河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

9/28(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑪」Op.63、バラード第1番他 

ショスタコ・テンポ感など

2007-03-14 23:57:04 | ショスタコヴィッチ
明日本番の、ショスタコヴィッチ・チェロとピアノのためのソナタ。

この曲は、1934年作曲、1935年出版、1960年に、速度表示、メトロノーム記号などが作曲家自身によって改定され、1971年に再び改定されている。

第1楽章 自筆楽譜  Moderato、四分音符=116   
 同 改定(71年)版  Allegro non troppo、四分音符=138

第2楽章 自筆楽譜  Moderato con moto、四分音符=152
 同 改定(71年)版 Allegro、四分音符=176

第3楽章 自筆楽譜  Largo、四分音符=69
 同 改定(71年)版 Largo、四分音符=60

第4楽章 自筆楽譜 Allegretto、四分音符=152
 同 改定(71年)版 Allegro、四分音符=176

以上を見ると、ものすごいテンポ感の違いに驚く。
他の作曲家で、後年、どの楽章もこのようにテンポ感が変わる、という例をあんまり知らないので。

これをどのように考えたらいいのか、今のところよくわかりません。

ただ、先日の日記で少し書いたこと(フーガ)の続きを、この2、3日の練習で感じています。

フィナーレ。
有名なテーマをまずピアノが弾いて、その後、いろんな展開があり、最後には、ものすごいテンポ(176!!)で16分音符を弾きまくるピアノ、続いてチェロ。
で、突然その16分音符が止み、また最初のテーマがチェロに戻ってくるところ。

ここ、16分音符やってた時のテンポと、テーマに戻った時のテンポが一致しないことが多いのですが(ホント弾くのタイヘンですから)、ここを、何食わぬ顔して、おんなじテンポに持って来られたとき、なんと言うか、この曲のシニカルな性格というようなものがはっきり出ると思うのです。

フーガ、とこの前書きましたが、ここでまたフーガを思い出しました。

フーガというのは、「最初のテーマが、曲の一番最後の部分で、まったく同じ調、同じ高さで回帰したときに感動する。つまり、そのテーマが長い旅をした結果、音=素材としては同じテーマなのに、まったく最初と最後では違ったものに感じられるところがスゴイ。」のです。

が、このショスタコのフィナーレのテーマは、最後に回帰したとき、何食わぬ顔で(ホントは超タイヘンだったのですが)、全く最初とおんなじように弾く、というところに、なんというか、この曲の性格があるような気がするのです。

これは想像ですが、ショスタコさんは、バッハのフーガの偉大さを本当に良く知っていたから、それを逆手に取った、のではないでしょうか?

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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びっくりしました (Yuko)
2007-03-15 23:23:58
こんばんは。お久しぶりでございます。
ブログ上では本名が書けないのがとても辛いのですが…。その昔霧島の音楽祭で同室なりました山○内です。ひょんな事から河野さんのブログを見つけました。
とても勉強になります。
これからも楽しみに読ませていただきたいと思います。
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おぼえてます! (河野美砂子)
2007-03-20 20:37:47
ずいぶん昔のことですよね。
でもはっきり覚えてますよ。
お元気ですか?
またお時間あるとき、のぞいてくださいね。
もし関西地方にお住まいなら、朝日新聞3月20日夕刊第3面に大きく載りましたのでご覧下さいませ。
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