練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『エスケイプ/アブセント』 絲山秋子

2007-07-31 | 読書
「おれ」っていう男の脳内演説が延々と続く。
「おれ」はどうやら共産党員だったらしい。
丸ビルの爆破に興奮して、過激派にあこがれ、
頭の中はゲバ、セクトなんて言葉でいっぱい。
しかもゲイである。
今は党員ではないらしいが、
職もなくなり、遠地に住む妹のところで食い扶持を見つけてそこに向かうところらしい。

なんとも胡散臭い男の怪しい話だ。
バックグラウンドからしてなじみがなく、
読みにくい・・・と思っていたが、京都の町でニホンゴペラペラのこれまた胡散臭い外人牧師に出会うところあたりから、
なんとなく面白くなってきた。

牧師の家での居候生活。
そして「おれ」はある男の行方を常に意識しているらしい。
それは別に「元カレ」でもなく、すごく近しい関係にあった男のようだ。

その行方不明の男のその後は「アブセント」に描かれている。

どうもつかみどころのない話だったが、
これはある種の人間が持つ「失踪願望」「根無し草願望」を満たす小説なのかもしれない、
とも思えた。

monkey majikのアルバム

2007-07-30 | ピアノ・音楽
西遊記のときから注目していたんだけど、
昨日27時間テレビを観ていたらすごく欲しくなってアルバム買ってしまった。

なかなかよいなぁ~~♪

そういえば、仙台のバンドらしいけど、
伊坂といい、最近仙台が私的に縁がありそう。
伊達政宗の引力?

美術館めぐり

2007-07-29 | アート
今、選挙速報を観ないで教育テレビを観ていたら、
『ミューズの微笑み・夏のときめき美術館』
なんていう番組をやっている。
久しぶりにこの時間に3チャンを観たけど、
初めて観るわぁ、この番組。特番かしら。

横須賀に出来た美術館のことをやっているけど、
展示作品も面白そうだけど、建築物としての美術館がとっても素敵。
行ってみたい!

そういえば、コルビュジエが設計した国立西洋美術館(上野)を
世界遺産にしよう、という働きかけをフランスの文化庁(?)が行っているらしい。

建築に注目して美術館をまわる、というのも楽しそう。

『にょっ記』 穂村弘

2007-07-27 | 読書
リアルな日記なのか、すべてフィクションなのか。
たとえすべてが作り話で、妄想だらけの日記だったとしても、
穂村さんの「おかしなことに反応するアンテナ」は感度ばつぐんなのだ。

でも、これがおかしいっていうことを人類全部と共感できるかというと、
その自信はないし、もしかしたらほとんどの人に
「何これ!どこが面白いのか、ぜ~んぜんわからないっ!!」って言われてしまうかもしれない・・・。

そんなビミョーな面白さ。
一番仲のいいお友達には「ぜ~んぜんわからないっ!!」って言われちゃったら悲しいなぁ。
でも、そう言われたら言われたで、この面白さを延々と説明してしまいそうで怖いわぁ。

よくもまぁ、こんな細かいところに気がつくよなぁ・・・。

いろんな面白い話が書いてあるんだけど、
ひとつ、比較的爽やか系の印象に残る話をあげるとしましょう。

飲み会で男性が何人もよってたかって、ある女性にいやがられながらもしつこく体重を聞いていたら、ついにその女性が観念して、
「イチローの背番号+1キロ!」と叫んで消えていって、
それを聞いた穂村さんは、
「イチローの背番号!」とか嘘ついても絶対バレないのに、
そこで敢えて「+1キロ!」なんて付け加えるとはすごい正直者だよなぁ・・・
といたく感心した、とかいう話。

でも、これって書いてある中でもとってもまともである意味穂村さんっぽくないんだけど、まぁ、いいや。

(追記)昨日アップしたとき「女性の体重」と書きたいのに「女性の年齢」と書いていましたので訂正します(^^;
どっちにしろ、しつこく聞かれたらいやだけど、私はどっちかというと体重のほうが言いたくないかなぁ・・・。

