練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『間宮兄弟』 江國香織

2006-10-30 | 読書
以前にも書いたことだが、一時期、江國さんの小説はあまり読まなくなってしまっていたのだが、この『間宮兄弟』はなぜかちょっとイケていない兄弟が主人公ということだけ予備知識としてインプットされていて、気にはなっていたのだ。

読後の感想としては・・・これは私の好きな部類の江國作品だった。
なんだかいろいろなことは起きるには起きているのだが、全体は淡々としていて、そもそも主人公の兄弟がもちろん喜怒哀楽にさいなまれながら日々暮らしてはいるのだけれど、どうも(いい意味で)現実感が薄いというか、もうすっかり完成されてしまっているので動じないのだ。周囲の人物達、女性たちには様々な変化が訪れて彼女たち自身も変化してゆく。しかし、間宮兄弟は日々を丁寧に丁寧に生きてゆく。

ストーリーを楽しむ、というよりは、兄弟の暮らしぶり、大事にしていることのこだわり、お約束、会話、そんなものを楽しみながらゆっくりと読んで行きたい小説だ。
だって「読書の日」、ジグゾーパズル、花火大会の日の浴衣・・・などなど・・・そんなある人にとってはどうでもいいような、でも自分にとってはとても快適なものにこだわって暮らしてゆけたらどんなにいいでしょう。しかもそのヨロコビを分かち合える人がそばにいるなんて、なんというしあわせ。
ただ、彼らにとってのヨロコビを分かち合える人、というのが女性ではなく、兄弟同士であったということが哀しいような、幸せなような、つまりいつまでたっても間宮兄弟に恋人ができない原因なのだろうなぁ。

レッスン記録(10/28の分)

2006-10-29 | ピアノ・音楽
『テクニック』
リズム変えの時に、同じリズムで弾くとしても、アクセントの位置を弾くたびに変えて弾くととても練習になるらしい。さっそくやってみよう!

『30番練習曲 12番』 ツェルニー
同じ音を連続してスタッカートで指を変えて弾く練習。
粒をそろえて弾くのは必須だが、全部の音を力を入れて弾いていると多分腕がつってしまうだろうし、速く弾くのに限界があるので、三連符に注目して最初の音は手首を使って指を上から落とすように弾き、残りの二音はその勢いで軽く弾く。そのような練習を何度も繰り返すのが大事、とのこと。

『亜麻色の髪の乙女』 ドビュッシー
右手、左手を分解して、さらにその中でメロディ、内声と分けて弾く練習をした後、全部を合体させて弾く。
特にこの曲の場合、右手メロディ、左手伴奏、というわけではなく、左右の手で和音を弾く部分が多く、そこでしっかり和音が揃っていないと綺麗な演奏にならないので、なんとなくつられて弾くのではなく、しっかりと全部の音を頭にインプットさせてから演奏するのが最重要課題である。

『家守綺譚』 梨木香歩

2006-10-24 | 読書
あぁ・・こういうお話、私、とっても好きなんです。

大体まずタイトルが『家守綺譚』ですよ。
なんてまぁ、古臭い・・・。そそります。
綺譚・・・ありえない不思議な話。そういうの大好きなんです。

そして、目次を開くと、サルスベリ、都わすれ、貝母、などなどお花、それも和風の花木の名前がずらりと・・・。
あぁ、なんて素敵。

読み進むと私の期待を決して裏切らないなんて素敵な物語。
各章ごとに淡々とお話は進んでゆきます。
しかもその内容たるや、まさにありえない、摩訶不思議、ファンタスティック。
でも、とてもしずかで美しい。
庭の木がまるで命が宿っているかのように主人公に反応したり、掛け軸の中から死んだはずの旧友が姿を現したり、河童が現れたり、人魚のようなお姫様が登場したり。

