Forever hill

男は夢に追われる孤独なランナー

オリンピックマラソンの惨敗-男子編

2008-09-01 01:02:03 | スポーツ

男子マラソンの惨敗には正直腹が立った。

-男子編-

大﨑悟史が左股関節痛で前日に欠場を決めた。今大会は補欠選手の出場は無理だったが、日本は五輪マラソン男女で一人ずつの出場権利を放棄したことになる。試合放棄は負けることより重大なことだ。ぜひ補欠選手が出られるよう熟慮を重ねていただきたい。補欠選手の経験は将来絶対生きるはずだ。

尾方剛は世界陸上’05三位、’07五位の実力者でメダルを期待した。しかしその思いは木っ端微塵に砕かれた。スタートからのハイペースについて行けず20km26位で後半粘って順位を13位まで上げるのが精一杯だった。

佐藤敦之は完走最下位の76位。ゴールでは中国大観衆に拍手声援を送られる始末で完走は立派だが情けなく恥ずかしいかぎり。おそらくどこかの故障か体調不良だろう。'07福岡国際マラソンで優勝したワンジルから34秒差の三位に入りこんな選手ではない。

マラソン王国日本はロス五輪で女子マラソンが採用されてから男女でメダルはおろか入賞者までも出なかったのは史上初だそうだ。欠場者が出たのも初めてではないか。翌日の新聞には「マラソン日本屈辱」と書いてあった。やはり野口みずきの欠場が痛い。

さてレースは女子の時と違って猛暑のなかにもかかわらず序盤からアフリカ勢が脅威のハイペースで飛ばした。ほとんどの選手がついていけない。36km過ぎにサムエル・ワンジル(ケニア)がスパートしあっと言う間に引き離しそのままゴールして金メダル。平坦ではあったが夏場のレースで2.06.32は驚きだ。

優勝したワンジルは流暢な日本語でインタビューに答えた。それもそのはず仙台育英高に留学し実業団にも籍を置いていた、いわば日本が育て強くした選手だ。日本育ちが活躍するのはうれしいが、本音は日本の敵を日本で作るなよ。過去にダグラス・ワキウリ、エリック・ワイナイナ(ケニア)も日本育ちで五輪でメダルを獲得している。

ジャウアド・ガリブ(モロッコ)は世界陸上二大会連続金メダルの優勝候補だったがワンジルの前に屈し銀メダル。ガリブの2.07.16は優勝してあまりある記録だ。

三位以下は大きく離れエチオピア勢の争いとなった。’07福岡で二位だったデリバ・メルガ(エチオピア)を若いツェガエ・ケベデ(エチオピア)が抜いて銅メダル。メルガが四位。マーティン・レル(ケニア)が五位。

男子のスピードマラソンそれも驚異的な高速レースはもう始まっている。マラソンではワンジルを始めとするアフリカ勢が1~5位までを独占している。五千、一万mでもケネニサ・ベケレ(エチオピア)が二冠でメダルはすべてアフリカ勢。いまやアフリカ勢のスピードは誰にも止められなくなっている。次回ロンドンは涼しいのでスピードマラソンはさらに加速しそう。

日本男子マラソン惨敗の原因はなんだ。はっきり言って1996アトランタ五輪以来世界に通用する選手は出ていない、十年以上暗黒の時代に入っている。渡辺康幸、高岡寿成藤田敦史などに期待したときもあったがダメだった。

いみじくも金メダルのワンジルが言った。「日本にいると駅伝の練習ばかりでマラソンの練習が出来ない」。こうして日本の実業団を退社していった。この言葉に惨敗の原因が隠れているように思える。

高校、大学、実業団すべてまずは駅伝の練習である。マラソンの練習はいつするの。箱根駅伝という最大の駅伝文化がくせものだ。多くの高校ランナーは箱根駅伝をめざすのはいいが、そこにたどり着くと燃え尽きてしまいマラソンどころではない。実業団に入ってからマラソンをめざそうとしてもワンジルが言うようにまたもや駅伝の練習が待っている。大学、実業団の駅伝至上主義が男子マラソンの若い芽を摘んでいるのではないのか。

大学や実業団の駅伝監督は、もっと広い視野で世界に通用する選手を育ててもらいたい。素質ある選手にはどんどんマラソンの練習をさせてほしい。一番成長する若い時に駅伝練習ばかりではマラソンの素質が開花するのを妨げているようにしか思えてならない。「日本人が五千、一万mをやってもメダルは永久に取れない。アフリカ勢のスピードに挑めるのはマラソンでしかない」と瀬古利彦は前から言っている。

東京五輪より円谷幸吉、君原健二、宗兄弟、瀬古利彦、中山竹通、谷口浩美、森下広一と続いた世界に誇れるランナーたち。メダルもほしいがその前に世界に誇れるマラソンランナーを育ててもらいたい。必ずやマラソン王国日本は復活すると信じている。

-おわり-


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