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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩⅤ

2014年06月30日 | 歴史
 自由は放置すると弱肉強食となります。このころディズレーリがイギリスが2つに分裂してしまうという小説を書きます。
当時”The Two Nations 2つの国民論”と呼ばれた物です。これをモチーフとしたのがSF小説の元祖HGウエルズの”タイムマシン”です。
主人公は80万年後の世界に行きます。そこでは人類がイーロイ族とモーロック族に分かれています。
イーロイ族は恵まれた環境で毎日遊び暮らしているが頭がアホになっています。何もしないから退化しているのです。
一方モーロック族は労働者の子孫で、地下に住むようになり野蛮化して共食いを始めています。
ディズレーリの”The Two Nations”を極端にして表現したのがウエルズでした。

 現代の状況とそっくりではないですか。今の保守主義という物が「自由貿易」「市場原理主義」「規制緩和」「小さな政府」等のコトバと結託しだした時期は、
保守主義全体の歴史を見るとサッチャー、レーガンあたりのわずか30年ほどの異常な時期です。
新保守主義、新自由主義のイデオローグ、体系化の教祖といわれるのがフリードリッヒ・フォン・ハイエクです。
ハイエクの理論は洗練されているため「古くからの理論が重要だ」とか「勝手に破壊してはいけない」といった議論もしてみせます。
一方、「自由に任せるのが良いのだ」と強く強調し累進課税にも反対します。社会福祉にもかなりネガティブです。
今のハイエク的な議論は自己責任論や保守と結びついて、現にマーガレット・サッチャーはハイエクにかなり傾倒していました。
今でも日本の保守論者の中にはハイエク的な議論をする人が多くいます。ところがそのハイエク自身は自著の中で「俺は保守じゃない」と強く主張しているのです。
保守と自分との違いを明示し「保守主義は19世紀において社会主義者と結託し反自由主義的だったではないか」と喝破しています。
保守主義者が新自由主義にいつまでも付きまとうのはストーカー行為以外の何物でもありません。ハイエクは嫌がっているのですから。

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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩⅣ

2014年06月29日 | 歴史
 保守主義という物はフランス革命または産業革命で保守すべき物がぶっ壊されたのでそれを守るために登場してきました。
社会主義も同様に産業革命で社会が壊されたからそれを守るために登場しました。時期的に保守主義と社会主義が登場したのは一緒です。また敵もいっしょです。
登場した原因もいっしょです。その時保守主義が保守しようとしたのは社会の安定性だったので、この点も社会主義に近いのです。

 その保守主義が自由主義の様に「政府は市場に任せて積極的に役割を果たす必要はないし、福祉に関心を示さないといった、反左翼的な物が保守だ。
経済的には自由主義的なのが保守なのだ」と定着したのが何と80年代からです。もちろん1880年ではなく1980年代です。
レーガンやサッチャーの時代から今日までの30年の間のことです。それまではこのような考えはありませんでした。
 出自をいえば19世紀の保守主義者の主張はほとんど社会主義者と一緒で英国保守党の首相だったディズレーリが典型で
「格差が拡大すれば富める物と貧する者に別れ、住んでいる場所や価値観全て違ってくる。同じ国民ではいられなくなる。国が分裂してしまう。
一体となったイングランド国民を取り戻すべきだ」と社会小説の中で書いています。政策の中にも労働者保護があります。
実は社会主義的政策を行った最初の政党は保守党政権だったのです。保守と社会主義は、考え方はだいぶ違うが提言と政策は同じで、敵対する相手も同じです。
19世紀中頃までのまともな保守主義者はむしろ経済的自由貿易論者や市場原理主義者を敵視していたのです。
もちろんコールリッジも自由貿易についてはかなり懐疑的、労働市場の自由化にも反対していました。
今日安倍政権がやろうとしている政策をやろうとする人間は当時からたくさんいたのです。竹中平蔵のような人物はありふれていたのです。
 19世紀には幼児労働がはびこっていました。子供を工場で劣悪な環境で働かせ、病気になったり死んだりしたら自己責任だとされました。
さすがにイギリスの政治家の中には年齢規制を取り入れる議論が出てきました。それに対して資本家は反対します。資本家と結託した政治家も反対します。
そのロジックは「フリーレイバー」「自由労働が重要だ、子供がどんな状況だろうが働ける方が良いのだ」「何で規制がいけないのかって?自由だからさ」
「自由は大事だろ?なっ!」。
コールリッジは「この状況のどこが自由なんだ」と反論します。今と変わらない議論なのです。

