お酒をプリン体ゼロにしても無意味!?
「つまみ」の方がよっぽど危険
酒に含まれるプリン体は一般食品に比べれば極めて少ない。多いと言われるビールで見てみる
と、サッポロ・ヱビスビールが約11mg、サントリー・プレミアムモルツが約9.5mg、キリン・一番搾りが
約8.8mg、アサヒスーパードライが約5~6mg(いずれも100mlあたり)である。
一方、食品に含まれるプリン体は、鶏モモ肉が122.9mg、牛モモ肉が110.8mg、豚ヒレ肉が119.7mg、
カツオが211.4mg、マグロが157.4mg、マイワシが210.4g、スルメイカが186.8mg、
豆腐が20.2mg~31.1mg、枝豆が47.9mgである(いずれも100gあたり、以下同)。
酒のつまみで、モモの焼き鳥1本100g(プリン体・約123mg)を食べれば、
キリン一番搾りの350ml缶ビール4本分(1400ml)のプリン体(約123mg)を摂取したことになる。
カツオの刺身100gのプリン体は、アサヒスーパードライ350ml缶10本分(6mg×35=210mg)
に匹敵する。
もうおわかりだろう。プリン体を控えたければ、ビールよりつまみだ。
その他の肉類では、牛レバー219.8mg、豚レバー284.8mg、鶏レバー312.2mgと、レバーには
非常に多く含まれている。牛肉では、肩ロース90.2mg、タン90.4mg、ハツ(心臓)185.0mg、
第1胃(ミノ)83.9mgと、精肉や内臓にも多く含まれている。
魚類でも、マダイ128.9mg、マサバ122.1mg、マアジ165.3mg、ブリ120.8mg、サケ119.3mg、
明太子159.3mgと、これだけのプリン体が含まれている。
プリン体を気にしていたら、肉も魚もすべて食べられなくなる。
ビールのプリン体を減らすことが痛風の予防にはならないことは明白だ。
そもそもビールが痛風の原因なら、ビール会社は、プリン体ゼロのアルコール飲料を販売する
前に、ビールの販売を止めるべきだろう。
(プリン体の数値は、2007年五訂食品成分表・女子栄養大学出版より)
糖質ゼロも意味がない!?
気にすべきは「アルコール度数」と「量」
糖質が少なくても、全体のカロリーが高ければ意味がない。酒類のカロリーは、糖質が多いか
少ないかよりも、アルコール分(度数)が高いか低いかによって決まる。
アルコールは、1g当たり7kcalに相当する。100mlはほぼ100gなので、アルコール分5%であれば、
100mlあたり35kcal(700kcal×0.05)程度になる。
キリン・ZERO(ゼロ)は、糖質がゼロでエネルギーも100mlあたり19キロカロリーと低い。
一見、糖質もゼロでカロリーも低くて良い酒のように思えるが、アルコール分は3%である。
そもそも酒は、酔いたいから飲むものだろう。ある程度酔わないと満足しない人が多いはずだ。
アルコール分が低いと、「飲んだ割に物足りない」ということになる。
そうなると、たくさん飲まないと満足できない。
私の独自指数だが、アルコール分5%を基準にすると、キリン・ZEROの酔っ払い度(係数)は、
3÷5=0.6となる。5%の酒と同じ量を飲んでも、6割しか酔えないということだ。
3%の酒で、5%の酒と同じように酔うためには、5%の酒の約1.67倍も飲まなければならない。
5%の酒1000ml(500ml入り2缶)と同じだけ酔うためには、キリン・ZEROを1670ml
(500ml入り約3.3缶、350ml入りなら約4.8缶)飲まなければならなくなる。
糖質もやっぱり酒よりつまみに多かった!
糖質は、酒よりも一般食品に多く含まれている。ポテトチップスは51.5gである。
ホワイトチョコレートは、50.3gになる(いずれも100gあたりの数値・五訂食品成分表より)。
酒の糖質は、普通の清酒やビール、発泡酒で、100gあたり3~4gで、ポテトチップスの10分の
1以下である。糖質が含まれていない酒を飲んだからといって、酒のつまみを余分に食べれば
何の意味もない。
焼酎やウイスキー、ブランデーは糖質ゼロの酒だ。プリン体は、100mlあたり焼酎は0.03mg、
ウイスキーは0.12mg、ブランデーは0.38mg、日本酒は1.21mg、ワインは0.39mgである。
糖質ゼロの酒を飲みたいのであれば、焼酎やウイスキー、ブランデーを水割りやオンザロックで
飲めば、糖質を摂取しなくて済む。焼酎やウイスキーは、プリン体も0に近い。
しかし、焼酎やウイスキー、ブランデーは、糖質は0だがアルコール度数が高いのでカロリーは
高い。糖質が含まれている日本酒も、アルコール度数が高いのでカロリーは高い。
(プリン体の数値は、2007年五訂食品成分表・女子栄養大学出版より)
糖質とプリン体の代わりに
酒には似合わない何かが入っている
糖質を下げるために、本来酒には使用しない添加物などが使われていることがある。
発泡酒やその他の発泡性酒類(スピリッツ等)は、ビールと違って、すべての添加物が使用
できる。典型的なのが、スピリッツやリキュールである。
糖質とプリン体、世界初2つのゼロが売り文句の発泡酒、サッポロ・極ゼロは、発泡酒の
原材料である麦芽、ホップ、大麦の他に、苦味料、カラメル色素、スピリッツ、水溶性食物繊維、
エンドウたんぱく抽出物、香料、酸味料、安定剤(アルギン酸エステル)、甘味料(アセスル
ファムK)が使われている。
一方、同じサッポロの発泡酒で北海道生搾りは、100gあたり糖質が3.2g、プリン体が約3.4mg
含まれているが、原材料は、麦芽とホップ、大麦、糖類だけである。
つまり、2つ(糖質とプリン体)をゼロにしようとすれば、代わりに酒には似合わない添加物や
原材料が目白押しになるのである。
プリン体や糖質の代わりに、発がん性物質入りの可能性のある添加物や、肥満や糖尿病の
原因の恐れのある添加物など、余計な添加物や原材料を摂取する「トレードオフ」
(一方を追求し他方を犠牲にすること)は、健康にとってマイナスはあってもプラスには
ならない。
糖質を減らすもう一つの方法が「酵母エキス」を使うことだ。
酵母エキスは、酵母といっても酒を醸造(発酵)するときに使うわけではない。
酒になった後に、味付けとして使うものである。添加物ではなく食品に分類されるが、
調味料である。
本来の旨みを味わわなくて何が楽しいのか
酒は、添加物以上に危険な発がん物質である。
健康にとって一番大切なことは、糖質の量でもなければ、プリン体の量でもない。
ただ一つ、暴飲暴食(飲み過ぎ、食べ過ぎ)を避けることだけである。
厚生労働省が主導する国民の健康作り運動「健康日本21」では、酒の適量を「日本酒なら1合
(180ml)」「ビールなら中ビン1本(500ml)」「ウィスキー・ブランデーならダブル1杯(60ml)」
「焼酎ならぐいのみ1杯(70ml)」のうち、いずれかとしている。
農林水産省が健康作りを目的に作成した「食事バランスガイド」にいたっては、酒を飲むこと
など想定していない。
(2014年10月14日 DIAMOND on line)
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