いいなぁと思ったのは、こんないわゆるお化け、もののけが出てきてもお話の中の生身の人間は誰も大騒ぎしないのだ。
ああ、またやってきましたか、のような反応。
私も常から幽霊とか霊魂とかは(見たことないけど)死んでしまったけど淋しくて人間界にフラッと遊びに来た古い知り合いなんだろうなぁ、と思っていた。
全然怖がる必要なんかない、その辺にいてもおかしくない、むしろ淋しがり屋の可愛いヤツ、と思っていた。
そんな気持ちがお話全体に満ち溢れていて、すごくよかった。

なにかわくわくするようなことが起きて話の先を早く読みたくて仕方ない、というのとは正反対。ひとつひとつの話をすこしずつゆっくりと読んでかみしめてみたい作品でした。

レッスン記録

2006-10-22 | ピアノ・音楽
ビデオに撮っておいた『のだめカンタービレ』、やっと観ることができた
のだめのように自由に歌うようにピアノが弾けたらいいのに・・・。
のだめは楽譜を見て弾くことが大の苦手だが、私は楽譜を見ないと弾くことができない
「絶対音感が欲しい!」とまでは言わないけれど、もうちょっとカンがよくならないかなぁ・・・。

『テクニック』
指上げのときなど、家では遠慮しいしい弾いているので、「もうちょっとしっかり音を響かせて弾いていいですよ」と先生にいつも言われてしまう。
でも、鍵盤の芯のところまで音をふか~~く感じて弾くと、やっぱり気持ちいい
左手の4~5を広げて弾くのがやっぱり苦手。
フレーズの中でも左4の指がさぼろう、さぼろうとしているのがよくわかる。

『30番練習曲 11番』 ツェルニー
なんとか○。
スケールをクレッシェンドして、最後の5の指を大きくスタッカートで弾く、その繰り返しなので、弾き始めを弱くだんだん強く弾いてゆくのかと思ったが、最初から音は小さくても弱弱しく弾いてはダメで、必ず粒をきちんと出して弾くように、とのこと。
なのであまりクレッシェンドは意識しないで、「粒、粒」と頭に叩き込んで練習してみた。
最後に延々と続くフレーズがあるので、全然休むところがない。弾いた~~~と実感するような曲。
でも、ツェルニーはキライではないので、苦痛ではない。

『亜麻色の髪の乙女』 ドビュッシー
和音がいっぱいなので音が取りにくい。
で、そのコードが微妙に変わってゆくところがドビュッシーの素敵ところなんだなぁ・・・
ペダルも完全に踏み変えてしまうのではなくて、半分だけあげて・・・というような今までやったことないような難しいテクが必要らしい。
でも、素敵な曲なので完奏できるようになりたい

『マドンナ』 奥田英朗

2006-10-19 | 読書
同じく奥田英朗さんの『ガール』は女性の気持ちがよく分かる内容だったが、この『マドンナ』は男性の気持ち、特に中年サラリーマンの気持ちがよく分かる、といったところだろうか?いかんせん私は中年サラリーマンでもないし、男性でもないので想像するしかないのだが。

すごいな、と思ったのは、男性の心理がよく書けているだけでなく、それを取り巻く女性、まぁこの場合奥さんなんだが、その発言などの描写が的を得ていることだ。
私なんか気が弱くてよう言えない、けど心の中では大声で叫んでいる言葉を作品に出てくる奥さん達は代弁してくれている。

やっぱり奥田さんって人の心の中のつぶやきを書かせたら右に出る者はいないんじゃないでしょうか?

『SOKKI! -人生には役に立たない特技-』 秦建日子

2006-10-18 | 読書
自分で言うのもナンだが、子どもの頃の私はそれはそれは好奇心旺盛、向学心旺盛、いろんなことに興味を持ってすぐのめりこむ方であった。その気持ちがずっと続いたか、というとまた別の話で、要は結構熱しやすく冷めやすい部分も多かったのだが、テレビの国会中継かなにかを見て、速記って面白そうだなぁ、と一時期速記をマスターすべく無駄な努力をしていた時期もあった。

なんかそんなことを思い出しながらこの小説を読んでいた。
「人生には役に立たない特技」・・・確かにそうかもしれない・・・。
でも、そんなことに全身全霊をかけてしまっている、ある意味変わり者の大学生たちの恋愛小説、青春小説だった。

うん、面白かった。
秦建日子さんって男の方だったんだ。
なるほど、出てくる男の子の言う事、やる事がなんとも印象的。
こんな風でありたいな、と秦さんが思っている男の子象なのかな?