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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩⅢ

2014年06月28日 | 歴史
 自由主義の人たちをこの南欧の庭園に当てはめると、
『水は流れるだけで少しずつ周りの土を削っていく。ちゃんとした庭園を造っておけば、後は放置しても水は行くべき所に行く。庭師なんていらない。
時々流れが悪くなることがあってもそれは一時的で、自ずから水の流れは一番良い状態になる』
これが自由主義者の主張です。

アベノミクスでいうと第1の矢、”量的緩和”、これは水をジャブジャブ流すことです。水量の調節ではなく単に量を増やすことです。
水が足りないから枯れかかっているので水を増やせば良いだろうというわけです。これを異次元緩和といいます。

おもしろいのはこの頃、自由主義を批判したのはコールリッジに限らず、今でいう社会主義者たちも自由主義者を批判していました。
なんと!保守主義と社会主義が反自由主義で共闘していたのです。今の日本では考えられませんね。


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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩⅡ

2014年06月27日 | 歴史
 国家経済を一つの庭に例えると植物が全てきれいに生い茂ってくれないときれいな庭にはなりません。そのためには水が不可欠です。
しかし水の量はそんなに途方もなく増やせるわけではありません。しかも水をあんまりやりすぎると根腐れとか、かえって良くないことが起きることもあります。
水の量を考えてどこにどれだけ流すかを庭師または政府が考えて上手に水を流してやる事、それが一番良い庭を作るために必要なことなのです。

 これを理論化したのが100年前のケインズです。コールリッジはさらに100年前です。当時の経済学者っぽい人はどう考えていたのでしょう。
「お金の流れは市場が決めるから放っておけばいい。市場に任せればお金がうまく回るのだ」。
「政府の役割は夜警国家night watchman state、泥棒が人の財産を盗ったりしないように治安維持とルール違反の監視が重要だ。国家はその役割だけで十分だ」。
デフレが起きても放置をしていたのです。または何をして良いのか分からなかったのです。

 コールリッジは南欧の造園の例えを用いつつ、ケインズと同様に『政府がお金を流してやれば良い』といったのが彼のすごい所です。

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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩⅠ

2014年06月26日 | 歴史
 彼は南ヨーロッパの造園に経済を例えているのです。庭があって、中央に池があります。そこに水が湛えられています。
周辺に花が咲いていて水路を巡らせて庭園全体が調和を保っています。庭師がそういった細工をします。
コールリッジは恐るべきことに庭が国家経済、水がお金に例えて経済の資本の流れを説明しました。
現在の経済学でいうとケインズが始めたと言っていいマクロ経済学がまさにこれなのです。
お金をうまく流すと多くの場所でお金が使われてもっと大きくなって戻ってくるとされます。いわゆる乗数効果ということです。それで経済が成長します。
デフレの問題はお金が回らないことです。どこかで滞っているのです。それをうまく回す必要があります。
そのシステムの一つが例えば消費税、これは民間に流れているお金を吸い上げることです。国債も同様で、国債発行は民間からお金を吸い上げることです。
財政出動、政府支出はお金の流れを押し出す役目です。政府がポンプとなりお金を吸い上げたり押し出したりするのです。
政府が経済のバランスをとるというのは、庭師が水を調節するようなものだというのです。当時のイギリスはデフレになっていました。
何でデフレなのでしょうか。お金がちゃんと回ってないのかもしれません。従って庭師がいわゆる公共投資、水が流れるように水路を作ってやる必要があります。
貧しい人が困っているならその人に流れるように作ってやるのです。
 今の日本でいうと、震災の復興に必要ならそっちに穴を開けて水が流れるように作ってやれば、みんながハッピーになれるイメージです。
ちなみにコールリッジの時代はデフレ、社会不安、ワーキングプア、格差など全て起きていました。
加えて「今日本は政府借金残高がGDPの200%もあるから消費税増税が必要なのだ」と騒いでいますが、コールリッジの時代のイギリスは300%もありました。
しかしイギリス政府はイングランド史上1回も破産したことなどないのです。

