コロナ渦で受験生の実学志向が強まる中、就職や資格取得に有利とされる理系学部を目指す女子高校生が増えているようだ。予備校による今年の受験生志望動向分析からは、女子の理系志向が高まる傾向が浮かび上がった。
今まで女子が理学部というと、薬剤師や医者、加えて情報系の学部に進学希望者が多かったのだが、今は農学部に進学して、食品開発に携わりたいという女子も大幅に増えている。
長期的には理系志望の女子は増えてきていたが、今年は特に、女子のキャリア志向・理系志向の高まりが、はっきりとしてきた。河合塾が昨年秋に行った模擬試験(約24万人受験)の分析では、東大や京大などの国立難関大10校の理系学部志望者は前年比99%で減少したが、女子に限ると同101%に増加した。首都圏の私立理系10大学でも、志望者数は前年比、女子は同103%だった。
学部系統別では、理・工・農学系でいずれも女子の志望者数が伸びた一方、国際系や人文学系、生活科学(家政)系の学部は人気を下げ、手に職をつけられる理系の学部に目を向け始めた。
さらに、膨大なデータを分析し、課題解決や価値創造を行うデータサイエンスも人気だ。新年度には一橋大や名古屋市立大、京都女子大などが学部・学科を新設予定で、情報系学部の志望者は国公立が前年比107%、私立が同106%となった。
コロナ渦ではっきりしてきたことは、人文科学系や社会科学系の学部を出ても、事務職や営業や販売などにつく仕事が多い。一般事務職などもう滅亡状態だ。景気に左右されリストラに会うかもしれない職種、キャリアアップが望まれない職種には魅力が無くなっているのだと思う。
何より、女子たちが、理系に進み技術や資格を身につけて男女の差別なく働ける環境を目指し始め、一生働けて、社会に役に立つ仕事に携わろうと考えているのだと思う。
日本企業が1971年から初めて4年生を卒業した女子学生を公に採用を始めた時に就活をした私としては、感慨深いものがある。