練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『映画篇』 金城一紀

2008-04-26 | 読書
パソコン不調につき、アップがずいぶん滞ってしまいました。

ずいぶん前に読み終えたので記憶が薄れつつあるのですが、感想を書き留めておきます。

「あ~~、映画、観ていないなぁ・・・」
というのが読みながら、読み終えて思った一番のことです。

作者の映画好きな思いがとても伝わってきます。
そして、私よりも年代は若い作家だとおもうのですが、
好んで観ていた映画に共通するものが・・・。
それもうれしいものです。

いくつかのエピソードを集めた短編集ですが、それぞれの話がある映画の上映会などをキーポイントとしてつながっている、群像劇のような構成になっています。
これも私的には好きなパターンです。

ホームシアター、そうでなくてもお茶の間で家族と団欒しながらテレビで観る映画ももちろんたのしいけれど、
劇場である時間、閉ざされた空間の中でその世界にどっぷりつかって観る映画は五感に訴えかけるほど印象は強いものです。
2時間という短い時間ではありますが、まるで別の人間になって別の人生を体験したかのように感じることもあるのではないでしょうか?
それを誰かと共有するというのもまたすばらしい経験です。
一緒に映画を観た人との間に同時に生まれる感情によって、友情や愛情が深まったり、家族の絆が深まったり、それは本当におきることだと思います。

そんなことをこの小説を読んで感じました。
最近劇場に足を運んでいないけれど、行きたいなぁ・・・・。

レッスン記録(4/5)の分

2008-04-12 | ピアノ・音楽
久しぶりのレッスンです

『ハノン 1番』 
新しい指のトレーニングです。
以前『テクニック』で行っていた指上げの長いバージョンといったところでしょうか?
かなり腕、指に負担を感じます。
引き続き、力をいかにして抜くか、というのが課題かと・・・。

『30番練習曲 21番』 ツェルニー
パターンが変わるところでやはりスムーズに弾けなくなってしまうのが気になっていたのですが、レッスンで弾くと家で弾く以上に弾きにくい・・。
テキストに記入してある指番号がかなり重要なのではないかと最近思います。
ともすると、指番号を無視して勝手な指使いで弾いてしまっていましたが、
この指番号の特に4の指の部分に注目して弾くとかなり弾きやすくなるような気がします。
あとは、楽譜にあまり頼らずに、感覚で弾けるようになりたいのですが・・・。

『5月の夢の歌』 吉松隆
だいぶメロディが際立って聞こえるようになってきた、とのお言葉を先生からいただきました。
指使いをさらに研究して、あとはもう少しスピードを上げて滑らかに弾けることができるようにするのが課題です。 

「コレクションの新地平 20世紀美術の息吹」

2008-04-07 | アート
今回は会期終了する前にアップしないと・・・

「コレクションの新地平 20世紀美術の息吹」
ブリヂストン美術館
2008年2月9日(土)~4月13日(日)

今度の日曜日までの会期です。とてもよかったので、興味のある方は是非行ってみてください。
最近、展覧会が当たり続きで嬉しいです。

ブリヂストン美術館は初めて訪れました。
常設展示の質のよさに定評があるそうです。
確かに充実していました。
絵画は印象派がたくさん、セザンヌ、モネ、ルノワール、シスレー・・・・。
ルオーもピカソもあります。モディリアニもフジタも。
レンブラント、コロー、ミレーなど多彩で挙げるときりがないくらい。
また、彫刻も素敵です。
小さくて可愛いロダン、ヘンリー・ムーアなどが展示されていますが、
感激したのは、初めて見たジャコメッティです。
あのギザギザ、でこぼこで薄っぺらくて細長い人間・・・!
本当に面白いです。いろんな角度から近づいてみることができます。

さて、今回の企画展は20世紀美術と銘打っているように、大半は現代アートという範疇にくくられる作品だと思います。
有名どころでは、クレー、ミロ、カンディンスキー、モンドリアンなど。

現代美術は見ていて何が描いてあるのか分からない、と敬遠する方も多いかと思いますが、私はそこが面白くて大好きです。
何が描かれているのか、見方によって、みる角度によって、また、みる日によって、気持ちによって、毎回違ったものがその中に見てとることができます。
何時間見ていても飽きません。
ただ、(素人の戯言とお聞き下さい)あまりにもシンプル、というか、キャンバスに線が1本引いてあるだけ、とか、きっと作者はいろいろ意図しているのでしょうが、手がかかっていない、手が綺麗でない印象の作品は正直、???と思ってしまうこともあります。

今回はそういった意味でも、手のかかった、手の綺麗な作品が多く、とても見ごたえがありました。

以前偶然名前を知ったアンリ・ミショーの作品に再び出会えたのも嬉しかったです。
(やっぱり人間が踊っているみたいに見える!!)