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保守はゴジラの夢を見るかⅡⅩ

2014年06月25日 | 歴史
 現在日本で起きているデフレが未曾有の問題であると思っている人が多いですが、これは歴史を通じて結構繰り返されていることなのです。
バブルが起きて、それが崩壊しました。そして不況になります。地方は疲弊します。企業はブラック化します。労働者はこき使われ、B層C層が出現します。
これら全て19世紀初めのイギリスで起きたことでなのです。20世紀発生、21世紀初頭に初めて日本で起きたことではありません。
その程度のことで「日本にはかつてない大変な事態が起きている」とか「日本はもうダメだ」というのは心配のし過ぎという物なのです。
「この程度のことは100年に1回くらい起きることよ」というのが正しい態度でしょう。
ではこの頃のイギリスがどういう状態だったのでしょう。
産業革命が起きた後、世の中はそのまま右肩上がりで豊かになっていったイメージが我々にはありますが、現実はイギリスは大混乱に陥っていたのです。
この頃のイギリスの状況を詠った詩があります。W・B・イェイツ、この時代の有名詩人の一人です。

『もはや物事はてんでんばらばら支離滅裂、何かによってまとめ上げることができない。アナーキーだ。秩序はあってなきがごとし。
ベストな人々が自信をなくしてしまった。その上どうしようもない連中がやけに燃えて盛り上がっている…』

まさに日本と同じではないですか。スティーヴン・トゥールミン、イギリスの科学哲学者、がいうにはこのイェイツの詩はさらに手本となる詩があるそうです。
17世紀初め、近代合理主義が生まれる直前、ジョン・ダンという詩人が書いた詩にほとんど同じ表現が登場します。
実は17世紀初めのイギリスはピューリタン革命というとんでもない大動乱が起きて、イギリス史上初めて国王が処刑されてしまいます。
その後10年以上王位が空白となるのです。それに匹敵するようなことがコールリッジやイェイツの時代に起きたのです。
イェイツがジョン・ダンの詩そっくりな詩を書いたのは19世紀初めに起きたことが元祖ですらないということです。
今の日本で起きたこととそっくりなことが19世紀に起きていました。それに対して有効な処方箋を提示したのがコールリッジです。
そこでおもしろいのは彼の考えたあるべき国家経済のイメージです。彼はそれを庭園にたとえています。南ヨーロッパのよくある庭園です。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅨ

2014年06月24日 | 歴史
 なぜそこでコールリッジが重要なのでしょうか?。19世紀初頭の文人です。
一般的に保守思想を論じる場合、過去の保守思想家の代表とするのがエドモンド・バーグだと思われます。近代保守主義の元祖とされる人物です。
バーグはフランス革命勃発直後に「これはやばい。王制を倒すとか貴族や教会の財産を没収するとかとんでもない。その後の経済政治体制はめちゃじゃないか」
と批判しました。革命を批判したのでそこから保守主義といわれます。
しかしバーグの場合、18世紀の末で産業革命が本格化する手前でした。
よってバーグは産業革命、近代資本主義によって既存社会がぶっ壊れていく過程を知らないのです。
逆に言うと壊れていないから古い秩序が残っていたため、それを保守しろということができたまだ良い時代だったのです。
フランス革命さえ元に戻せば万事解決と考えられました。ところがコールリッジになると産業革命が本格化してしまいます。その結果デフレが起きるようになります。
労働移動が自由になります。農業市場が自由化されます。地方が荒廃します。労働者が貧困化します。バブルとその崩壊が頻発します。
 その状況は現在の世界や日本の状況とそっくりで、日本は今デフレが問題で、安倍総理はデフレ脱却したいといっています。
世界もリーマンショック以来デフレ気味になっています。
ヨーロッパはギリシャを中心にデフレになっていて、日本はデフレにさらにデフレがもう一度覆い被さる可能性があります。
昔から物価が下がること自体はありましたが、物価が下がると投資ができなくなって失業者が増えてやばくなるのは産業資本主義を前提にしています。
株式会社があって、長期的投資をするシステムだからこそ、物価が下がるあるいはお金の価値が上がっていくと投資はしなくなるのです。そして資本主義が止まります。
デフレは産業資本主義が成立した後の問題となる事象です。
おそらく最初の問題となったデフレ、単なる物価が下がっただけでなく経済システムが止まる最初のデフレに直面したのが19世紀初頭1816年のイギリスでした。
失業者が増える、工場がつぶれる、農村が崩壊する、労働者がこき使われる、子供が労働者になり悲惨な状況になる、共同体が壊れる、暴動が起きる、
地主制に基づいた土地所有者たちの秩序が崩れる。そして社会全体が壊れていく。これに初めて直面した保守主義者はコールリッジだったでしょう。
大変驚くべきことは、その時に彼が出した処方箋が現代でもそのまま通用することなのです。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅧ

