練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『鴨川ホルモー』 万城目学

2007-09-29 | 読書
読むのに案外時間がかかってしまった・・・。

そして読み終わったあとに思ったことは・・・
「これはもしかして京都版ハリー・ポッター???」

京都の町で繰り広げられる、学生たちの青春・友情・恋愛。
でも、それだけでなく、そこには「ホルモー」というありえないことが・・・。

う、う~~~ん、残念!
私的にはむしろ、この話になくてはならない「ホルモー」なる部分がなくてもよかった、ないほうがよかったかも。

そこでさっきの「ハリー・ポッター」に話は戻るが、
私はあのシリーズ、最初の1巻だけ読んで、「あ、ダメだ・・・」
と思ってそれ以来手をつけていない。
いろいろ理由はあるのだけど、
一番の理由は、私自身がゲームスポーツ観戦に全く興味がない、
ということなのだ・・・。
サッカーしかり、野球しかり。
だからサッカー小説とか、全然読んでも面白くない。

転じて、アクションものの映画とかもあんまり好みではないのだ。
とにかく、戦っているシーンが延々続くようなものが苦手なのである。

ハリー・ポッターもホルモーも要はその部分がどうも・・・。
う~~ん、この小説、とても話題になっているだけに残念。
でも、そういうのが好きな方は読んでくださいね。

「シャガールとエコール・ド・パリコレクション」

2007-09-28 | アート
前の記事のユニマット美術館の常設展示です。

実はこの日、あまりゆっくりしている時間がなかったので、
ワイエス展を先に見て、残った時間でこの常設展を見よう、
と思っていたのですが、
ユニマット美術館の決まりとして、4階・3階のこの常設展を見てからでないと企画展の2階にたどり着けないようになっているのです。

「常設展だからいつでも見れるし、今日は見なくてもいいんだけど・・・」
と大変失礼なことを思いながらぶらぶらと拝見し始めましたが・・・
見てみると、そのコレクションの充実ぶりにびっくりです!
ざっと挙げてみると、シャガール、ピカソ、ブラック、フジタ、ボナール、モディリアニ、デュフィ、ミロ、レジェ、ドラン、ユトリロ、ローランサン、キスリング、ルオーなどなどなど・・・。

しかも、作家ごとの詳しい解説もかなり丁寧に書かれています。
私にとっては、この解説はとてもありがたいです。
バックグラウンドなど、ほとんど知らないので。

ここは時間があるときにまたゆっくり再訪したい美術館です。

作品についてはいろいろ思うことがあって書ききれませんが、
ひとつ選んで書くとすれば、自分がお花を習っているので、
お花の絵を見て思ったこと、ちょっと記しておきます。

これがいい、とか、悪い、とかいうことでなく、
シャガールの菊の花、フジタのバラの花の絵がありますが、
おもしろいなぁ・・・と思うのは、いけばな的にはありえないいけかたをしてあるのです。
なんかお花が全部横を向いていて、キャンバス上に点在している感じ・・・。
シャガールなんて、いちばんのポイント的な中央部分はぽっかりスペースがあくようにお花がいけられている絵で、
そのぽっかりあいたスペースには、天使が・・・。
おもしろいです・・・。
それにくらべたら、あくまでも「花いけ」という意味においては、
ドランのボリュームたっぷりなバラの絵の「いけかた」はずいぶんまともに見えました。
この空いたスペースとかにもきっと絵的には意味があるんでしょうね・・・。

「アンドリュー・ワイエス展」

2007-09-25 | アート
アンドリュー・ワイエスの名は、私が中学生くらいの時に買った画集に「クリスチーナの世界」という恐らく彼の作品中最も有名な一作が載っていたのを見て、知っていた程度でした(というか、それ以来忘れていました)。
それが最近、江國香織さんのエッセイを読んで、その中にワイエスの絵に関することも書いてあり、なんとなく気になっていた画家です。
そして、そんなワイエスの展覧会が都内の美術館で開催されていると聞き、行ってまいりました。

「アンドリュー・ワイエス展」
青山ユニマット美術館
2007年3月20日(火)~10月2日(火)(期間延長のため、10月14日まで)

