みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅨ

ウイルヘルムⅡ世「ヤバッ！、オレ、挟み撃ちじゃん･･･」

同盟国のオーストリアはバルカン情勢でロシアとは仲悪いからこの件では全く頼れません。

ウイルヘルムⅡ世「ぐぬぬっ、どこかにいい手はないか･･･」

ロシアの向こう隣で日本と清が戦争しています。その結果日本が多数の利権を手に入れたようです。

ウイルヘルムⅡ世「ふふふっ、東洋の友人のために平和的な勧告をしてやろう」
露独仏「日本のためにも遼東半島は返すべきだよ」三国干渉です。

ロシアの眼をアジアに向けて露仏同盟を押さえる戦略に出ます。
この頃からアジア問題が世界の関心事となってきます。

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狂犬病ワクチン接種の時期です。

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ゴールデンウィーク5月2日（水）～5月4日（金）の3日間は午前中のみ営業します。ご利用下さい。
5月5日（土）はお休みをいただきます。

みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅧ

　ビスマルクの甥っ子のビスマルクⅡ世が外務大臣に就任したのを機に

ウイルヘルムⅡ世「ビスマルクはあまりにも我をないがしろにしよる。
　　　　　　　　　　これじゃ我がホーエンツォレルン王朝がビスマルク王朝になってしまうではないか」

結局彼は政策よりも宮廷内の権力闘争を優先させるのです。

ウイルヘルムⅡ世「ビスマルク、そちはクビだ。見ていろ、我とてこれくらいやれる」

そしてロシアとの同盟更新要求拒否してしまいます。

　今までのビスマルク外交の鍵はロシアとフランスを結びつかせないことにありました。

ロシア「あ、ドイツに嫌われちゃった。じゃフランスと仲良くしよう」

露仏同盟！！

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅦ

その後、
ウイルヘルムⅠ世の息子は早世してしまったので、孫がⅡ世を継ぐと

ウイルヘルムⅡ世「はあっ！？。辞めもらおうじゃねえの！」
ビス公を追い出してしまいます。

で、ウイルヘルムⅡ世の外交はどうなっていったでしょう。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅥ

　それから30年も経つと彼がいないとヨーロッパ政治は回らなくなってしまいます。
今でも5選20年やっている地方知事に誰も文句言えない状況がよくあります。
知事が最も行政に詳しくなってしまうのです。

ウイルヘルムⅠ世「ビスマルクめ生意気だ。気分が悪い！」
ビス公「あ、そうですか陛下。じゃ、辞めさせていただきます」
ウイルヘルムⅠ世「わっ、分かった。お前の言うとおりにしよう」
ビス公はこんな必殺技を持っていました。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅤ

世界をかき乱すウイルヘルムⅡ世

　セオドア・ルーズベルト「やつは煙のように消えてしまうような非現実的な外交政策をやっている」
そこからウイルヘルムⅡ世はパイプドリーマーと呼ばれるようになりました。
彼はカイゼル髭（この語源はこの人です）のよく似合うハンサムなおじさんです。
でもおつむはお世辞にもあまりよろしくないようです。

　ビスマルクは30年近くプロシア、ドイツの総理大臣をやり”鉄血宰相”と呼ばれました。
”鉄血宰相”の語源は議会で
ビス公「国家は鉄と血によって保たれるのだ！」
多数野党「問題発言だ。ビスマルクをクビにしろ！」
当時少数与党で立場の弱かったビス公は皇帝にわびを入れてクビを免れました。
後に”鉄血宰相”は彼の尊称となるわけですが当初は彼の失言が元となって生まれた言葉なのです。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅣ

当時の日本がこれらの動きをどう見ていたでしょう。

六本木の外交史料館にある公文書で、当時の外務省が東ルメリア危機を非常に重要視していたことが分かります。

河瀬真孝イギリス公使が井上馨外務卿に向けて公電が打たれています。

「セルビアの王様がブルガリアの王様に宣戦布告、10万人動員したらしい」

実はこの河瀬駐英公使、高杉晋作の高山寺決起の時に伊藤博文の次に駆けつけたのが石川小五郎、後の河瀬氏なのです。

「セルビアは一方的にやられてオスマンとブルガリアが停戦交渉」
「英国はビルマ暴動で介入している余裕がない」
「セルビアは停戦打診するもブルガリアが拒絶」
「英国は今度はアラビア一揆で忙しい･･･」

最後に
「休戦」、「各大国が監視団を派遣」

非常に正確な情報を掴んでいたようです。


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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅢ

2ヶ月後、東ルメリア危機がまさかの形で勃発します。

ブルガリア「うちの南のルメリアを併合するよ～」
セルビア　「勝手に何やってんだよ、許せねえ、それは俺のもんだ！」
ブルガリアと北西に接する（ルメリアとは接していない）セルビアがブルガリアに宣戦布告？？？？！。

･･･ですが、セルビアあえなく返り討ちに！。orz･･･

1881年の秘密条約によりセルビアの宗主国となっていたハプスブルク家が仲介して和平と相成りました。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅡ

ブルガリア「ルメリアをブルガリア本国に併合しろ」

オスマン　「ベルリン条約でブルガリアとルメリアは別だって言ってるだろ」

ブルガリア「俺たちはどうしても祖国統一がしたいんだ」

1885年、ブルガリア秘密中央革命委員会が結成されます。武装蜂起して駐留軍をとうとう追放してしまいます。
ブルガリア公（事実上の国王）アレクサンダルが併合を宣言して完了です。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩⅠ

　さて東ルメリアとはどんなところでしょう？
ブルガリアの南部一帯に当たる地域で、ブルガリア人（東方正教）が多数を占め、トルコ人（ムスリム）は少数です。

　建前上、主権だけはオスマントルコが持つことになりましたので、
オスマンは支配管理のためにルメリアに要塞駐留軍を置きます。
その総督はキリスト教徒がなるという条件がつきました。
対するブルガリアは自治議会を設置します。加えて独自の憲兵隊と民兵を組織します。
当然ですがオスマン駐留軍とブルガリア憲兵隊はもめるわけです。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅧⅩ

ここで1878年のベルリン会議の内容を振り返ってみます。

　実質上独立していたバルカンのセルビア、モンテネグロ、ルーマニアが正式に独立国へ昇格されます。
ロシアの大ブルガリア帝国方針を否定し、オスマンの主権を残しつつ、
ブルガリア地方は3つに分割されてブルガリア公国、東ルメリア自治州、マケドニアとして独立されます。
そしてブルガリア公国はロシアに忠誠を誓うのです。
ついでにオーストリア=ハンガリー帝国はセルビアの西、ボスニア・ヘルツェゴビナに突然進駐します。
かと思ったら、セルビア、モンテネグロは「ロシアはブルガリアの味方で俺たちの味方じゃ無いのかよ（怒）！」と
ハプスブルク家に忠誠を誓いだします。
この風見鶏的な方針転換を”バルカン外交”というわけです。
一瞬で裏切って、気がついたらセルビアはオーストリアと秘密同盟（表向きは1881年の墺セルビア通商条約、
実はオーストリアを宗主国とする同盟）を結んでいました。

ロシアにしてみれば「セルビアが勝手に戦争始めて負けたからこうなったんだろ！」となりますが、
そんなことはバルカンでは通じません。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅦⅩⅨ

東ルメリア危機に関して解説します。

1882年当時のヨーロッパにおいて、オーストリアは三帝同盟（独墺露）、三国同盟（独墺伊）と
ロシアに引きずられ、そしてフランスだけが孤立している状態です。
ビスマルクはロシアとフランスを接近させないためにこれらを結んだのです。
オーストリアとロシアがバルカンで衝突しそうになる寸前で強引に結んだわけですが、
その甲斐あってヨーロッパは一端小康状態になりました。

アジアは米西戦争前でフィリピンはまだスペイン領です。
日本では伊藤博文が憲法草案に取りかかった時期、日清戦争の10年前のことです。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅦⅩⅧ

　極めつけは弟カール・ヨーゼフの長男で、フランツの甥っ子にあたるフェルディナントでしょう。
教科書には必ず登場しますね。
サラエボでセルビアのテロリストに夫婦そろって暗殺されてしまいます。
ちなみにこの人は「セルビア人をいじめるな」と言っていた開明派だった人物です。
逆にハ家宮廷はセルビア人のことが大嫌いだったのでこの暗殺はある意味大歓迎で、宣戦布告、
そして第1次大戦となっていきます。

フランツ・ヨーゼフ「なぜ私ばかりにこの世の不幸が押し寄せる･･･」

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅦⅩⅦ

　マクシミリアンとシシィとの間にルドルフという息子がいます。
彼は男爵令嬢と謎の情死を遂げてしまいます（マイヤーリンク事件）。
ルドルフはビス公が大嫌いだったため、
露仏同盟に接近しようとした路線対立による暗殺説が後世になって出てきたりもしましたが、
当時のハ家の感覚では結婚相手は皇族か海外の王家のみ、
男爵令嬢などは身分が低すぎてお話にならないというのが現実でした。
この心中事件はヨーロッパ中を揺るがす大スキャンダルとなりました。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅦⅩⅥ

個人としてのフランツ・ヨーゼフさん、彼の一族を見てみましょう。

　すぐ下の弟、マクシミリアンはナポレオンⅢ世に騙されてメキシコに渡って皇帝になるも
即座に革命が起きて処刑されてしまいます。
その奥さんは助けを呼びに行くと言って実家に帰ってしまいました。

　このマクシミリアンの奥さんの名はエリザベート、あだ名は”シシィ”と言います。
「オーストリアの秘密警察より散歩する速度が速かった」と言われています。
基本宮廷にいる事は少なく旅ばかりしていました。夫婦そろっていることが滅多にない自由人だったようです。
「ゲルマン人による他民族の弾圧はよくない」
「専制政治は止めるべきだ」と言うような進歩的な人物でしたが、
イタリア人の無政府主義者に「お前は贅沢ばっかりしやがって～！」と暗殺されてしまいました。

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みんなで学ぼう！バルカン半島ⅩⅦⅩⅤ

1878年、ベルリン会議でビス公ドイツはイギリス＋オーストリア側に付き、ロシアを怒らせてしまいます。

すると、

1882年、ビス公ドイツはオーストリア、イタリアと三国同盟を結びます。これは後の枢軸を連想させますね。
これに入って滅んだ国がどっかにあったような･･･うぅっ～思い出したくありません。

･･･というように、ハ家はビス公に言いように振り回されてしまいます。
もちろんハ家宮廷内ではビス公協調派と反対派の激しい対立があった上でのことです。

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