2014年06月23日 | 歴史
 その第一弾がフランス革命でした。フランス革命がいかに”理性”を信じ切っていたか、いかに”感情”を捨て”理性”を重んじたかをご紹介します。
この革命によりフランス人は距離感覚、重さに対する感覚をすべて変えてしまおうとします。「これまでは非論理的だからダメだ。新しい量り方を作ろう」。
革命政府に度量考委員会が作られます。メートル、リットル、グラム、すべてこの時にできるのです。
これまでの暦も非合理的だからということで革命中は全く別の暦を使います。すべて10進法に基づいているのです。
しかし新しいカレンダーの方が昔より休日が少なかったのです。これでは人々の支持は得られないでしょうね。
こうして人々の物の感じ方まで変えてしまえと考え出します。
また、フランス革命においては粛正に次ぐ粛正をやりまくりました。
革命が始まって5年もすると当事者たちが「何をどうした物やら…」という感じなってしまったのが明らかでした。革命前に威張っていた王様を処刑!。
革命初期の功労者を粛正!、粛正やった人々をやっぱり粛正!…もう誰も残っていない状態です。もうナポレオンが治めるしかありません。
さすがに「これは行き過ぎだ」ということでナポレオンが没落後、ヨーロッパの主要国はウィーンに集まって「革命前のヨーロッパに戻そう」、
いわゆる復古という体制を作ります。しかし問題は産業革命でした。これによって生じた変化はそんなに悪く思えないのです。
国は豊かになっていくので良いことのように見えます。フランス革命という過激な暴走は食い止められました。
しかし産業革命という、資本主義と通じた商業の暴走、営利主義の暴走は止めどもなく続いてしまうのです。商業が栄えれば国は発展していく訳なので当たり前です。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅦ

2014年06月22日 | 歴史
 デカルトの近代合理主義にはおもしろい特徴があります。全て2元論で語るのです。物事をあれかこれかに分けます。その時に両方良いとはいいません。
どっちかが良くてどっちかはダメとします。例えば、人間を”身体”と”精神”に分けます。どっちが良いでしょうか?。
そもそも『我思う故に我あり』という人ですから精神が良いといいます。”身体”は2次的な物に過ぎないということです。
ここから派生して様々なことが2元論でとらえられるようになります。”理性”と”感情”ではどうでしょう?。これは”理性”が良いとされます。
”感情”はレベルの低い物としています。”書き言葉”と”話し言葉”ではどうでしょう?。
実はデカルト以前、近代以前のヨーロッパでは”話し言葉”による議論は非常に高い地位を占めており、
いかに人々に説得力を持って自分の発言を伝えるか、つまりレトリックが哲学の立派な一分野でした。
ところがデカルト以後は議論の論理的正しさ、説得力は紙の上の文章における論理的まとまりだけになってしまいました。
「人前で話すときにそんな深い話ができるわけない」という発想が強くなったのです。
今でも人前で話す内容よりも文章で書かれた物の方が高級感があると思われています。
”ポリス”人間が作る秩序という意味のギリシャ語です。対して”コスモス”自然界の秩序です。
この二つでは”ポリス”の方が”コスモス”より重要であるとしています。あるいは”未来”の方が”過去”よりも重要。
これは我々には当たり前のように思えますが実は歴史的には新しい物の考え方なのです。”進歩”という概念は18世紀の半ばまで存在しないのです。
18世紀の半ばにフランスで百科全書という有名な事典が作られます。ここに”進歩”という言葉が登場します。
その意味は「人間が前に向かって歩く」「植物の根が伸びる」などで、物理的現象を指していて社会や歴史が進歩するという使い方は載っていません。
つまり時に従って世の中が良くなっていく発想はなかったのです。それに対して理性による産業革命が大きな影響を与えました。
どんどん見る見るうちに世の中が豊かになっていくのです。「世の中は進歩するもんじゃないか?」。また、それに従って科学的発見や発明が相次ぎます。
熱気球によって人が初めて空を飛びます。電気関連の発明、蒸気機関の発明、「世の中って進歩するのだ」。そして「未来は過去より重要だ」。
ここまでは悪い話ではありませんでした。しかしここから暴走が始まるのです。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅥ

2014年06月21日 | 歴史
 宗教の世界が壊れてきました。その後、今でいう社会科学という学問が登場し出します。
トーマス・ホッブス、ジョン・ロックは17世紀。
そして18世紀になってもスコットランド啓蒙、アダム・スミス、デイヴィッド・ヒュームなど多くの人物が登場します。
宗教で統治されていた世界がぶちこわされた所から社会科学が登場したのです。保守主義もこのタイミングで登場します。
保守主義が一般に”保守主義”と呼ばれるようになるのはもう少し後のことです。
最初は宗教と科学をきっちり分けることはなく、トマス・クーンが科学革命の中で論じているように”二重写し”として共存します。
17世紀を通じて「宗教だけではもはやヨーロッパは保たない、理性に切り替える必要がある」とされますが、
だからといって当時の人々は「宗教的世界観は1日にして止め、これから理性の世界観を作りましょう」というような乱暴なことはしませんでした。
少しずつずらしていくのです。最初は神が完璧な理性を持っています。だから我々も完璧な理性を発達させようというのは、一種の信仰のバリエーションでした。
だんだんそれが発達し、神を少しずつ否定していくようになります。こうして近代合理主義は始まりました。これが18世紀に一応の完成を見ることになります。
18世紀は理性の時代といわれる所以です。実際には戦争もありますが、少なくともヨーロッパの世界は安定したかのように見えました。
ところが18世紀の終わりになるとこれが崩れ始めます。原因は2つです。1つ目は18世紀後半にイギリスで始まる産業革命です。
これによって産業革命を始めた国とそうでない国との差が格段につきます。
その頃のヨーロッパは絶対王政です。
しかし理性重視ということで、「王や貴族にいつまでものさばらせてたまるか」という話になり民主主義革命が少しずつ始まります。
最初にアメリカが独立します。それを受けて1789年フランス革命というとんでもない大動乱が起きて約25年間ヨーロッパ全体ががたがたします。
フランス革命そのものは10年で終わりますが、その後ナポレオンが登場、ヨーロッパ中を引っかき回し、ナポレオンが没落してみたら25年もたっていました。
大動乱が起きてその後どうするかという19世紀の世界になっていきます。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅤ

2014年06月20日 | 歴史
 実は近代合理主義が生まれる直前のヨーロッパは、その一つ前であるルネッサンスの時期に比べて思想的に閉鎖的になっています。
押さえつけようとする抑圧的な動向が強かったのです。それはなぜでしょうか?。
ルネッサンスによって人々は自由な発想を持つようになりました。ところが人々はいろいろと考え方が変わってきて文化が栄えた…、まではよかったのです。
そこで始まったのが宗教改革でした。キリスト教の解釈が変わりだします。プロテスタンスが生まれます。
キリスト教世界が、たんなる旧派新派に分かれただけならよかったのですが、両者の間に戦争が始まりました。
特に大変だったのは17世紀初めドイツを中心にして起きた30年戦争でした。そこで何とドイツの当時の人口の35%が死亡するまで収まりません。
3人に一人が死んだのです。都市部にはそれより多く生き残った地域もあるでしょう。ちょっと都市を離れると死に絶えた村がごろごろしていたということです。
第一次、第二次大戦合わせたよりすごかったと考えられます。普通こういう経験をすると人はこの世の終わりだという気になります。
第一次大戦時に”西洋の没落”ということが盛んにいわれました。これは20世紀になって初めて出てきた考え方ではありません。
17世紀の初めにヨーロッパ人は”西洋の没落”を痛感していたのです。

『このままいったら大変なことになる!』

同じキリスト教徒同士がそこまで殺し合うのです。そうなると宗教とは違った形で人々の共通の基盤となる物が必要でありましょう。
宗教は頼りにならないときにどうしたらいいのでしょうか。ここで出てくるのが”理性”です。
これの最大手旗振り役がルネ・デカルト、『我思う故に我あり』という名言で有名な人です。しかし、最初は宗教と縁が本当に切れたわけではありません。
というのもその頃の人々の理屈でいうと一番完璧な理性の持ち主は神なのです。よって『理性を重んじる』というのは『神を重んじること』になるのです。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅣ

2014年06月19日 | 歴史
 具体的に『一つのシステムをつぶして新しいシステムを作る』その時、何故『新しいシステムが前のシステムより良くなる』のでしょうか?。
近代の物語はそれについて『それは我々に”理性”というものがあるからだ』としています。
『我々の”理性”という能力はどんどん発達して進歩していくからだ』と説明しているのです。これが近代という物語の根本なのです。
人間はいろいろな価値観を持って生きています。しかしそこに共通するものがあります。それが”理性”です。

