ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『それでもボクはやってない』

2007-02-02 19:34:02 | 映画
シャンテ・シネにて。

『シャル・ウィ・ダンス?』から10年ぶりの周防正行監督作品。なんと長かったことか。今作も楽しみにしていた。痴漢冤罪をテーマに日本の刑事裁判制度の現実を描く。

オダギリジョーを3割引にしたような感じの加瀬亮が演ずる主人公は、就職の面接に向かうために乗っていた電車で、女子中学生に痴漢をされたと疑いを掛けられる。そこから警察署にに送られ大変な目に遭ってしまう。日本においては「疑い」というのは、「断定」と同じ意味を持っているようで、まるで刑務所で服役のしているような日々を送るハメに。そりゃホリエモンも怒るわけだ。

そんな中、周りの人間が必死になって彼を支える。中でも前作の主人公で、今回は弁護士の役所広司がいい。警察や検察によって、不安な心境に持っていかれる観客に安心感を与えてくれる。それと母親役のもたいまさこ。第一回公判で、主人公と目を合わせた瞬間、僅かながらに笑みを浮かべる。おかあちゃ~ん!

だけど、人間の記憶の曖昧さや思惑の云々を見ていると、実際どうだったのか、事実はどうだったのか、とても微妙になってくる。主人公がやってないと言っているから、鵜呑みにしてないか、そんな考え方もさせるような余地さえも周防さんは残しているのだろう。裁判のことから、さらに一歩踏み込んだところで、考えさせられた。笑いもキチンと押さえてるし、よくよくできた作品。

そして、ボクは今日も両手で吊り革を握っている。