練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『駅へ 松村正直歌集』

2008-05-28 | 読書
短歌は・・・・一首、二首きまぐれに読むだけならばいいのだけれど、
歌集のようにまとまったものをあんまり根をつめて読まないように気をつけています。
と、いうのも、一首一首にこめられた気持ちがあまりにもダイレクトに伝わりすぎて、私も感情移入しすぎてしまい、疲れる・・・というか、詠んだ人の気持ち、うれしい気持ち、悲しい気持ち、いらだつ気持ち、いろんな気持ちで心がいっぱいになりすぎてパンクしてしまうからなのです。

だから、気をつけていたのですが・・・また真剣に何度も読んでしまいました。

この歌集は解説にもあるように起承転結の形が感じられるような、物語を感じさせるような歌集です。

青年時代の孤独な、自由な暮らし、いろいろな土地を流れ着いて、満たされない気持ちを抱えたまま転々とする。
そしてある転機が訪れ、過去の自分や癒されなかった傷、その他のものと決別して、また新しい生活を送るようになる。
そんな作者の一連の流れが想像されます。

作者の気持ちでパンク寸前のこの状態、しばらく浸ってみます。

レッスン記録(5/24の分)

2008-05-25 | ピアノ・音楽
1日とはいいません。半日でいいから、おもいっきり近所迷惑とか考えずに、グランドピアノで思う存分練習したい・・・。

『ハノン 4番』
左手が安定しないことはいつもどおりなのだが、特にスタッカートのときにミスタッチが多い。
これまでは鍵盤と指を見ながら弾いていると、目が回るような気がして楽譜を見ながら弾いていたのだが、特にミスタッチの多い部分は鍵盤と指を見て確認しながら弾くようにしたら、ちゃんとミスなしで弾けた!
なぁんだ、最初からこうしていればよかった・・・。

『30番練習曲  22番』 ツェルニー
いつも間違えるところが3箇所。
そのうち1箇所は反復練習していったので克服できたが、あとの2箇所はレッスンに間に合わず。
フレーズの最初の音にアクセントを感じるようにして弾くと弾きやすいとのアドバイスを受けた。
そして、腕がつりそうになってしまうフレーズが一箇所。
いかにして力を抜いて弾くかがポイント。

『5月の夢の歌』 吉松隆
今日からは曲のイメージ作りにいよいよ入る。
私が「こんな風に弾こうかなぁ」と思っていたイメージと、先生が提案してくれた雰囲気が同じだったのでよかった!
演奏を記録したCDなどがあまりない(というか聴いたことがない)曲なので、自分の解釈で弾けるのが楽しい。

『吉原手引草』 松井今朝子

2008-05-24 | 読書
吉原で伝説の花魁、葛城。
遅咲きながらみるみる花形花魁となった彼女の身に何が起きたのか・・・。

吉原とは要するに花のお江戸の高級娼館街?
所詮殿方のお遊びになるところ・・・?と思っていたので、その内情など実のところはよく知らなかった。
そんな吉原の「手引き」書でもあるような小説である。

吉原を知ること、それはすなわちその構造を知ることだけでなく、
その中で夜毎繰り広げられる擬似恋愛、男と女の心の機微を知ることでもある。

花魁は恋の駆け引きのプロ中のプロ。
それに太刀打ちできるような大人の男でないとそこで彼女と遊ぶ資格はない。

吉原の、というよりはそんな恋の駆け引きの手引き書と言ってもいいような小説。

そして葛城の身におこったらしいおだやからなざるある事。
それがさまざまな人々の証言から明らかになってゆく。

ひじょうに面白い小説でした。
直木賞受賞、納得です。

『夜明けの街で』 東野圭吾

2008-05-22 | 読書
東野さんにしては珍しい不倫の話だ。
『百夜行』シリーズも不倫といえば不倫のような道ならぬ恋の話だった(ように記憶している)が、
これは普通の妻子持ちのサラリーマンが派遣社員と不倫関係に陥ってしまって・・・と言ったありきたりの小説。

しかし、ありきたりで終わらないのが東野さんであって、
そこには犯罪の影がちらほら・・・。
そして最後の種明かしとどんでん返しも期待どおり用意されている。

おまけでついているような短い「番外編」も面白い。
あ、なるほど~、と思わせるようなオチである。
まぁ、他人だけ幸せになるのがなんだかくやしいような気がするのは女だけではないようで・・・。

『私の男』 桜庭一樹

2008-05-19 | 読書
いろんな意味でとても危険な小説だった。

内容のスキャンダラスさ(実の父と通じてしまう娘)もさることながら、この小説はどこか誰もが持っている心の中の暗黒の部分、ダークサイドを刺激してしまうような危険性がある、と感じたのだ。
特に私に限って言えば、明るい日の光の中を正々堂々と顔を上げて歩く人生と対極にあるような、暗くて誰とも相容れない、それは犯罪とも違う、なにかものすごくどす黒いものにどうしようもなく惹かれてしまうときがあるので、この小説を読み始めてすぐ、「あ、やばい」と思ってしまった。
ずるずるとその闇に引きずり込まれそうな気がしたのだ。
だから、あまりのめりこまないようにちょっとずつ時間をおいて、とぎれとぎれに読んでいた・・・。

いろいろ思うことはあるけれど、ひとつ、とても心に残ったのは、
「一緒のお墓に入るのが本当の家族」というようなことが書かれていたことだ。
主人公は災害で家族を失ったとき、その家族は本当は自分とは血がつながっていなかったのだが、自分以外の家族は皆、まるで運命を喜んで共にするかのようにそろって死んでいったのに、自分だけは「生きろ!」と言われて、一見命を助けられたかのように思えるが、実はものすごい疎外感を感じてしまう。
この一緒に死んで、死んだ後にも一緒にお墓に入れるのが家族、というのはある意味真実なのかもしれない。
私が幼いころ、祖母、祖父が亡くなり、そのたびに葬儀、納骨などが続き、お墓の前であるとき母が、「あなたはお嫁に行っちゃうから、このお墓には入れないのよ」と言った。その言葉を聞かされて、小学生であったにもかかわらず、ものすごいショックを私は受けて、しばらく涙が止まらなかったことがある。
そのことを思い出してしまった。

