシーもあるカテゴリー分類では「印象派」と呼ばれることもあり、絵画の世界、音楽の世界、それぞれの印象派というジャンルが1本の線で繋がったかのような、そんな自分なりに納得が得られた展覧会だった。

作品の中で特に印象的だったのは、モネの「霧の中の大聖堂」。
ホントに霧でけむってうすぼんやりとしか見えない大聖堂を描いた作品なのだが、
ものすごい迫力なのだ。
そしてこの作品も、細かい、細かい、いくつもの点の集合で描かれていた。
ぼんやり見える大聖堂の背後にはうっすらと陽が差している。
やっぱりここにも光が描かれている。
フランスの文献、映画、芸術に触れていると、どこかで「ルミエール=光」という言葉に行き当たることが多い。
フランス人にとって、光、光彩というのは何か特別なものなのかもしれない・・・などということを感じたりした。

レッスン記録(2/23の分)

2008-02-26 | ピアノ・音楽
春一番が吹きました!

『テクニック』
とても緊張して、集中して弾いているので、気がつくと息継ぎをしていなくて、
途中で深呼吸をして弾いている始末。
エアロビのように、呼吸を一定に保って弾いたほうがいいのか、
弾くべきところは息を止めてでも一気に弾いたほうがいいのか・・・?

『30番練習曲 20番』 ツェルニー
右手三連符をしっかりとスピードアップさせて弾くには・・・。
まず全部の音をはっきりと弾く。→最初の音を大きく、次の二つの音を小さく、とワルツのリズムを感じながら弾く。→小さく弾く後二つの音も小さくなりすぎないようにしっかりと芯を感じながら弾く。

『5月の夢の歌』 吉松隆
次回までの宿題は、部分練習ならぬ、分解練習。
ベース音だけ弾く。メロディだけ弾く。内声だけ弾く。メロディとベース音だけ弾く。
など、それぞれのパートを意識してしっかり聴きながら分解して練習する。
そうすると、全部合わせて弾いたときに、とても綺麗に音が響き合って弾ける、ということなのだ。
確かに、左手のメロディライン、右手のメロディライン、それぞれを暗記するまで弾いてから全体を弾くと、メロディが際立って聞こえてきて、弾きやすいし、きれいに聞こえる。
いろんな練習方法があるんだなぁ。

『レキオス』 池上永一

2008-02-24 | 読書
これは・・・・
沖縄が舞台のSFもの?で、なければ軍事サスペンス小説?
ともなければ二世の少女の成長物語?霊媒ホラー???

一見ハードボイルド的な書き出しにだまされてはいけない。
話が進むにつれた明らかになるのは、
そのキャラクターのとんでもなさだ。
ブラックビューティーと言うにふさわしい、高校生のデニス。
大型のマシン(=バイク)を乗り回し、人並みはずれた射撃の腕を持つ。
この辺まではまともだ。
しかし、そのデニスは不気味な背後霊に取り付かれている。
友人はアメ女と言って、沖縄駐在のアメリカ兵を追い掛け回しているグルーピーのような少女ばかり。
謎の中華料理店主。
嘉手納基地に赴任となり、あるとんでもない策略に巻き込まれるアメリカ兵。
極めつけは天才的エリート博士、であるにもかかわらず、コスプレ大好き、いわゆる「変人」いえいえ「変態」とでも言うべき女性博士。

物語は沖縄を舞台にこのとんでもない登場人物たちに振り回されて一気に訳の分からない大団円まで進んでゆく。

この池上永一とは・・・何者???

岡本太郎「明日の神話」はどこへ・・・

2008-02-21 | アート

昨日の朝のNHKニュースで、以前東京都現代美術館に鑑賞に行った、岡本太郎「明日の神話」に関する特集をやっていました。

ピカソのゲルニカを思い起こすようなこの巨大壁画、今までもとても数奇な運命をたどってきたようです。
明日の神話についてのサイト

現在はまだ江東区の東京都現代美術館に展示中ですが、その展示期間が終了したあとは、岡本画伯の遺志をついで、「誰もが見たいときに気軽に芸術作品を見ることができるように」美術館の中などではなく、オープンスペースに展示することが決まっているそうです。
そこで、この壁画の展示場所として、国内3つの自治体が名乗りを上げているそうなのです。
ひとつは東京都渋谷区。渋谷駅の構内、井の頭線改札から地下鉄、JR各線改札へと抜けるスペースの壁が候補だそうです。
二つ目は大阪。万博公園といえば、岡本太郎の太陽の塔。ゆかりの深さから立候補したそうです。
三番目の自治体は広島市。原爆の悲惨さを描いたこの画に最もふさわしい、との理由からだそうです。

