細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『キャプテン・フィリップス』の4日間のリアルな洋上孤軍奮闘。

2013年10月16日 | Weblog

10月10日(木)13-00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>

M-130『キャプテン・フィリップス』Captain Phillips (2013) columbia pictures / trigger street production

監督・ポール・グリーングラス 主演・トム・ハンクス <134分> 配給・ソニー・エンターテイメント ★★★☆☆

2009年4月に、インド洋のソマリア沖合で、オマーンからケニアに向かった救済コンテナ船が数人のソマリア人海賊に襲われた。

この事件は当時リアルタイムで報じられ、たったひとり海賊の人質になったアメリカ人船長を救出するために、オバマ大統領の指示を待った。

記憶に新しい事件の再現ドラマだが、人道的にもリスクを最小限にとどめたアメリカ海軍シールズ特殊部隊の救出作戦は成功した。

トム・ハンクスが演じるフィリップス船長の回想録をもとに、忠実に描かれたこの作品は、ご本人も大統領もお墨付きだとか。

あの「アポロ13」の再現と同様に、トム・ハンクスはヒーローではなく、実直で責任感の強いリーダー像を好演しているワンマン映画。

どうして海賊の多い袋小路のような海峡で、例えば武力行使の出来るような手段がなく、警備員も同乗していないのかは大きな疑問として残る。

ニューヨークの地下鉄だって、2人の武装警官が常時同乗しているというのに、これだけ危険な航路にいないというのが、どうも変。

ま、この事件を契機にして、おそらく自衛手段は最低限で取られるようになったと思うが、その点が終始もどかしいのだ。

つまりこれはハリウッド・エンターテイメントではなく、「これがリアルな事件だよ」と言われれば、ああ、そうですか。としか言えない。

それだけに、ヒーロー・アクション映画に犯されている我々は、もどかしい作品で、30分は完全に長過ぎた。だから大いに疲れたのだ。

とくに、シールズの落下傘部隊が夜中にスカイダイビングしたのに、それっきり映画に出てこないなんて、無駄なシーンじゃないだろうか。

しかも、ほとんどが4日間もの監禁なのに、深夜のシーンばかりなので、状況が見えなくてイライラする。でも、これもリアリズムなんだろう。

傑作「グリーン・ゾーン」の時のように、監督はハンディカメラの多用で迫力はあるが、とにかく狭い脱出用の船の中なので、こちらも息が詰まった。

 

■右中間のヒットでセカンドまで走ったが、オーバーランで挟まれて危うくセーフ。

●東京国際映画祭のオープニング上映のあと、11月29日より、全国ロードショー