ワイエスの絵は「アメリカンリアリズム」とも言われ、アメリカの田舎の風景を写実的に描いています。
でも、リアリズムでありながら、とても「幻想的」である、というのが私の印象です。
それは彼の好んだ(画材の種類によるのか?)全体的にくすんだベージュのような色調のため、とも言えるし、でもやっぱり描かれている雰囲気がなんとも現実感に欠ける、というか、そこにありそうで、どこにもこんなところはない、という感じが漂っているように私には思えます。

江國さんも書いていられましたが、「荒涼とした」「寂寥感がある」、そんな雰囲気です。

また、ワイエスの絵には、ストーリーが感じられます。
アメリカの田舎の家、といった雰囲気のポーチにたってこちらを見ている犬の絵、それ一枚にしても、この家の中で行われてきたこと、歴史、それをずっと見続けてきた犬・・・、いろんなストーリーが見ている私の心の中にどんどん浮かんできます。
人が描かれていないのに、人の気配を感じることができる、というのも私が持った印象です。

そして、ワイエスの絵、どの絵にもいえることは、「風が感じられる」ということです。
強い風、穏やかな風、嵐、いろんな風がありますが、必ず彼の絵の世界の中では風が吹いているようにおもえるのです。

なんだかすごくノスタルジックでセンチメンタルな気分にさせるワイエスの絵です。
私は個人的には大好き。私の「ネクラ」の部分をすごく刺激する作品ばかり。
もう一回見に行きたいなぁ・・。


『マイ・ベスト・ミステリー Ⅰ』 日本推理作家協会編

2007-09-24 | 読書
6人の推理作家が「最も好きな自分の作品」「最も好きな他人の作品」を選んで収録、そしてエッセイまで書き下ろしている、
というお得な一冊。

6人の作家とは・・・
阿刀田高・佐野洋・柴田よしき・志水辰夫・乃南アサ・宮部みゆき

阿刀田高さんなどは久々に読むけれど、やっぱり面白い!
基本のミステリーという感じ。
複雑な仕掛けとかは少ないけれど、
日常的な雰囲気の話が淡々とすすんでいって、ラストにどんでんがえし!!
という短編ならではの面白さが読んでいてすっきりする。

それぞれの作家が選んだ「他人の」作品というのもおもしろい。
何も人が殺されたりしなくてもミステリーなんだ、というのがよくわかる。

その中で乃南アサさんが夏目漱石の『夢十夜』を選んでいる。
そうか・・・これはミステリーなのか・・・。
と感心してしまった。
漱石の『夢十夜』は個人的にも非常に好きな作品なので、
別に記事をたてて今度書いてみたいと思う。

~5人姉弟のピアニスト~ ザ・ファイヴ・ブラウンズ公演

2007-09-21 | ピアノ・音楽
すごいコンサートに行ってきました!
すごい演奏!そしてすごく楽しい!!

ザ・ファイヴ・ブラウンズ 初来日公演
会場:東京文化会館 大ホール
日時:2007年9月15日(土)
   PM6:00開演
演目:(未だに不明な部分もあるので調査中)
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(5台10手)
レクォーナ:マラゲーニャ~アンダルシア組曲より(2台4手)
   ? :ゴルゴイユOp.29(ソロ)
   ? :踊り~スペイン狂詩曲(2台4手)
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏曲(5台10手)
   ? :   ?
サン=サーンス:動物の謝肉祭より 水族館(5台10手+ヴァイオリン)
ケルニス:スーパースター・エチュード第1番(ソロ)

ヴォーン=ウィリアムズ/アンダーソン:「富める人とラザロ」幻想曲(5台10手)
リスト:ハンガリア狂詩曲 第6番(2台4手)
ドビュッシー:月の光(1台6手)
ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲
ストラヴィンスキー:火の鳥(1911年版より)(5台10手)

リムスキー・コルサコフ:熊蜂の飛行
グリーク:ペール・ギュントより 山の魔王の宮殿にて

ザ・ファイヴ・ブラウンズというユニットが示すように、かれらはブラウン家の5人兄弟(女3人、男2人)なのです。
しかも全員がジュリアードを卒業したピアニスト!
家にはピアノが10台あるそうです。は~~~~(ため息)。
一人ひとりの演奏も素晴らしいのですが、なんといっても見ごたえ、聴きごたえがあるのは、
ステージに並べられた5台のピアノを5人で弾く、10手による演奏!
そんな演奏を生で見るのはもちろん初めて。
やっぱりちょっとオーバーアクションかな?と思わせるような演奏で、5人の演奏がぴったりとあうように全員で呼吸を合わせています。
ラストの「火の鳥」など、鳥肌が立つほどすごい迫力!息の合った演奏!
CDで聴くのも楽しいけれど、やっぱり舞台での演奏を聴いて、「見る」のは楽しい!と実感しました。