「”理性”を使えばどんな人間でもコミュニケーションが可能なのだ。
 ”理性”がどんどん優れて行くに従ってみんな分かり合って理想的な社会を作り上げていくことができるのだ」

”理性”に対する強い信頼、理性崇拝とでもいうべきこれを”合理主義”といいます。合理的とはこういうことです。どこからこういった発想は出てきたのでしょうか。
突然人間が自分の能力に自信を持ってポジティブシンキングになったのでしょうか?そうではありません。
もちろん近代合理主義はヨーロッパで生まれてきたものですが、
突然ヨーロッパ人が自信をつけてこれから世の中良くなるのだと盛り上がって合理主義を作ったのではまったくありません。
17世紀初めヨーロッパ全体を揺るがしかねないとんでもない動乱があった後に出てきたのです。
我々が高校で学ぶ世界史では人間の社会はだんだん良くなっていくという基本的物語があります。

「ヨーロッパに絞ってみると中世は暗黒時代と呼ばれていて人々の迷信、宗教、教会などに押さえつけられて無知な状態に留められて不幸であった。
 そこでルネッサンスという、古代ギリシャローマの文化が復活してくることが起きて、新しい真理に目覚め、世の中が進歩し始める。
 これを受け継いで生まれるのが近代合理主義である」

こういった説明が教科書でなされています。しかし厳密に言うとこれは正しくありません。

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保守はゴジラの夢を見るかⅩⅢ

2014年06月18日 | 歴史
 『何かに問題があったらそれを1回チャラにして新たに始めよう』

という物騒な発想はどうやって出てきたのでしょうか?。
それが次のテーマの入り口となります。我々はどうもかなり危険な物語を信じているようです。
ある物語の元で生きてきて、『それが行き詰まったらそれは全て止めることにしよう。そして新たな物語を急遽こしらえれば良いじゃないか』。
そういう物語を我々は信じているようです。これはどこからきたのでしょうか?。
これは近代主義のパラダイムではないのでしょうか?。それが我々の根本の世界観、価値観、物語であるのです。
ところが近代主義が何か物語を信じている、あるシステムの下でやってきて、
『上手くいかなくなったら全部チャラにして新しいシステムを一から作らばいい。もっとよいシステムを作る能力が我々にはあるはずだ』。
そういうことを我々に吹き込んでくるのです。そもそもそういう発想はどこから生まれたのでしょうか?。

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保守はゴジラを夢見るかⅩⅡ

2014年06月17日 | 歴史
例えば「土木が必要です」と言う意見に対して、
「だけど無駄な利権に流れたり無駄な橋があったりするだろ」と言う反論が出てきます。
「いや、全体の量が少ないのですよ、良い物も作っているんです」
「総論としてはそうだが、完全じゃない。利権がないわけじゃない」…という流れになります。

「TPP反対」も同様で、
「日本の農業にだって改革しなけりゃならない部分があるじゃないか」…もちろんそんなこと分かってるのですけどね。

 こういった潔癖症的な所が保守がどうかと問われる場合に重要ではないかと思うのです。”問題だらけ”と”完璧”の2つしか頭にないのは保守ではありません。
問題はそこそこあるけれど、全体として上手くいっているシステムを考えてそこで手を打つのが保守でしょう。
そう考えないと、たいていのシステムは今は弊害が多いように見えても作られたときには十分な理由があって作られたはずです。筋が通っていたのです。
その時には良いように見えた物語があったのです。それを無視して全部止めて新しい物にしたら表面的には違うが同じ事を結局繰り返すことになります。
一度民主党政権になり、また自民党政権に戻って1年。これは証明されたことだと実際に我々は認識しました。
唯一絶対の正解を追うのではなく、部分的正解をどうバランス良く組み合わせるか、これが保守なのです。

システム研究者ジェラルドワインバーグの言葉、

「この複雑な世界の中では、どんな手法を使っても一つで全ての問題を賄うことはできない。
だから、新しい情報に対して常に心開いて検討しよう。
でも最新の流行に盲目的な恋に落ちないようにしよう」