『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩

2007-07-26 | 読書
村田という歴史文化研究者がトルコはイスタンブールに留学。
エフェンディとは学問を修めたものに対する彼の地での敬称。

村田が暮らす屋敷。アカデミックな会話が自然になりたつ家の主人夫婦。
トルコの人々との交流。まさに的を得た言葉を発する鸚鵡(おうむ)。

時代はおよそ100年前。
そして梨木さんならではの霊魂世界。

ストーリーも楽しめますが、私はその雰囲気を十分に楽しみました。
ヨーロッパではなく、トルコ、イスタンブールという異国情緒あふれる土地のイメージ。
トルコを土耳古、ギリシャを希臘、おうむを鸚鵡と書くなど全体的に漢字表記の非常に多い文面。
第一次世界大戦、明治の日本。
それはまるで夏目漱石の世界のよう。

梨木さんが夏目漱石をリスペクトしているのはきっと間違いないでしょう。
でも、真似ではない梨木ワールドになっています。

肝は鸚鵡の叫び。
ラスト、日本に連れてこられた鸚鵡が叫ぶ言葉にぐっときます。

『とりつくしま』 東直子

2007-07-24 | 読書
「とりつくしま」っていうのは、この世に未練を残したままあの世に行ってしまった人に特別に用意された、
「とりついていいもの」のこと。
その何かものにとりついて、体は死んではいるけれど、
魂はこの世に残っていることができる。

要は、幽霊、お化け、もののけとなってその辺のものにとりついている人たちのお話。

前にどこかに書いたけど、お化け、幽霊とかって恐ろしい、こわ~いもの、
というイメージばかりだけど、
彼ら(彼女ら)って、きっとこの世の誰か、何かと別れたくなくて、
人恋しさにその辺をさまよっているさびしがりやさんなんだろうな、
って思う。

だから、ちょっと前に感想を書いた『シックス・センス』でもそうだったように、
話を聞いてあげたり、寂しさを埋めてあげたりすれば納得してあの世にお発ちになるんだと思うんだよね~。
で、お盆のときとかは、「お化けが正々堂々とこの世に帰ってきていい日だ~!」とか言って、また現れたりして。

このお話は、そんなお化けたちの話。
でも、そんな風だから、全然怪談ぽくもなくて、
むしろ怖いというよりもその愛情に感動して、ちょっとしんみりと悲しくなってしまうお話たち。

でも、死んでしまった彼らがとりつこう!と思うものが面白いの!
何にとりつこうと思うかは読んでからのお楽しみ。
どうすればこの世に残してきた一番愛するあの人と一番近くにいれるのか、
考えに考えた末に思いついた「とりつくしま」たち。

もしかして、この部屋にあるあれ、とかこれ、とかに
亡くなってしまったあの人がとりついていて、
私のことをそっと見守っていてくれていたりして・・・。

『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎

2007-07-23 | 読書
今のところ出版されている伊坂作品を全部読んで、
最後にこの『フィッシュストーリー』にたどり着く。
そうすると、あのしかけが思う存分楽しめる!
そう、あの人、この人、いろんな作品に出てきた愛すべきキャラクターが
あちこちに再登場するのだ。
しかも、今回は装丁までもどこかで見たような・・・。

でも、やっぱりすごいのは、どの新作も以前の作品の二番煎じではないところ。
今回は初の短編集である。
そしてまた、いろんなアイテムのてんこもり。
教訓的セリフ、言葉の遊び、ビートルズへのオマージュ、謎解き、時系列でないストーリーの面白さ、ふるさとをリスペクトする信念・・・

どうして伊坂作品にこんなに惹かれてしまうのかな~と考えてみたが、
多分、と思える理由がふたつばかり見つかった。
ひとつは、適度なありえなさがいい、ということ。
あまりにも日常日常している話は共感できるけど、つまらない。
あまりにも現実離れしていても理解できない。
えっ?と思うような変なキャラクター、シチュエーション、
それが私の興味を存分に湧かせる程度にちょうどいいのだ。

それからもうひとつ。
恋愛小説でないということ。
もちろん、恋愛中の男女が登場したり、恋愛という感情をふくむいろんな愛情によって登場人物は動いている。
けど、メインに書かれていることは、およそ恋愛とはかけ離れているといってもいいくらいのへんてこりんな人たちによるへんてこりんな行動だ。
私はもともと、他人の恋愛にほとんど興味がないようなのだ。
伊坂作品を読んでいると、人生ほかにもいろんなことがあるよ。
それに恋愛以外にも楽しいことってたくさんあるし。
という気分にさせてくれるのだ。