人生は「甘・甘」が正解、とかいたるところに「なるほど」とか「そうだよね~」とか思えるような言葉、エピソードがたくさんある。

速記とかってこの話でなにか意味があるのか?とか思ったけれど、「ここでこう使うか!」って感心するようなシーンもある。

すらすらっと読めていろいろとあったかい気持ちになれた小説でした。

レッスン記録(10/7の分)

2006-10-16 | ピアノ・音楽
あまり練習する時間がなく、練習不足の感は否めなかったのだけれど、次の週はレッスンにくる事ができないのが分かっていたのでお稽古に来るだけ来てみたのだが・・・。
やっぱり練習不足はすぐに分かってしまうものなんだなぁ・・・

『テクニック』
楽譜についてゆくのがやっと、という状態。
ちょっとテンポアップするとミスタッチしてしまう。
「もう少し慣れて弾けるようになるまでもう一回練習してきてください」とのお言葉。ごもっともです。

『30番練習曲 11番』 ツェルニー
右手、左手のスケールをクレッシェンドして弾くように指示してあるので、弾き始めの音を小さく弱く弾いていたのだが、まずは全部の音をしっかり弾くように練習してから音の強弱をつけてゆくように、とのこと。
左手のスケールの部分はまだ指使いなどきちんとできていなくて、指が足りなくなることがしばしば。部分練習をもっともっとしないと、と実感。

『亜麻色の髪の乙女』 ドビュッシー
「これ、弾いてみたいんですけど・・・」と先生にお伺いをたててみる。
「まあ・・・・いいんじゃないかしら」
ツェルニーとは曲調も違うので、めりはりつけて練習しましょうとのこと。
この曲は以前教育テレビでやっていた「ベロフのスーパーピアノレッスン」で取り上げられていたのをビデオに撮っておいたのがあるので、参考になる!と思って見直してみたが、レッスン内容があまりにも高度で今の私にはあまり直接的には役にたたなかったが、曲想のとらえかた、テクニックなどいろいろと細かく指導している内容だったので、ある程度弾けるようになったらまた観直してみたい。


『空中庭園』 角田光代

2006-10-12 | 読書
「なにごともつつみかくさない」というがモットーのある一家。
長女が「仕込まれた」のはラブホテルの一室だったという下世話な事実までつつみかくさずその娘に話してしまうようなあっけらかんとした家族。
でも、そんな明るさ、健全さはもちろん見せかけだけのもの。

母、父、娘、息子、おばあちゃん、ある女性という6人の独白という形でそれぞれの章がなりたっている。

私的にはかなり面白い小説だった。
みんなが抱えている問題、秘密。そういったものが明らかになってゆく過程も読み応えがあったし、なによりも一見明るい模範的に見える(ように頑張りすぎてしまっている)一家が実はそんなことない、いろんな確執の伏魔殿なのである、というところに共感を覚えた。

特に母の行動、心境は私が似たような立場にあるからということもあるが身につまされるような気持ちで読んでいた。
実の母に対するコンプレックス、明るく明るくすればするほど空回りする白々しさ、ベランダでせっせと植物を育てて見事なまでの庭園を作り上げてゆく意味とか精神状態。反感と共感、両方を覚えるような感覚だった。

最終章、すべてお見通しの息子の告白もかなり衝撃的だった。

角田作品を読んでいるといつも思うのだが、今だからこそこの人の作品は受け入れられる、評価されるのだろう。
清く正しく美しくといった昔の絶対評価されるに値するものを根本的に覆すような角田作品。
読み終わったあとにもしばらくいろいろと考えてしまう一作でした。

『砂漠』 伊坂幸太郎

2006-10-06 | 読書
大学時代ってこんなだったなぁ・・・とちょっと感慨深くなってしまうような作品。

伊坂作品はどこか現実離れしたようなシチュエーションが魅力だったりするけれど、これは比較的限りなく日常に近いような印象を受けた。
その中にも伊坂さんおとくいの緻密な設定や伏線、決めのフレーズなんかがあちこちに散りばめられていて期待を裏切らない。