どこになるのでしょうね・・・。
私としては、しょっちゅう前を通る渋谷駅になって欲しいものです。


レッスン記録(2/16の分)

2008-02-19 | ピアノ・音楽
レッスンのために先生のお宅に向かっていると、また雪がちらついてきた。
今年はよく降るなぁ~~。

『テクニック』
トリルの練習なので、細かく速く、軽くタッチしなければいけないのに、また力が入っている。
それから、ピアノを始めた頃から気になって気になって仕方ないのだが、打鍵していない指が上がってしまっている。
なので、すばやく打鍵しようにも1テンポ遅れてしまっている。
指をあまり高く上げずに、低い位置からでもしっかり打鍵できるように、というのが課題かなぁ。

『30番練習曲 20番』 ツェルニー
比較的弾きやすいパターンかもしれない。
(左手→和音、右手→単音のメロディ、三連符)
スピードを上げることが宿題。
三連符をワルツのように感じて、最初の音にアクセントをつけるように、リズムに乗って弾くのがコツ、だそうだ。

『五月の夢の歌』 吉松隆
楽譜どおりではなく、右手でメロディ、左手で和音を弾くように弾き方を変えようか、というアイディアもあったが、
幸いにして、というか、私は手が大きいので、楽譜どおりに弾いても指が届かない、ということがなさそうなので、とりあえず、譜面も読みやすいので、楽譜どおりに練習することに。
ただ、そうすると、右手でメロディ、伴奏部両方を弾かなくてはいけないので、
メロディの音をはっきりと弾くと同時に同じ手で弾いている伴奏部は抑えて弾く、ということを意識しないといけない。
案外難しい。そこを意識して弾いてくるのが宿題。

『床下仙人』 原宏一

2008-02-17 | 読書
「床下仙人」
やっと手に入れたマイホームは会社からはるか遠く、帰っても寝るだけ。
ある日「仙人」のような男が我が家の床下に住み着いていることに気がついた。

「てんぷら社員」
九州から転勤してきた田所さん。どうもパッとしないおじさんなのに、急に管理職になったかと思うと、社内の不正の○秘情報をつかんでいるらしい。てんぷら社員の意味とは・・・。

「戦争管理組合」
マンションが戦争管理組合の管理下に置かれてしまった。女性の権利を獲得するための戦争なんだそうだ・・・。女が一致団結して男社会と戦うための片棒をおれは担がされる羽目になってしまった。

「派遣社長」
派遣社員ならぬ派遣社長がやってきた。お試し期間とは言うけれど、派遣社長のポリシーに振り回される社員たち。そしてお試し期間が完了したら、今度は次の派遣社長がやってきた。

「シューシャイン・ギャング」
会社からも家庭からもリストラされた男と家出少女が始めたのは、渋谷の町でゲリラ的に靴磨きをして稼ぐ新手の商売だった。

どれもサラリーマン社会を風刺している、面白おかしくありえない話だ。
ラストもとてもありえなく終わっているので、チャンチャンと笑って終わらせることもできるけれど、
そんな笑いの中に、ヒヤッとするようなするどい警告が隠されている。

「小杉小次郎展」

2008-02-12 | アート
損保ジャパン東郷青児美術館大賞受賞記念
「小杉小次郎展」
2008年1月12日(土)~2月17日(日)
損保ジャパン東郷青児美術館

「穏やかな形態」「温かみのある色彩」
このような言葉がパンフレットには並ぶ画家のようです。
私も展覧会場に入って、最初のお部屋まではそのように思っていました。
題材も静物画、港や田園の風景など、可愛らしいモチーフが多いのです。

でも、しばらく彼の絵を見ていると、
どうも不思議な気持ちに・・・。
そんなことを思うのは、もしかしたら私だけかもしれませんが、
静物にしても何にしても、バランスが取れすぎていて、逆に違和感が・・・。
完璧なシンメトリーとでもいうのでしょうか。
左右対称、等間隔。
なんだか整いすぎていて、「怖い」のです。
街の絵でも、家と人がぽつんぽつんと等間隔に並んでいます。
そのようすは見る人によっては可愛らしい風景でしょうが、
なんとなく積み木でできた町のようで生気が感じられないのです。

