永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(330)

2009年03月19日 | Weblog
09.3/19   330回

三十一帖【真木柱(まきばしら)の巻】 その(1)

源氏(太政大臣) 37歳10月~38歳11月
紫の上   29歳~30歳
夕霧    16歳~17歳
玉鬘    23歳~24歳
髭黒大将  33歳~34歳
髭黒大将の北の方 37歳~38歳
姫(真木柱)髭黒大将の長女  12歳~13歳
男君二人 髭黒大将の長男、次男 10歳、8歳
式部卿宮(髭黒大将の北の方の御父宮)
大北の方(式部卿宮の正妻)
冷泉帝(表向きは桐壷帝と藤壺の御子だが、実は源氏と藤壺の御子)19歳~20歳
東宮  朱雀院と承香殿女御との御子

源氏が、
「内裏に聞し召さむこともかしこし。しばし人にあまねく漏らさじ」
――玉鬘が髭黒大将に逢ったことを帝(冷泉帝)がお聞きになりましたら、畏れ多い。しばらくは誰にも話してはならない――

と、お諌めになりますが、髭黒大将はとても傍の人の思惑など考える暇はなく、逢い初めてから日数が経ちますのに、玉鬘は露ほども打ち解けたご様子もお見せにならないので、大そう情けなく思うのでした。が、一方では、

「おぼろげならぬ契の程、あはれにうれしく思ひ、見るままにめでたく、思ふさまなる御容貌有様を、他所のものに見はてて止みなましよ、と、思ふだに胸つぶれて、石山の仏をも、弁のおもとをも、並べて頂かまほしう思へど、女君の深くものしを思し疎みにければ、え交らはで籠り居にけり」
――並々ならぬ深い縁に結ばれていたからこそ、この契のほどが身に沁みてうれしく思い、つくづく見れば見るほどにお美しく、申し分ないご器量とご様子で、これが万一、他人のものになってしまっていたなら、と思うさえ、胸がつぶれるほどです。石山の観世音菩薩と手引きをしてくれた弁のおもととを、並べて拝みたいと思うほどですが、当の弁のおもとは、玉鬘が、このことを、たいそう不快に思ってひどく嫌っていらっしゃるので、出仕もせず引き籠っております――

◆逢ひ初める=契を結ぶ、事実婚

◆止みなましよ=途中で中止したら、

◆絵:玉鬘を訪れる髭黒大将  Wakogenjiより。