なんといっても主たる登場人物が東堂、南、北村、西嶋。この四人が集まったのは名前に東西南北がついているからという理由で雀卓を囲む事になったから。
そういう意味もなくくだらなくてなにも建設的ではないことに夢中になれるのは学生時代だけだったなぁ、とン十年もたった今、つくづく思うのだ。

でも、そんな風にくだらないばかりではない。この物語の登場人物たちは。
多分、伊坂さんがこうありたい、と思うようなキャラが登場人物に投影されているような気がする。

特に西嶋だ。彼は集団の中では浮いている。周りがサ~~~~っと音をたててひいてしまうくらい、恥ずかしくなるような正論を大きな声で弁じてしまうような、なんだか熱いんだか空気が読めないんだかよく分からないような浮きさ加減なのだ。
そんな彼だが、話を読んでいるうちにどうしようもなく西嶋に惹かれてゆくのが自分で分かった。

作品中にたしか「自分とは全く関係のない土地でおきている人間の不幸を憂うことができるのが人間だ」とかなんとかいう引用があったが、西嶋はそれを地で行ってしまい、行動に移してしまうような人間だ。
もちろん、地球の裏側の国でおきている理不尽な殺戮を憂いて、武器を即座に手にして戦いに行く・・・なんてことはいくらなんでもしないけれど、保健所のサイトで保護期限が明日までという野良犬の写真を見ていてもたってもいられなくなって後先のことを考えずに引き取りに行ってしまう程度の行動力なんだけど・・・・。

びっくりしてしまうようなことを言ったりやったりする西嶋だが、彼がすごいのはとにかく「臆さない」ということだ。まったく軸がぶれていない。
私は彼のエピソードを読んでいて、「孤高」という言葉を思い浮かべていた。

それでも彼は決して孤独で他を受け付けないというわけではない。
友人、友情のかけがえのなさ、みたいなものを一番実感しているように描かれていたのも西嶋自身だったと感じられる。

ラスト近く、卒業式での学長先生のことばもなかなか泣かせるものがあった。
学生時代という短い、それでいて二度と経験できない貴重な時間の素晴らしさ、それを改めて思い出させてくれる作品だったと思う。

レッスン記録(9/30の分)

2006-10-02 | ピアノ・音楽
レッスンと関係ないけど、先生のお宅の近くでものすごい交通事故があって怖かった~~~。
信号のない交差点なので、多分、一時停止無視した車に横方向から走ってきた車(一時停止の指示なし)が出会い頭に衝突したのだと思うけれど、一台は横転して道を塞いでいた・・・。
運転していたらしきおばさんは道に寝かされてるし・・・。
そのうち消防車が3~4台やってくるし、おまわりさんは10人くらいやってくるし、ホントに怖いよ~。

『テクニック』
一週間しか練習期間がないと、スピードを上げて弾くところまではなかなか到達しない。
家で弾いていたのより、大分速いテンポで弾いてみたところ、かなりミスタッチもしてしまった。
考えすぎて弾くと頭がついてゆかないし、かといってなにも考えずに弾くのは練習にならないので、その辺の感覚を身につけるのが目的、とのこと。

『30番練習曲 11番』 ツェルニー
右手スケールのフレーズ最後の4,5の指を強く弾く練習。
スケールなので、ワンフレーズごとのメロディは弾きやすいのだが、シャープがつく部分とフレーズ最初の弾き始めの音がまだあやふや。
それから、左手もあちこち飛ぶので、暗譜して弾けるようにしたい。

『ピアノ・ソナタ 20番 第二楽章』 ベートーヴェン
やっと○もらえた!
なんとか暗譜もできた!
中間部、問題の部分は拍の始めの音を右手左手しっかり合わせるようにリズムをとりながら弾くように意識したら大分弾きやすくなった。
まだ未完成といえば未完成なので、第一楽章と合わせてこれからも自分で練習したいと思う。