気ままに

大船での気ままな生活日誌

かごめ食堂

2008-02-24 08:57:40 | Weblog
新鋭、荻上直子監督の”かもめ食堂”はちょっと風変わりな映画でしたが、心に残るいい映画でしたよ。客席でのクスクス笑いが絶えないほど、コミカル仕立てで、そして、ちょっぴりファンタジックなところもあり、ボクはこうゆう映画をはじめてみたような気がします。

フィンランドの港町ヘルシンキの街角に、日本の中年女性がフィンランド人のために日本の家庭料理のお店を出す、この設定そのものがもう、風変わりですよね。店主サチエさん(小林聡美)は、お母さんを早くなくし、父親と永く暮らし、子供の頃から家事をきりもりしてきましたので、お料理は上手になりました。いつか家庭料理のお店を出してみたいという夢をもっていました。あるきっかけで(原作では宝くじにあたって大金を得たことになっている)、ここにお店を開いたのです。

このお店を偶然訪ね、結局お店の手伝いをするようになる二人の日本人がいます。ミドリさん(片桐はいり)とマサコさん(もだいまさこ)です。二人ともとぼけた、天然ぼけの人ですが、結構つらい過去をもっていて、おさらば日本とここにやってきたのです。フィンランドに来た理由はミドリさんは目をつぶって、世界地図に指さしたところがここだったから、そしてマサコさんはテレビで、フィンランドのエアーギター大会の様子をみて、こんなことに熱中できる国の人はすばらしいと、ここに決めたそうです。

はじめ、お店は閑古鳥がないていましたが、初めて訪れたお客は、日本語を勉強している学生でした。ガッチャマンが大好きで、その主題歌を教えてくれというところから、フィンランド人との交流が始まります。いろんなおばさん、おじさんが、それぞれの悲しい人生を背負いながら、かごめ食堂に登場し、ブツギをかもしたり、笑ったり、泣いたりしながら、物語は進んでゆきます。全部、フィンランドで撮ったそうで、港町ヘルシンキの街角がふんだんに画面に出てくるのも嬉しいことです。

かごめ食堂のメニューは、トンカツ、生姜焼、肉じゃがなどの家庭料理ですが、サチエさんが一番思いを込めているのおにぎりです。子供の頃に、運動会のお弁当にと、お父さんが”人につくってもらうのが一番おいしいだよ”と言ってつくってくれた、大きなおにぎりの味が忘れられないからです。はじめ、コーヒーとシナモンロールばかりしか出ませんでしたが、次第にとんかつや生姜焼も、そして、とうとうおにぎりも、と繁盛しはじめます。そして、ついに満席に。やったと、達成感いっぱいで、プールで万歳をするサチエさんの顔がはじけます。

”いらっしゃい”とお客さんを迎えるサチエさん、そしてミドリさん、マサコさんの晴れ晴れした顔のラストシーン。つらい過去におさらばできてよかったね、再出発おめでとう、とエールを送りたくなるエンディングでした。そして、ボクらが投げかけたそのエールは、まるでコダマのように、ボクらの胸にも響いてきたのでした。

エンディングに井上陽水の”クレージーラブ”が流れていました。自由、切なさ、哀しさ、そして優しさ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする