◆日本の世界文化遺産申請に中韓が反発 軍艦島は地獄島だったのか?
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日本政府が世界文化遺産として、「明治日本の産業革命遺産」の登録を目指している。
これに対し、中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官が、申請に含まれる一部の工場で、中国人・韓国人が徴用されていたことを念頭に、「(日本の登録は)強制労働を見て見ぬふりをするものだ」と批判。登録の可否を判断する国連教育文化機関(ユネスコ)の委員会に「責任ある方式での処理」を求めた。このほど、産経新聞が報じた。
中国の批判に先立ち、韓国当局も今月4日、「産業革命施設だけで美化して登録するのは、世界遺産条約の基本精神に反する」と日本に抗議していた。両国が問題視するのは、中韓の労働者が多数いた長崎県・端島(いわゆる軍艦島)などの遺産だ。韓国側は、「地獄島」と揶揄し、日本を批判している。
だが、日本政府が申請しているのは、明治時代の遺産だ。中韓が持ち出している問題は、主に昭和時代に関係する話であり、的外れの指摘であると言わざるを得ない。ただ、仮に両国の主張を議論するにしても疑問が残る。
例えば、戦争末期の1944年当時、海底炭鉱の採掘で栄えた端島には2308人の労働者がおり、このうち日本人は1603人で、朝鮮人(当時は日本人)は500人、中国人は205人いた。生き残った中韓の労働者の一部は、日本人の日常的な暴行により、半殺しの目に合ったり、まともな食料にありつくこともできなかったなど、過酷な状況に置かれたと証言している(『軍艦島に耳を澄ませば ――端島に強制連行された朝鮮人・中国人の記録』)。
中韓の主張は、そうした生存者の証言などを根拠にしているのであろう。しかし、労働者が"半殺し"状態であったのに、死亡率は韓国人が2.4%、日本人は1.9%でほぼ同じレベルだ(前掲書)。当時の炭鉱では、充満したガスの爆発や落盤などさまざまな事故が起きていたことを考えると、前述の証言にも疑問が残る。この点は、さらなる実態の解明が必要だろう。
しかし、そもそも、第二次世界大戦中、約7万人の強制労働者や戦争捕虜が従事していたドイツのフェルクリンゲン製鉄所は、すでに世界文化遺産に登録されている。
当時の建造物で、戦争に関係しない工業地帯や工場などを見つける方が困難だ。戦争になれば、どの国も国家の生存を賭けて戦うのであって、それに協力した工場などはごまんとある。
日本は、中韓の主張にめげずに、世界に誇るべき明治日本の遺跡登録を進めるべきである。(山本慧)
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