練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「バーン・アフター・リーディング」

2009-05-29 | 映画・ドラマ
コーエン兄弟監督による・・・ということは、かなりブラックな内容の映画では、との期待通り、くだらなくて笑えて、常識を常識と思っていないような痛快な映画。
しかし、未成年と観に行ったのは正しかったのかどうか・・・??

メイン・キャラクターはブラピとジョージ・クルーニーと中年の女優なのだが、
観ていない人にそういうと、「ブラピかっこよかった?」と聞かれるのだ。
でも、ブラピはぜんぜんかっこよくない。
ジョージ・クルーニーもぜんぜんかっこよくない。

出てくる大人という大人が全部サイテーのキャラクターで、その徹底したところが気持ちよい。
観客の期待をみごとに裏切ってくれるし。ブラピなんて、あっと言う間に○○されてしまう。

国家機密が記録されている(と思いこんでいる)CD-Rをロシアに売り込みに行くところなど、政治的なブラックユーモアも満載で、映画館の中もクスクス笑いが絶えなかった。

難しいこと考えないで娯楽作として楽しみたい映画。

『奇跡のエコ集落 ガビオタス』 アラン・ワイズマン

2009-05-20 | 読書
今でこそ、環境問題、持続可能な社会などが人間の最大の関心事にはなっているが、30年も前に、社会の持続可能性に疑問を投げかけ、エコロジーの発想でコロンビアの砂漠の真ん中にコミュニティを作った人たちがいる。

その集落はその地に生息する鳥にちなんで『ガビオタス』と名づけられた。

政府の評価も得て、補助金を得ることで科学者、農民、技術者たちがガビオタスに集まってくる。

風力発電、太陽光発電、有機農業・・・。
今まさに真剣に必要とされているさまざまな取り組みがすでにここでは活用されていた。

しかし、政情不安なコロンビアにおいて、安定した資金源を得ることは難しかった。
補助金は打ち切られ、窮地に立たされるガビオタス。
しかし、このコミュニティの人々は決してあきらめない。
ここにある資源を最大限利用して、コミュニティ存続のために効率的に利益を得られるように運営してゆく。

熱帯地域、日本から遥かに遠いコロンビアでの事例をそのまま日本で運用することは少し難しいところもあるが、
ガビオタスに集う彼らの心意気については世界中どこでも通用するだろう。

現在でもこのガビオタス集落は存在し、様々な基金によって支えられているようだ。

覚書

2009-05-13 | Weblog
読み終わった書籍、観た映画、展覧会、終了したレッスン等々、あるのですが、
文章を書く余裕(時間的、能力的)がなく、ブログアップ遅れています。

記録だけしておきます。

読了本
・『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
・『ちょっとヤバイんじゃない?ナショナリズム』 恵泉女学園大学大学院編集
・『きみの友だち』重松清
・『フィンランド 豊かさのメソッド』 堀内都喜子
・『奇跡のエコ集落 ガビオタス』 アラン・ワイズマン

映画
『バーン・アフター・リーディング』

展覧会
「Story of... カルティエ クリエイション」


「うつわ U-Tsu-Wa」展

2009-05-02 | アート
こじんまりとしていながらとても印象的な展覧会でした。

「うつわ U-Tsu-Wa」展
21_21 DESIGN SIGHT
2009年2月13日(金)~5月10日(日)

以下の3つの理由から、私にとってはとても印象的でした。
1.展覧会全体の展示の構成、空間そのものが素敵
2.創作する、展示する、公開することのすばらしさを認識できる
3.展示されている作品のすばらしさだけでなく、作家の創作する喜び、創作物に対する愛情、そして作家をめぐりあらたに生まれた人とのつながりを感じさせてくれたことが印象的

1.このスペースは六本木の東京ミッドタウンの中にあり、その概観からしてとてもアーティスティックです。写真をごらん下さい。
展示スペースは地下におりてゆく場所にありますが、トップライト、吹き抜けなどを利用して、地下にありながら自然光があふれるとても快適な空間です。
ここに展示された今回の陶芸作品たち。個々の作品を拝見するのも楽しいのですが、まずはその展示におどろかされます。
広々とした展示台は水が満たされたような大きな器のよう。そこに作品群が転々と浮かんでいるように展示されています。
このスペース全体がひとつの作品のようにデザインされています。
その配置は3人の作家の生まれた星座の形になっている(!)とか、展示台の水、そして吹き抜けスペースに無造作に植えられた植物は麦であり、うつわという容器に人間が初めて入れたであろう生命の源を表現している、など・・・。
その空間自体、その工夫をとても楽しめる展覧会です。

2.今回の展覧会のスペースの中にいて、私が学んでいる小原流のいけばなの造形作品の展示を思い出しました。
空間全体をデザインして作品を展示する、その楽しさ、喜びを共感することができました。
私ごとですが、お花のお稽古がおっくうでおっくうで何度やめてしまいたい、と思ったことか・・・。
でも、このように作品を表現できる場(私にとっては花展など)を持てることはとても幸せなことなのだろうなぁ、と再認識しました。

3.3人の作家の中でも特にルーシー・リィーと、日本人デザイナーの三宅一生との交流が印象的でした。
ルーシーは戦時中の貧しい時代に、収入を得るために陶製のボタンを制作して販売していたそうです。
それから何十年も経てから、三宅はルーシーのボタンと出会い、インスピレーションを得、そのボタンを使うための洋服をデザインします。
そのときのルーシーから三宅に当てた手紙が展示されていますが、その文面を読み、とても感動しました。
手紙の内容とは、「私のかつて作ったボタン、何十年も経った今、あなた(三宅)はそれに再び命を与えてくれた、本当にありがとう」、といったものでした。
これを読んで私は芸術作品を制作するものが自分の作品にかける愛情、それを評価されたことに対する純粋なよろこび、正しく評価することの大切さ、と言ったものを感じ、さらにはそのような作品を通じた人と人とのかかわりから、また私のような第三者が感じる感動の連鎖の素晴らしさを感じました。

音楽、アートなどの芸術の本当の素晴らしさは、そこから何か具体的な利益、生産性を期待できる、というよりは、人間のこころに様々なものを訴えかけ、作品そのものに感動を感じるだけでなく、それをとりまく人間の気持ちに共感できること、ではないでしょうか?そんな風に思いました。

GWおすすめの展覧会です。