そんな私も、恋愛には鈍感かもしれないけれど、親子の愛情とか、友情、みたいなものには結構敏感に反応してしまう。
だから「ポテチ」という作品にはちょっとぐっときてしまった。
泥棒青年がポテチを口いっぱいにほおばりながらボロボロ涙してしまうわけ、
ラストにその理由が分かったところでこっちまでポロポロきてしまいそうになった。

どの短編も面白くて感動的でカッコよいです。

追いつかない・・・

2007-07-22 | 読書
『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎
『とりつくしま』 東直子
『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩

読了しているのですが、ブログにアップする暇がありません(涙
最近我が家の1台しかないPC・・・というか、回線が1つしかない、
が順番待ちの状態が多くて。

それに本の感想書くのに何十分もかかってしまうので、
かなり時間的余裕がないと書けません。

明日あたり頑張ってアップする予定ですが、
ちなみに3冊ともとても良かったです!

レッスン記録

2007-07-21 | ピアノ・音楽
『テクニック』
家で弾いているテンポよりも先生のところで弾くとかなり速く弾かされる。
意識して速いテンポで弾くようにしないと・・・。
8分の6拍子だけど、速く弾くときは2拍子を意識して弾くとリズムに乗りやすい。

『30番練習曲 16番』 ツェルニー
音があちこち飛ぶ曲なので、あまり楽譜にたよるとついていけなくなってしまう。
ある程度暗譜して、感覚で弾けるようにならないといけない。
次回までにスピードアップして弾けるようにしてくるのが課題。

『ワルツ OP.39-15』 ブラームス
雰囲気つくりはよいようなので、テクニック的にちゃんと弾けるようになりたい。
パターンが変わるところなど、ミスタッチが多いので、そこを克服するのが課題。
弾きにくいところは楽譜にしるしをつけて、意識するようにするとだいぶ違うとのこと。
そして、苦手なところはその部分だけでなく、直前部から練習して、
つながりを持って弾くことが大事、とのこと。
アルペジオは苦手だと思っていたけれど、
暗譜するとかなり弾きやすい。


プラハ国立美術館展 -ルーベンスとブリューゲルの時代-

2007-07-20 | アート
プラハ国立美術館展
ルーベンスとブリューゲルの時代
Bunkamura ザ・ミュージアム
2007年6月9日~7月22日

ルーベンスと言えば????
フランダースの犬!!!

ですよね?
すなわち宗教的絵画、なので、多分似たりよったりの絵が多いだろうから・・・
とあまり期待しないで(ごめんなさいっ!)鑑賞に行ったのですが、
ある理由のためもあって、思いのほか、とても楽しめた展覧会でした。

その理由とは・・・
展覧会の絵の横に貼り付けられている解説。
今回の展覧会はその解説が非常によかったのです!私的に。
簡潔にまとめられているけれど、内容は興味深く、すごくためになる解説でした。

やはりこういう種類の絵画はある程度の知識があって鑑賞した方がより楽しめる!と確信しました。
最近よく常備してある「音声ガイド」。
私は利用したことがないのですが、今度使ってみようかな、と思いました。

さて、展示内容ですが、その解説のおかげで一枚一枚じっくり鑑賞し、
いろいろなことが分かりました。
聖人や聖書の内容などを題材としている宗教画、それぞれの絵の中にいろんなメッセージが含まれているんですね。

例えば、ぶどうが描かれた静物画。ぶどうにはワイン=キリストの血という意味がこめられている。
また、聖母マリアに抱かれて、本当に美しいそのお乳を飲みながら安らかに眠る幼いイエス。心休まる絵だと思いましたが、幼子が眠っているのはやがて訪れる死を意味する。
などなど・・・。

技巧的なことでも初めて知ったことも多く、興味深い絵画が何点もありました。
花のフレームのような中に人物が描かれている絵。それは実は植物を描く専門の画家と人物を描くのが専門の画家が共同で製作している。
チラシにも掲載されているお花の絵。実は花期などまるで違う花が一緒に描かれていて、豊潤、反映を意味している。

そういえば・・・と思ったのは、ほとんどの絵が想像の上に描かれているということ。
これは日本の江戸絵画、琳派絵画とか、最近人気の若冲に通じるところがあるのではないでしょうか?
上記の花盛りの絵=琳派、お魚がいっぱい、鳥がいっぱいの絵=若冲なのでは?

そんな感じでいろいろな発想、連想を重ねあわせながらとても楽しめた展覧会でした。
会期は22日(日)まで。あと少しですが、興味のある方は是非、ご覧になるといいと思います。