ぼやき、ぼやき、ぼやき(^^;)

元助監督で映画キャスティングマンの

17後「ノサップ岬の女 北の港町殺人事件 青梅-根室-留萌、おんな捜査行」 自分が参加したTV番組をもう一度見直してみようシリーズ第17回(後半)

2020年06月16日 | こらむ
17後「ノサップ岬の女 北の港町殺人事件 青梅-根室-留萌、おんな捜査行」
自分が参加したTV番組をもう一度見直してみようシリーズ第17回(後半)

放送日:1989年10月7日 土曜ワイド劇場 
出演:浅野ゆう子、永島敏行、古村比呂、牟田悌三、名古屋章
監督:池広一夫
制作:東映
ノサップ岬の女 北の港町殺人事件!青梅-根室-留萌、おんな捜査行
妻子ある作家を愛した料理旅館の女将の悲劇を描く。

池広監督にめちゃ怒られました。いえ、ちゃんと調べていたんですよ。満潮・干潮・大潮・小潮の時間は。海岸線で撮影していたら、どんどん潮が満ちてくるのです。やばいやばい、俳優さんの足下まで波が迫ってくる。しかたなく、その立ち位置をずらして撮影を再開しますが、またもや波が接近して・・・・とうとう、池広監督から雷が落ちて、助監督はちゃんとしらべていたのかぁ!基本中の基本だぞ!!はい。すみません。ちゃんと調べていたのですが・・・と言うのも言い訳になって・・・・海って怖いです。いきなり波が来るんですよ。
3つ目は、大事件でした。根室の撮影が終了して、留萌まで大移動です。移動時間7時間ぐらいかかりそうでした。北海道を右端から左端まで、車移動ですから大騒ぎです。撮影部の車は、ハイエース。スタッフはロケバス。浅野ゆう子さんは乗用車でと、3班に分かれて移動を開始しました。撮影部は先についたら、留萌の夕焼けを撮影してホテル入りというスケジュールでした。8月の暑い北海道でした。出発すると、監督はバスの運転席のすぐ後ろに陣取って、頭にハチマキしながら、さあコンテ割るぞと宣言して台本を広げました。私は、バスの真ん中に座りました。数時間たって、どこかの川沿いをバスは走っていました。たぶん富良野の近くでした。私はだんだん眠くなってウトウトしていました。その時です、悲鳴のようなクラクションの音で目が覚めました。なんというか「パンパンパーン」というクラクション。私はふと目を上げると、なんとバスのフロントいっぱいに、センターラインオーバーして対向車が突っ込んで来るのが見えました! あーっと声をあげて、私は前のイスを握りしめました。直後にバスはガッシャァーン!と大きな音をたて、左側に傾いていきました。私は心の中で、左側は川だったと瞬間に思いました。バスはガタガタガタと左側に落ちていき、横転しました。助かったのは、横転したところが、川でなく河原になっていた事でした。横転した車内で、私は「監督は!」と叫びました。すると監督はバスの入り口のステップに落ちていました。立ち上がった監督の目には、ずり落ちたハチマキかかぶっていました。監督も何が何だかわからず「どうした・・・・」
少しこっけいなお姿でした。笑い事ではありません。幸い怪我もなく無事だった私は、窓から脱出し道路に戻ると、突っ込んできた対向車は完全に向きが逆になっていました。道路上は大騒ぎですが、私にはほとんど音を感じませんでした。すると突然、大破している車のドアが開き、一人の男が血だらけになって出てきて、路肩の方に座り込みました。私は、ふと自分はチーフ助監督だ、しっかりしなくてはという気持ちになり、その血だらけの男に「大丈夫ですか?」と声をかけました。男は「俺はぶつかってねぇ、俺はぶつかってねぇ」とつぶやきました。たぶん居眠りなんです。あとで聞いたら海水浴帰りだったそうです。助手席の人は亡くなったそうです。道路上は大渋滞になり、パトカー、救急車が続々と到着してきました。警察官が私に近寄ってきました。私もスタッフを代表して、いろいろ説明したような記憶があります。パトカーの無線では「東京の土曜ワイドの撮影スタッフの乗ったマイクロバスと・・・・」と、まるでドラマの撮影をしてるかのようなやりとりをしています。参考になりました(笑)
監督も無事で、メークさんと衣装さんが、少しむち打ちぐらいですみました。どうやってその日留萌に到着したか覚えていません。浅野ゆう子さんを乗せていなくて、本当によかったです。撮影部のハイエースは、無事に留萌に着いて見事な夕陽の撮影をしたそうです。本編のラストカットに使われています。いやー、びっくりした大事故でしたが、幸運もありましたね。しかし、ここには書けない事実もあり(笑)なかなか記憶に残る北海道ロケでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