ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『誰がため』

2010-02-09 12:00:12 | 映画
歴史を取り扱った映画は時に、自分がこの時代に生きていたらどうするだろう、ということが頭に浮かぶ。ナチス・ドイツ時代を描いた作品は、特に考えさせられる。この映画もまたそうだ。『白バラの祈りゾフィー・ショル、最期の日々』と同じく、レジスタンス運動に関わった若者の物語。自分と年齢が近いこともそんな思いを巡らす要因かも知れない。フラメンは23歳だった。

ナチス・ドイツにに進行されたデンマークでは、地下抵抗組織がナチスに協力する者の暗殺を企てていた。フラメンと相棒のシトロンはその実行メンバーである。家族を持つシトロンは人を殺めることに抵抗を覚え、独り身のフラメンは国のためと、感情を殺して冷徹に暗殺を実行する。

身近に、家族を任せられる男を見つけたことから、フラメンは忠義に走り出す。逆にシトロンは妖艶なケティと親しくなり、自分のやっていることに疑問を持ち始める。この二人の錯綜が、観客に大きな問いを投げかける。何のために、誰がために。自分だったらどうするか、見ている間に考えたが、分からない。もちろん、そんな問いへの「答え」が求められる時代に戻してはいけないのだけど。

デンマークのレジスタンスについて何も知らなかったけど、これほど激しいものがあったとは。戦争は、生き延びる者にも、殉ずる者にも、どちらにも哀しみしか残さない。