最終章、主人公と父親の関係が始まる場面は一番の重要なシーンであると思うのに、いまいち説得力に欠けるような印象が強いが、全体としてはかなり強い読後感を受けるような小説だった。

レッスン記録(5/10の分)

2008-05-12 | ピアノ・音楽
『ハノン』 3番
実は娘も同じテキストになったのだが、娘の課題の量と私の課題の量、3倍以上違う・・・。もちろん娘の方が多いのだ。
さすが先生、生徒のキャパをよくお分かりで・・・
かな~り腕がつらい。ピアノを弾くことでこんなに筋肉を使うなんて、習うまでぜんぜん知らなかった。

『30番練習曲 22番』 ツェルニー
こちらの曲も腕がつりそうになってしまう。
リズム変えの練習をしてくるように。
力をいかにして抜くか、がポイント。いつもと同じだけど。

『5月の夢の歌』 吉松隆
メロディが出てきたことは褒めていただいた。
課題とすれば、指使いが弾くたびに変わって安定していないので(楽譜には指番号が一切書かれていないので、自己流で弾いてしまっている)、
ポイントポイントの指使いを固定するように気をつける。
また、前の曲から頭を切り替えないで弾き始めると調が不安定なので(どの音に♯をつけるのか、分からなくなって混乱してしまう)、弾く前に確認したほうがいいのかもしれない。

「ガレとジャポニズム」展

2008-05-10 | アート
アップが遅くなってしまいました。
なんとなく記憶も薄れつつありますが、会期終了にぎりぎり間に合いそうなので、アップしておきます。

「ガレとジャポニズム」
サントリー美術館開館1周年記念展
2008年3月20日(木・祝)~5月11日(日)

ガレとジャポニズムとのタイトル通り、テーマがはっきりしています。
ガレが影響を受けた日本の芸術と、それが表現されたガレの作品が展示されています。

ガレが惹かれたという蜻蛉の絵柄の工芸を見ていたら、
ギロックのピアノ曲が頭の中に聞こえてきました。
なんだかいろいろなものを連想させる作品群です。

印象に残ったのは、日本の芸術に触れることによってガレが「触れて愛でる」ということに行き着いたことです。
確かにお茶などでは茶器を両手で大切に抱いて、その造詣などを愛でることがありますが、
それまで眺めて慈しむだけであった工芸品を惜しげもなく手で触れて感じる、という鑑賞の仕方にガレが到達した、ということ、それがとても印象的でした。

ガレの花器はそれだけでも素敵なのですが、お花を生けてこそ、そのよさも生かされると思います。
私がいけばなをお稽古しているからこそ、そう思うのかもしれませんが。
ガレの花器を見ていると、これにどんなお花を生けてみようか・・・とわくわくしてきます。
ガレが日本に影響を受けていたからこそ、和花なども彼の花器にしっくりくるのかもしれません。

会期は明日まで。
ガレ風の侘びさびを味わえます。

『冠・婚・葬・祭』 中島京子

2008-05-09 | 読書
かんこんそうさい【冠婚葬祭】 元服・婚礼・葬儀・祖先の祭祀のこと。古来最も重要とされてきた四つの大きな儀式。  (『大辞林』)

と、見開きに書いてあります。
なるほど、「冠」は元服のことだったのか、と自分の無知さ加減を知らされます。
これは今で言えば成人式のことですね。

「婚」「葬」くらいは今でも盛大に執り行われるけれど(地味婚なんてのもありますが)最近ではこの四つの儀式をあまり重要視しないで人生を過ごしてしまっている人もかなりいるのだろう、と思ってしまいました。

それぞれをテーマにした4編からなる短編集です。

ご他聞にもれず、私も若いころは○○式とかいうのは面倒だし、恥ずかしいし、とかいろいろ理屈をつけて避けていたように思いますが、最近ではこういうことこそ丁寧に行うことがむしろ楽しい、または気持ちに整理がつく、と思うようになってきました。
年取ってきた証拠かもしれませんが、それが本来の日本人の姿かもしれません。

『三面記事小説』 角田光代

2008-05-02 | 読書
実際の三面記事にインスピレーションを得て、角田さんが仕上げたフィクション。

女性教諭の死体を自宅庭に埋めていた男性の事件、
不倫相手の奥さんを殺害依頼したのになかなか実行されず、詐欺にあったのではないか、と警察に駆け込んだ女の事件・・・。

一見恋愛がらみ、と思われるような事件の話は、それはそれは下世話な好奇心で軽く読めてしまう。
でも、ただそれだけ。
所詮痴話喧嘩、愛憎劇なんて、くだらないだけ、だと思わせるのは、
題材となる事件がやがて思春期の友人関係、そして家族や兄弟の関係、最後は介護の問題にからんでくることによって、とてつもない深刻さを実感するからだ。

血のつながりが絡んでがんじがらめになり、やがて犯罪に発展してしまう。
とても人事とは思えず、軽く読み終えることはできない。

特に最後の介護の話。
こうしている間にも、介護に疲れた息子が母親を殺害未遂、というような報道を目にする。
この小説を読んで、実際に介護に疲れている人が、勇気付けられる、などということは恐らく決してないだろう。
でも、潜在化している問題に、今まで無関心だった人が少しは気づくことにはなるかもしれない。