これを保守の最初の提議とします。

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保守はゴジラを夢見るかⅩⅠ

2014年06月16日 | 歴史
 今の日本の困ったところは、辻褄の合わない物語が入り乱れていることです。
例えば「TPP反対」と言って政権を取った人が1年もしないうちに「TPP参加は歴史の必然です」と言い出します。でも公式にはTPP反対は撤回されていないのです。
どう考えても1年前と繋がりません。アイデンティティーがありません。平気でこんな事が起こっているのです。
ホームドラマでいきなり宇宙人が攻めてくるような、途中全く無関係の話がいきなり始まるのです。
こういう事態が目の前で展開すると何が起きているのか分からなくなります。
また、何が起きているのかは分かるけど非常に底が浅いケースもあります。子供向けドラマにありがちなたわいない話で、二言目には説教が出てきます。
内容が浅いので辻褄は合っていますが、現実は複雑な物なのにこれで対応ができるのかと不安になるのです。
もっと酷い物になると底が浅い上にまとまりがありません。
日本は過去4年間に痛い目に遭いました。2009年に民主党政権が誕生し、この時自民党より世の中良くなる物語を信じました。その物語の台本はマニフェストでした。
しかしその台本は実行不能であることが程なくして明らかになったのです。民主党は自ら財源無かったと認めます。台本通りにはストーリーが作れないと認めたのです。
これじゃダメだと3年経ったら自民党に鞍替えします。ここで安倍政権なら世の中良くなるとみんなが信じたのです。
これも1年くらいで「やっぱり違うんじゃないか…?」。これを捉えて「やっぱり政治家は信用できない…」。
民主も自民もダメだというのは、間違っていませんし説明は付きますが対策になりません。
國民の側が「本当に正しいのか」と疑って懸かる能力を身につける以外にどうにもならないのです。

 これを『病という名の病』と名付けたいと思います。社会的問題の先行きが見えない場合、”病理”という名前を付けるのが流行ります。
「民主党政権の病理」、「土木国家の病理」、「新自由主義の病理」…。
何であるにせよ上手くいかない物を”病理”と見なして対応すること自体が病気なのではないでしょうか。
病気という物に対する考え方は歴史を通じて変遷が見られます。そこには人間と同じで一貫性はありません。
”病理”という言葉の何が問題なのでしょうか?。病理に犯された政策、政権、システムは良くない物と見なされます。
新しく作らなければいけないと言う話になります。
病理に犯されたシステムがあると言うことは他に病理に犯されていない完全に健康なシステムがありうることになります。
完全健康政策、完全健康政権…がありうることになります。病理と完全健康とどっちが良いかとなれば、答えるまでもありません。
しかしこの発想は正しいのでしょうか?。
実は病気に対する人の考え方は200年前に大きく変わります。
アメリカの評論家、故スーザン・ソンタグがメタファー、”隠喩としての病”の中で、「病気も一つの物語である」と言っています。
病気の役どころは18世紀の末(フランス革命前後)に変わってきています。持病というのはそう簡単には治せませんが、だから助からないというわけではありません。
同様にフランス革命以前、近代前期、社会に病気があってもそれと上手に付き合っていけば良いのだと考えていました。
いやしくも国家や社会という大規模な物になると病気がないってことはないでしょう。病気があってもちょっとやそっとで寿命が縮むことはありません。
病気をコントロールする事ができればそれで良しとすると言う考えが強かったのです。ところがフランス革命前後から変化するのです。
現実社会に病気と呼ぶべき弊害があります。これは許しがたいことです。これは断固治療して根絶しなければいけません。
20世紀に入ると本家の医学でもこれをやるようになります。病原菌を一掃しようという計画が始まるのです。成功したのが天然痘です。マラリアは失敗しています。
物事が上手くいかない場合、1回全部チャラにしたい、一端全て断ち切ってしまおうとします。
現在でもよく使われるタームでは、「オールクリヤー」、「グレートリセット」、「ゼロベース」、「抜本的改革」、「一から新しく始めよう」…。
こういう破壊願望は非常に近代的な物なのです。人間が長らく歴史で繰り返したタイプの概念ではありません。
保守が歴史伝統、過去を重んじる事だとすれば、対して今の社会に弊害があるから病気と見なして撲滅しようとする行動です。
これは我々社会が抱える結核である、癌である、だから撲滅しようという態度はどこまで正しいのでしょう。ここを疑って係るのが保守です。
「戦後レジュームの病理」なら、それを撲滅して新しく作れば良いのだというのは保守にあるまじき態度だと考えるのですがいかがでしょう。

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