ニーチェの言葉『神は死せり』日本人としてどう考えるかⅩⅠ

　1882年”喜ばしき学問”の中で”狂人”と題した一説があり「神の死」と言う語が初めて登場します。

　君たちはあの狂人のことを耳にしなかったか。
　白昼にランプを灯して一番に駆けつけ、『私は神を探している。私は神を探している』としきりに叫んでいたあの男の事を。
　その時市場には神を信じない連中がたくさんたむろしていたので、この狂人はたちまち物笑いの種になった。
　『神様が行方不明になったんだって』『迷子になったんだって』『神様は隠れたっていうのかな』
　『俺たちが怖いのかな』『船で逃げたのか。移住したのかな』等と叫んでは笑い声を上げた。
　狂人は彼らのまっただ中に飛び込んでいった。狂人は彼らをまじろぎもせずに見つめてこう叫んだ。
　『神がどこへ行ってしまったのか、私がそれをお前達に教えてやろう。我々が神を殺したのだ。お前も私もみんな、神の殺害者なのだ。…』

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