それに彼らのサービス精神旺盛なところも「楽しいコンサート」に一役買っていると思いました。
一曲、一曲、必ず自分たちで曲目紹介をしてくれるし、興味深いコメントを入れることも忘れません。
休憩の後には質問コーナーも設けて、会場からの質問にひとつひとつ答えてくれます。

演奏にしても、サプライズを用意したり、パフォーマンスを見せてくれたり・・・。
お父様、お母様までステージに登場してお礼のスピーチを!!
さすがにセレブ中のセレブファミリーなんだろうなぁ、という雰囲気を漂わせていましたが、そんな育ちの良さが5人兄弟の演奏、パフォーマンスにもよく現われていました。

ホントに楽しかった!
テレビで放送されるかも???しれないので、そちらも楽しみです。


『ピアニストは指先で考える』 青柳いづみこ

2007-09-18 | 読書
『ピアニストは“指先”で考える』というタイトルだが、
指先どころか、体のありとあらゆるパーツに神経を尖らせて演奏するのがピアノである、
ということがよく分かる本。
それも感覚的なことだけでなく、理論的にとても分かりやすく書いてあり、
目からうろこ、的な内容もあり、
ピアノを演奏する人も、しない人も「なるほど~」と思わせる本。

私は特に、今レッスンで使用しているテキストが出てくるし、先生の理論と同じようなことを筆者の青柳いづみこさんが書いているので、いちいち納得しながら読んでいた。

冒頭、「曲げた指、伸ばした指」からして納得!である。
「曲げた指」奏法では弾きにくい曲、それはショパン。ショパン自身が指の力が弱く、「伸ばした指」派だったという事実があり、結果、伸ばした指で弾きやすい黒鍵を多用した曲が多くなっているらしい。確かに・・・。

ピアノ曲を学習すると同時にオーケストラのスコアも学生には勉強させている・・・というところあたり、いつも私の先生がおっしゃっている「ピアノは独りオーケストラ」という言葉と重なってくる。

速く弾けない生徒さんの特徴、暗譜が苦手な生徒さんの特徴など、私にとっては頭が痛い内容も・・・。

理論だけでなく、ピアニスト、作曲家の話も充実していて、
ますますピアノ好きになる一冊。


「大正ロマン展」

2007-09-16 | アート
「大正ロマン」って・・・なんだか惹かれます。

「大正ロマン展 田中翼コレクション」
池袋三越7階催物会場
2007年9月11日(火)~17日(月)

大正時代って、女の人も洋装になってきておしゃれにとっても目覚めてきた時代だし、
いろいろなことが自由になって、文化的にも活発な動きがあった時だと思います。

三越さんの展示、ということで、さすがに着物の展示コーナーが広々と充実していました。
そして、大正時代の着物の着こなし、すっごくモダンなんですね。
とても冒険的、コンサバの逆を行くような奇をてらった組み合わせ。
私は残念ながら着物にはあまりなじみがないのですが、ものすごくおしゃれだなぁというのは分かりました。
この展示を知ってか、会場には着物姿の方がたくさん!
それも、若い女の子や、男性まで!!
ちょっと着物、着てみようかなぁ・・・。

着物コーナーの他にも、浮世絵、小物、陶芸、ガラス工芸など、さまざまな展示があります。
私製はがきが解禁になったということで、いろいろなデザインの絵葉書のコーナーがあったり、今見るとなんだか懐かしい感じがする、洋装の女性のポスターがあったり。

時代的には西洋のアールデコ、アールヌーボーの影響を受けていたとのことで、
ピンク×黒など色彩的にも私好み!

美術館の展示よりはカジュアルな雰囲気のこじんまりとした展覧会でしたが、
個人的にはとても楽しめました!