小杉小次郎自身はどんな気持ちでこれらの絵を描いていたのか、とても興味があります。

それに比べて、コラージュのような造形作品は、
作家がとても楽しんで創作活動をおこなっていた雰囲気が伝わってきて、見ていてもとても楽しいものでした。
パリ在住時の作品群のようで、トランプ、本、雑誌、楽譜、木の切れ端、雑誌など、
ありとあらゆるものを組み合わせて小さな額に入ったコラージュが作られています。

ところで、常設展示にはもちろん東郷青児の作品が飾られていたのですが、
今回初めて見た、「古城」という作品、これ、すごくカッコよくて感動しました。
一見ゴミの山のように見える古城。
悪の権化の王様がひそんでいるような雰囲気です。
よく包装紙などで見かける女性の絵よりも、このような風景画の方が素敵、と思ってしまいました。

『鹿男あをによし』 万城目学

2008-02-07 | 読書
これを読んでいると、玉木宏の顔がだんだん鹿みたいに見えてくるから不思議・・・。
(ただ、残念ながらドラマは観ていないのだけど)

またもや、まか不思議な話だ。
でも、『鴨川・・』よりもずっと面白い!ホルモーの時は読みにくいとかいろいろダメ出しした私にも楽しめる。

案外、ストーリーよりもグッときたのは、「奈良」という町の描写、そこにこめられた作者の思い、だったかもしれない。
京都・大阪・神戸に比べて、「なんか地味・・・」といつも思っていた奈良という町。
かつては日本の中枢であったはずなのに。

それが、この話の中では実に魅力的に描かれている。
「茜さす・・・」という万葉の歌は奈良の都のことを歌っていたのだったか・・・(違っていたらすみません)
そんな雰囲気が全般に漂っている。
「あをによし」というのはもちろん奈良の枕ことばだ。
一度奈良の都をゆっくり散策してみたいなぁ、と思うようになる物語だった。

レッスン記録(2/2の分)

2008-02-04 | ピアノ・音楽
「どうしようもない場合はドタキャンもあり」という条件で、大人の生徒(私を含めて5人)も今年夏の発表会に出て演奏することになった。
生徒のひとりSさんのおっしゃるには「緊張感なく、大人が演奏を楽しんでいるという楽しいコーナーにしましょう」とのこと。
そうは言っても今から緊張してしまう・・・。
演目は吉松隆の『五月の夢の歌』に決定。
どうなることやら・・・。

『テクニック』
相変わらず腕がパンパンに張ってくる。しかも右手が・・・。

『30番練習曲19番』 ツェルニー
○もらえました!
いちいち考えずに、音をイメージしたとおりに打鍵できるようになりたい。
つまり音符を見たり、音→鍵盤のどの位置かという脳内回路の無駄な動きなしに弾けるようになりたい。

『子犬のワルツ』 ショパン
こちらも一応レッスンは終わり。
「指の練習のつもりで引き続けて下さい。」とのこと。
まだまだ理想のテンポでは弾けていないが、この曲が弾けるようになったなんて、夢みたい!

『カラフル』 森絵都

2008-02-02 | 読書
「生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。」(文庫うら表紙あらすじより)

面白そうだな、と思って読んでみました。面白かったです。期待を裏切らず。

自殺してしまった男子の体に乗り移り、彼の家族と暮らし始める、ある男の魂。
どうしてこんなにいい家族に囲まれているのに自殺なんてしたんだろう。
と、思うのもつかの間、実はひどい家族、友達たち、いろんなことに気づき始める。

でも、本当の本当のところは・・・。

そして、自分が生前犯した罪をはっきりと思い出さないことには、
乗り移ったからだもろとも輪廻のサイクルからはじき出されてしまう・・・。
果たして、「ぼく」は誰で、どんな罪を犯した人間だったのか・・・。

中高生くらいの若い時期、家族や周りの人たちのこと、勝手に解釈して、
嫌悪したり、勘違いしたり、よさを分かってあげられなかったり、
そんな思春期の融通がきかないような頑なさを思い出しながら読んでいました。

こんな風に人生「やりなおし」たりはできないけれど、
この作品を読むことによって実は・・・っていういろんなことに気づくことができたらいいのですが。