民俗情報工学CⅢⅩⅠ

　まだ昭和の初期に作られた麻製品が存在しますが、このままでは繋がりがたたれることでしょう。
伝統素材はまさに危機を迎えています。
栽培は法的規制が大変厳しく用途が決められていたり、行政官庁の人事で大きく認可内容が変わったりします。
厚労省と経産省の意見も全く違います。官庁の横の連携も全くありません。
今の法的問題をクリヤしていくと結果的に良い麻製品はできません。

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民俗情報工学CⅢⅩ

発酵プロセスを再発見することが研究テーマとして持ち上がりました。
この素材がなくなると職人さんたちの仕事がなくなってしまいます。
宮大工、左官職人、屋根職人、鼓、畳の糸、装束、神楽の衣装、弓の弦、これらは必ず大麻が使われます。

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民俗情報工学CⅡⅩⅨ

　大麻の繊維を発酵させるとはどういうことなのでしょう。
紙を漉く、神様に捧げる、縄として編む等、それぞれ用途に応じて発酵のさせ方が全く違うことが分かってきました。
発酵のさせ方は麻の技術が失われるとともに散逸してしまったのです。繊維が採れればいいだけではなかったのです。

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民俗情報工学CⅡⅩⅧ

　その後、長野で昭和36年に日本で最後に収穫された麻の束が見つかりました。それを使用したところ最高の麻紙を漉くことができました。
現在の大麻ではそれができない。実は昭和36年の麻との違いは”発酵”だったのです。

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民俗情報工学CⅡⅩⅦ

　大麻で麻紙を作る実験をした際に日本全国から”古い麻”を集めたことがあります。
百姓の野良着などを解体して集めた繊維で和紙を人間国宝の和紙職人に作ってもらったのです。
しかし何度漉（す）いても美しい紙ができませんでした。

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民俗情報工学CⅡⅩⅥ

和紙も麻も繊維が非常に柔らかいと感じます。日本の物は非常に美しい麻の繊維が採れます。その差は水によるのではないかと考えました。
差がある以上日本の儀礼神事は日本の物でやるべきではないかと思うのです。

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民俗情報工学CⅡⅩⅤ

　中国の麻は繊維がガサガサした種目です。日本の麻はしっとりしています。この差を調査分析そして仮説を立ててみました。
中国ヨーロッパは水が硬水、大きなミネラル分子が混じっています。それが繊維に残ってガサガサになるのではないか？
一方で日本は軟水です。

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民俗情報工学CⅡⅩⅣ

　神社などで大麻を使ってお祀りをします。その大麻を日本産の物に限定すべきだという意見があります。
一方で中国やヨーロッパだって麻を作っているならそれでもいいなじゃないかという意見もあります。
しかしここに違いがあります。大麻を育てることで重金属を吸い上げて人の住みやすい社会を作ってくれている役目が大麻栽培にはあります。

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民俗情報工学CⅡⅩⅢ

　大麻には土壌改良する機能があるかもしれません。自然界はバランスを取る物です。
そのバランスの中に真実があるのではないでしょうか。人が変に手を加えない方がいいこともあるのかもしれませんね。
大麻は重金属を含むことによって大麻自身の機能が上がります。強靱な繊維になっていくようです。
神気、魔と御簾（みす）、蚊帳の素材との関連性が解き明かされるかもしれません。

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民俗情報工学CⅡⅩⅡ

実際に「麻」が付く地名には鉱山が多い事が分かっています。
鉱脈があるところに大麻が生えていることが多数あります。金銀銅、白金に至るまでやはり大麻が自生しています。

仮説
どうも電気的な現象と関わりがあるのでは？。大麻が重金属を好むのでは？。

科学的成分調査
同地域の他の植物よりも大麻は重金属を多く含むことが分かりました。

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民俗情報工学CⅡⅩⅠ

　人々がずっと思い込んでいた事をデータ化して自然科学と比較してみると真実が見えてきます。仮説と科学的分析に踏み込んでみます。
「雷が鳴ったら大麻畑へ逃げろ」、大麻模様が魔除けになる。

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民俗情報工学CⅡⅩ

　こうした壁は秀吉が作った聚楽第で利用されたといわれています。
宮大工や左官職人は麻が昔から利用されていたことをよく知っています。また種子から採れる油が灯油として利用されます。
傘に塗ったり、油紙にも利用します。麻や桐の油は乾くと硬化するため水をはじきやすいのです。

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民俗情報工学CⅩⅨ

　茎の周辺部は繊維として利用されます。茎の中心部は重要で「おがら」といいます。お盆に燃やして火送り、火迎えに利用されます。
おがらは建材としても重要です。茅葺き屋根の下におがらを敷いておくと防水力が上がります。
壁の中心部に麻のおがら又は竹を骨組みとして置き、麻の繊維を壁土に混ぜて使用します。こうして吸湿性と保湿性に優れた壁となるのです。

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民俗情報工学CⅩⅧ

　麻と蕎麦は二毛作として栽培すると畑を休ませる必要がありません。長野は蕎麦の産地でもあります。
蕎麦は体を冷やすといわれていますが麻の種で補うようにすればバランスが取れます。七味唐辛子の麻の種によってそれができています。
麻の実は麻仁（まに、まじん）といって薬として使われるようになりました。喘息、アレルギーの薬として江戸時代から利用されています。
葉はほとんど使われません。

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民俗情報工学CⅩⅦ

　日本人は元来食料として植物の葉を利用することは少なく種を豆として利用してきました。
麻の種も他の種子と同様に穀物として利用してきました。特に春先に食べると体が冷えないといわれます。

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