『風が強く吹いている』 三浦しをん

2007-09-14 | 読書
大学近くのオンボロアパートに集まった(騙して連れてこられた)10人の男子大学生が箱根駅伝に挑む!という話、一言で言えば・・・。
もちろんそんな一言で終わってしまうほどあっさりした話ではなく、
いろいろ、いろいろ、いろんなことがあって、
ラストはお正月の箱根駅伝当日にクライマックスを迎える。

でも、いかんせん、ちょっと長くて・・・。
最後、最も盛り上がって白熱する駅伝レースと物語の山場までスタミナが持たなかった・・・。ザンネン!
10人の内、箱根駅伝どころか陸上すらやったこともない者が半分以上なのに、
駅伝出場を決心するまでのくだりとか、内容もかなり「うまく行きすぎ」みたいなところもちょっと気になってしまった。

そんな内容のイマイチさは置いておいて、
でも、しをんさんがしつこくしつこく「男の世界」を小説に書き続けている理由がちょっと分かったような気がする。
しをんさん、やっぱり、女として「男と男」の関係に興味がある、とかではなく、
男同士の持つストイックな友情みたいなものに憧れていて、
自分もできることなら男になってそんな関係に入って行きたいんじゃなかな?
男の人が女の子に見せる顔と、まったく女子のいない環境で男同士で見せる顔は多分違うと思うし、
そういうときの男の人にこそ、しをんさんは憧れている、というか、
「萌え~~~!」という心境なんだろうなぁ。
その気持ち、分かるような気がする・・・。

萩原英雄記念室 (武蔵野市立吉祥寺美術館)

2007-09-12 | アート
もうひとつのお部屋はやはり版画で萩原英雄さんという作家の記念室でした。
(こちらも私は初めて知った作家さんです)

浜口さんに比べると、もっとカラフルで力強くて、大胆な感じの作品です。
なんとなくひとつの作品にそれぞれテーマとなっている色があるように感じましたが、私がいいなぁと思ったのは茶系の作品でした。

そして、部屋をぐるっと回って、最後に展示されていたのが、
とても素敵な「蔵書票」でした!!

古本にも興味がある私にとって、蔵書票(=その本が誰の所有物であるのかを明確にするために、自分の名前とかマークとかをデザインしてある名刺よりも少し大きめの紙。本の裏表紙とかに貼っておく)はとても惹かれるアイテムです。
多分昔のお金持ちが道楽で作ったりしていたことが多いと思いますが、
萩原さんのような著名な芸術家に蔵書票を作ってもらっていた人って、どんな人なんだろう・・・。
小さな図版なので、シンプルな絵柄でしたが、なんだかいいなぁ・・・と思ってずっと見ていました。

吉祥寺美術館、案外よかったので、また訪れてみようと思います。

浜口陽三記念室(武蔵野市立吉祥寺美術館)

2007-09-10 | アート
吉祥寺美術館の記念室のひとつは浜口陽三さんという版画家の作品展示室でした。

私は浜口さんのことは存じあげませんでしたが、
展示されている作品を拝見して、すぐに「あぁ、とっても落ち着く作品ばかり。好きだなぁ・・・」と思いました。

このレビューを書こうと思ったら、なんとタイムリーなことに、
教育テレビの「新日曜美術館」で浜口さんの特集を放送するというではありませんか!
なんだか運命的なものを感じつつ、そちらの放送を見てから書いています。

浜口さんの作品はカラーメゾチントという手法を用いて作られている版画です。
これは銅版全体にまず細かい傷を付け、その傷を図柄に合わせて綺麗にならしたり、こすったりして、銅版にインクの付着する量を調節してゆくそうです。
特に浜口さんの作品に特徴的なのは、同じ銅版を4枚用意して、
それぞれを黄色・赤・青・黒の順に刷りあげることです。
そして特に特に特徴的なのは、必ず最後に黒インクで刷り上げることです。

この「黒」は初期の頃からの浜口さんのこだわりの色なのだそうです。
初期の作品は黒だけで刷る版画作品がほとんどのようでした。
それから色を使用するようになったそうですが、必ず黒で仕上げることは必須です。

浜口さんの作品は、さくらんぼ、ぶどう、太陽など、丸いものをモチーフにした作品が多く目につきます。
どれを見ても、なぜかとても気持ちが落ち着くのです。
それはやはりその「黒」に秘密が隠されているように思います。
「黒」・・・暗くて沈んだ色・・・でも、闇の中にいると不安を感じる時と、
逆に心が静まって落ち着いてくるときがあるように思います。
浜口さんの作品の黒はまさに後者の黒、だと思うのです。

ご実家は大きな醤油屋さんだったという浜口さん。
その醤油蔵を改造して作った記念館のような美術館があることも知りました。
今度はそちらを訪問することが楽しみになりました。