そして、今回一番のみどころはザオ・ウーキーという中国のアーティストの作品だと、私的には思いました。
彼の名前は初めて知りましたが、その圧倒的なパワー、力強さにしばし作品の前に立ちすくんでしまうほどでした。
そしてさらに素晴らしいのはその色です。
こんなに綺麗な色、意図的に作っているのだとしたら、その感覚、技術はものすごいものではないでしょうか。
絵具をいろいろと調合していて、ある時素晴らしい色ができあがったので、それを永遠に残すためにキャンバスに描く、そんな製作過程を想像してしまいますが、実際のところはどうなんでしょうね??

繰り返しますが、とてもよい展覧会でした。
会場の雰囲気も素敵です。チャンスがあるかたは是非いらして下さい。

『アサッテの人』 諏訪哲史

2008-04-04 | 読書
小説だと思うのだけど、これは本当に小説?と首をかしげたくもなる。

作者自身が作中で叔父さんの言葉を借りて述べているように、
意図的に作られた大団円だとか、いかにも小説らしいストーリー展開、エピソードの理論的意味づけなどは期待してはいけないのだろう。

どちらかというと、この本に書かれているのは、「言葉」に対する作者の考え、哲学のようなものなのだろう。
と、同時に「アサッテ」的な生き方に対する共感?

まぁ、読む人によっていろいろな読み方ができる作品ではあろうが、
私個人としては、作中ある部分で真っ黒い雲の切れ間から太陽の光が差し込んだかのように一気にこの読みにくい小説が輝きだす瞬間があった。
呪文のような散文のようなひらがなの羅列。
それが何の意味を持つのか、主人公が叔父さんに問いただすシーン。
叔父さんの応えは、「ギルバート・オサリバンのアローン・アゲインの歌詞を聞き込んで聞き込んでひらがなで表記するとこうなる」というもの!
ギルバート・オサリバン!アローン・アゲイン!!
それだけで私的にはググッときてしまったが、さらに英語の発音をひらがなで表記するとは!!
まさに私が幼い頃やっていたのと同じことではないか!!!
これだけでもう、この作品を読んでみてよかった、と思ってしまったのである。

『りかさん』 梨木香歩

2008-04-02 | 読書
最近梨木さんの話にはまっています。

この『りかさん』は前に読んだ『からくりからくさ』に出てくるお人形「りかさん」がようこの元にやってきたときの話。
いわば『からくりからくさ』のエピソード0と言えばいいでしょうか?

私はたまたま『からくり・・・』の方を先に読んでしまったけれど、
それは結果的にラッキーだったと思います。
この『りかさん』を読みながら、やがて成長したようこがどうして染色の世界に入ってゆくのか、どのような少女時代をすごすことによって『からくり・・』の世界のベースが作られてゆくのか、登場人物の過去、そしてなによりりかさんがどんな風に大切にされてきたのか、ふたたびじっくりとかみしめながら物語を楽しむことができます。

魂を持った人形たち。
不気味ともいえるほどの情のこめられた人形のエピソードもこの物語では語られます。
でも、梨木さんの作品を読んでいつも思うのは、霊、とか、漂っている念、とかいうものは決して恐ろしいばかりのものではない、ということです。
生きている私たちとは違うけれども、ただ形を変えてあたりに存在しているものたち。
それらはとてもいとおしく、可愛いものたちなのではないか、と。
拒絶せずに素直に受け入れることによって怨、恨といった負の要素は消えてゆくのではないか、と。

『りかさん』がエピソード0ならば、『からくりからくさ』の後の物語とも言えるちいさなお話も載っています。
こちらも感動的です。